LG Display、OLED TVのプリミアム市場を席巻

韓国LG Displayにおける10月のOLED TVパネルの販売量が、韓国LG Electronics、日本ソニー、オランダPhilipsなど、主要グローバル顧客企業による販売量急増を追い風に、前年同月比2倍以上増加した。

 

LG DisplayにおけるOLED TVパネルの販売量は、10月を基準に初めて20万台を突破し、11月には販売計画が21万台を超えるなど、年末まで販売量が増加し続けている。

 

LG Displayは今年初めてOLEDTVを発売したソニーによるOLED TV販売が好調を見せたことで、北米プリミアムTV市場(55型と65型TV)において、OLED TVセットの販売数量と金額の全てが74%という圧倒的な占有率を達成した(9月NPD北米集計基準)。

 

北米ではソニーによる9月の販売量が前月に比べ2.1倍成長し、ヨーロッパではPhilipsによる第3四半期の販売量が前四半期比べ5.9倍急増した。OLED TVの本家であるLG Electronicsの販売量も、北米とヨーロッパを通じて9月の一カ月間に、前月比1.5倍急成長するなど、主要顧客企業によるOLED TVの販売量が急増した(9月NPD北米、GFKヨーロッパ/CIS14カ国集計基準)。

 

特に7月末にはLG Displayが未来ディスプレイ市場をリードするために、投資の中心をOLEDへ移動すると宣言してから3カ月も経過していない間に、グローバルOLED TVの販売量が急成長しているため、OLEDがプリミアムTV市場の主流として迅速に位置付けている。

 

このような動きは9月に開催されたIFA展示会で、グローバルTVメーカー13社がOLED TVをプリミアムTVラインアップの前面に押し出して以降、消費者の需要が急増し、年末までの需要はもちろん、来年の物量まで増やしてほしいという顧客企業からの注文が相次いでいる。

 

これによってLG DisplayのOLEDTV販売量は、今年150万台規模を予想していた市場調査機関の展望値を越える170万台以上を記録すると予想されており、来年にも270万台以上が販売されると見込まれている。

 

LG Displayは下半期に本格的な稼働を開始した坡州(パジュ)E4-2ラインの稼働率を最大化し、急増する顧客の需要に対応するという方針である。

 

LG Displayのハン・サンボム副会長は「OLEDはプリミアムTV市場の主流として迅速に位置づけており、当社の生産能力増加とともに成長し続けている」と述べた。

 

このようにOLEDへの関心が高まる中、LG Displayは最近中国とヨーロッパで「OLED Day」のイベントを開催し、OLEDの優秀性を積極的に知らせた。また、中国の8大主要都市にOLED体験館を設け、OLEDの可能性と未来技術を消費者に直接体験させ、OLED技術を継続して広めている。

プレミアムTV市場をリードするOLED TV、LG Electronics HE部門で営業利益最大化

先日26日に韓国LG Electronicsは、カンファレンスコールで2017年7~9月期(第3四半期)の決算実績を発表した。LG Electronicsにおける第3四半期の連結売上高は15兆2,241億ウォン、営業利益は5,161億ウォンを記録した。売上高と営業利益は前年同期比、各々15.1%、82.2%の増加となった。売上高は過去同四半期の中の最高値を更新した。

 

特にプレミアムTV販売の増加で、ホームエンターテインメント(HE)事業本部は、営業利益(4,580億ウォン)と営業利益率(9.9%)で、四半期別実績において過去最高を記録した。また、生活家電、TVなどを含む家電事業全体においても、同じ第3四半期を基準に、営業利益(8,829億ウォン)と営業利益率(9.2%)が最も高い。

 

LG ElectronicsのHE事業本部の売上高は4兆6,376億ウォン、営業利益は4,580億ウォンで、売上高はOLED TVとUltraHD TVなど、プレミアムTVの販売が続々と増加し、前年同期比12.0%増加したと発表した。プレミアム製品の販売拡大による収益構造の改善で、営業利益と営業利益率(9.9%)は、四半期を基準に史上最高値を記録したことが知られている。

 

LG Electronicは先日10月11日に、韓国国内でLG OLED TVの販売量が1カ月間で初めて1万台を超え、急速なペースで大衆化を迎えていると述べたことがある。LG OLED TVは、今年米国と英国を含めた11カ国の非営利消費者マガジンが実施した性能評価で、全て1位を獲得しただけに、優れた画質を認められており、55型OLED TVの販売価格が200万ウォン台半ばまで下がったことから、合理的な価格も販売好調の理由として挙げられている。

 

LG OLED TVはLG Electronicsの韓国国内TV部門売上高の約30%を占めながら、市場において確実な安定化を達成した。LG Electronics関係者は「HE事業本部は、OLED TVやUltraHD TVなど、プレミアム製品を中心に売上高の成長と安定した収益構造を固めていく」と今後の計画を明らかにした。

【iMiD 2017】次世代高解像度OLEDを実現するためのソリューション多数公開

先日18日から19日までの二日間、韓国ソウルにあるコンベンションセンターコエックスで開催された「IMID 2017」では、高解像度OLEDを実現するための様々なソリューションが公開された。現在実用化されている中小型OLEDの解像度がQHD程度に留まっていることから、今回公開されたソリューションはディスプレイ関係者らから大きな注目を集めた。

 

まず、面蒸発源FMM蒸着技術を開発している韓国OLEDONのファン・チャンフン代表は、Business Forumで「2,250ppiの超高解像度OLEDを製造するための唯一の解答は、現在開発中の面蒸発FMM蒸着技術だ」と発表した。ファン代表は「a-stepでShadow Distanceを測定したところ、0.38umという数値が出た。このようなShadow Distanceを持って初めて2,250ppiのOLED素子が製造できる。現在Shadow-Freeの工程条件を探っている」と述べた。

<点蒸発源と面蒸発源におけるShadow Distanceの差>

また、ファン代表は「ホスト材料とドーパント材料を金属面に同時蒸着(Co-Deposition)した後、蒸着された緑色のN型有機薄膜を再蒸発させることで、同一のPL波長を持つ薄膜を製造することができた。面蒸発源で製造した薄膜のカラー制御は、N型有機薄膜のドーパント分子の量によって変わるため、色の調整が簡単に行えると予想する」と明らかにした。

<OLEDONによる面蒸発源の同時蒸着資料>

最近、USPL(Ultra-Short Pulse Laser)方式を採用し、1,000ppiのFMMの開発に成功したことを発表した韓国AP Systemsは、今回825ppiの5.28型FMMと677ppiの4.72型FMMを展示した。関係者は「Burr-free Laser Processを開発し、製造工程で発生する熱によるバリ(Burr)の問題を解決し、このような方式で、1170ppiのFMMのみならず、様々な形状のFMMも製造できる」と述べた。

<AP Systemsによる825ppiの5.28型FMM>

最後に、韓国Philopticsは電気鋳造(Electro Forming)で製造したFMMを公開し、今回特に注目された1,200ppiのFMMは、VIPルームに展示された。関係者は「現在1,200ppiのFMMの製造するために、工程を安定化させることができた。来年の上半期にはパネルメーカーにサンプルを納品する予定で、今後2,000ppi相当のFMMを開発することを目指している」と語った。

<電気鋳造方式で製造されたPhilopticsのFMM>

今回iMiD 2017では、OLED画素を高解像度でパターニングするためのソリューションが公開された。最近は、仮想現実のコンテンツなど、高解像度OLEDが必要なコンテンツが増加することで、スマートフォン利用者の関心が徐々に高まっている。どのソリューションによって中小型UHD OLEDの時代が開花されるかに注目が集まる。

LG Display、2018年までOLEDの売上高比率2倍に拡大

韓国LG Displayは25日に行われた2017年7~9月期(第3四半期)の決算カンファレンスコールで、2018年までOLEDの売上高比率を10%から2倍の20%に引き上げることを明らかにした。

 

LG Display の キム・サンドン 常務は「大型OLEDの生産能力拡大によって、OLED TVの出荷量が増加しており、壁紙(Wall Paper)とCSO(Crystal Sound OLED)などの新しいプレミアム製品が良い反響を得ている。LCD TVとの違いが認められている」と説明した。

 

これにより「2017年OLED TVパネルの出荷量は170万台になると予想している」とし、「出荷量は2018年に250万~280万台、2020年には650万台以上に達すると期待している」と述べた。LG Displayは「OLEDパネルの収益性を確保するために経済に関わる活動の規模を拡大している」と説明した。同時に「材料費と諸費を削減するために中国にOLEDパネル工場を設立し、効率的なラインと規模の経済、エコシステムの導入拡大などで、コストを削減できる」と付け加えた。

 

2017年10~12月期(第4四半期)の出荷面積は「年末及び来年の春節などシーズン対応の影響によって1桁台の伸びを示し、販売価格は製品やサイズ別需給状況によって多少違いはあるものの、全体的に下落傾向にある。この傾向は徐々に弱まる」と予想した。
モバイル用ディスプレイについては、現在「LCDからPOLEDへと変わっている。LCDパネルの売上高は総売上高の30%を示しているが、売上高は2019年の投資終了時点から本格的に増加する」と説明した。

 

続いて「LG Displayは未来に対する長期的な計画として、今後OLEDを中心とする投資を進めていく中で、困難な市場環境が続くという保守的な見込みから、LCDならではの特性を持つ製品による収益性の最大化やOLED事業拡大による収益性改善のために努力を続ける」と付け加えた。

 

LG Displayは販売価格の下落傾向にも関わらず、2017年第3四半期基準の売上高は6兆9,731億ウォン、営業利益は5,860億ウォンで、営業利益は22四半期連続の黒字を達成した。売上高はOLED TV製品を拡大するなどプレミアム製品の強化やシーズンによる中小型モバイル製品の出荷量増加などの影響から、前四半期の6兆6,289億ウォンに比べ5%、前年同期の6兆7,238億ウォンに比べ4%増加した。
2017年第3四半期の売上高基準の製品別販売比率は、TV用パネル40%、モバイル用パネル27%,、ノートパソコン及びタブレットPC用パネル17%、モニター用パネル16%となった。

【iMiD 2017】JOLED、プリント方式を採用したOLEDの開発動向と未来ロードマップを発表

先日18日から19日までの二日間、韓国ソウルにあるコンベンションセンターコエックスで開催された「IMID 2017 Business Forum」で、日本JOLEDの最高技術責任者(CTO)荒井俊明氏は、JOLEDのプリント技術と今後のロードマップなどについて発表を行った。

<JOLEDの最高技術責任者(CTO)荒井俊明氏>

荒井俊明氏は、現在220ppi程度で安定的なJetting(噴射)技術を確保したことを明らかにし、第8.5世代で300ppi以上の高解像度OLEDを開発しているものの、Jettingの正確度と安定性などの重要な問題があると述べた。また、プリント方式のOLEDに採用されるTG-TAOS(Top Gate-Transparent Amorphous Oxide Semiconductor)TFTを紹介し、低価格ながら優れた性能を発揮するため、OLEDのコスト削減に貢献できると説明した。

 

続いて、JOLEDの未来戦略を紹介し、韓国企業がリードしている小型と大型OLEDではなく、200ppi以上のタブレット用やモニター用中型OLEDを優先して取り組むことを明らかにした。JOLEDはOLEDパネルメーカーの中で唯一、2017年にプリント工程で21.6型4K RGB OLEDを公開し、試験的な出荷も実施した。

<プリント方式を採用したJOLEDの21.6型4K OLED>

日本経済新聞によると、JOLEDは本格的にプリント方式を採用したOLEDを量産するために、1,000億円規模の投資を打診していることが明らかになった。また、荒井俊明氏は今年の4月からプリント工程で製造したOLEDの試をセットメーカーに提供し始めたと述べ、2018年下半期の量産開始を目指していると明らかにして発表を終えた。

セットメーカーによって異なる個性と特長を浮き彫りにしたOLED TV

韓国LG Electronicsは先日11日に、韓国国内でLG OLED TVの販売量が1カ月間で初めて1万台を超え、急速なペースで大衆化を迎えていることを明らかにした。また、2017年にはOLED TV陣営に加勢したソニーが大反響を呼びながらプレミアムTV市場に占める割合を拡大しつつある。このようにOLED TVは優れた画質とともにコスト削減による価格競争力の向上で、プレミアムTV市場を先導している。

 

現在OLED TVは、韓国のLG Display、日本のソニー、東芝、パナソニックなどで量産されている。OLED TVを量産中の全てのセットメーカーがLG DisplayのOLEDを採用しているが、メーカーによって異なる個性と特長が浮き彫りになったOLED TVを量産している。

 

LG ElectronicsはまずSignature TVであるOLED W7の特長として、OLEDならではのリアルな画質と壁紙(Wall paper)のデザインを挙げた。自発光素子のOLEDを採用し、無限大に近いコントラスト比と自然に近い豊富な色の表現を実現、Dolby Vision HDRとHDR10を採用し、リアルな画質を提供したと述べた。また、厚さ4.6mmの薄いパネルで、まるで映画館のスクリーンを見ているような経験を提供し、パネル以外の全ての部品をイノベーションステージというスペースに収納し、完璧な壁紙(Wall Paper)のデザインを完成したと説明した。

<LG ElectronicsのOLED TV W7、参考:LG Electronics>

ソニーは4K BRAVIA OLED TV A1Eシリーズの特長として、サウンド、画質、シンプルなデザインを強調した。先日CES 2017で大きな注目を集めたTV画面が振動しながら発音する「Acoustic Surface」を採用し、一層向上した没入感を提供できると述べた。また「X1 Extreme Processor」というHDRチップを搭載することで、OLED TVの画質をさらに向上し、ケーブルなどを裏側のスタンドに収納し、シンプルなデザインを実現したことを明らかにした。

<ソニーによる4K BRAVIA OLED TV A1EのAcoustic Surface、参考: ソニー>

続いて、東芝はREGZA X910の特長として、DCI-P3カバー率約100%の高い色再現率と800nit以上の高輝度を挙げた。色再現率の向上で自然な色彩を表現し、輝度の向上で明部と暗部をさらに豊富な階調で表現することができた。また、HDRの復元機能を強化し、鮮明で臨場感あふれる高画質の映像を実現したと明らかにした。

<東芝のREGZA X910、参考:東芝>

最後にパナソニックは完全なる黒の表現と豊富な色表現力を実現したと説明した。特にパナソニックの高画質技術の「ヘキサクロマドライブ プラス(Hexa Chroma Drive Plus)」を採用し、LCD TVでは実現が難しかった高コントラスト比と暗部に潜んでいた色彩まで表現し、映像の制作者が意図している映像の完成をありのまま再現したと強調した。

<パナソニックの「ヘキサクロマドライブ プラス」技術の比較、参考:パナソニック>

このようにOLED TVのセットメーカーは独自な個性と特長を浮き彫りにしたOLED TVを紹介している。先に記した4社のみならず、ドイツのLOEWEやデンマークのB&Oなども、OLED TVを既に量産している、もしくは量産開始を目指して準備を進めているなど、OLED TVの発売が続くと予想される。セットメーカーならではの独自の技術力に基づき、どのような個性と特長が強調されたOLED TVを量産するかに注目が集まる。

ソリューションプロセスOLED、WRGBより材料及び部品コストの最大40%まで削減可能

UBI Researchが発刊した『2017 Solution Process OLED Annual Report』によると、大面積OLEDにソリューションプロセス(インクジェット・プリント)工程を導入する場合、現在量産に適用している蒸着方式のWRGB工程と比べ、材料及び部品コストの最大40%、約18%以上の製造コストを削減する可能性があると分析した。

ソリューションプロセスは大面積OLEDパネルを第8世代以上の装置で、マザーガラスを分割せずにRGBピクセル構造で製造できる技術である。UBI Researchチャン・ヒョンジュン先任研究員は「ソリューションプロセスが導入されたOLEDは、20層積層構造で構成されたWRGB OLEDと比べ、5層構造になっているため、パネルの構造は比較的に単純と言える。WRGB OLED工程は発光材料の使用効率が約40%でしかないのに比べ、ソリューションプロセスの導入で発光材料の効率を90%以上に向上することができる。そのため、発光材料の使用量が大幅減少し、コスト削減に大きく貢献すると期待される。また、カラーフィルターを使わないという点もパネル製造コストを削減できる要因となる」と述べた。また「Soluble(可溶性)発光材料の1kg当たりの価格をどう設定するかが、コスト削減決定の重要な要素となる。しかし、Soluble発光材料の採用で、有機材料の使用量は大きく減少するものの、Solvent(溶媒)費用、製造費用、開発費用による価格上昇は考慮しなければならないことだ」と強調した。

ソリューションプロセス工程技術は、大面積OLEDの大衆化に貢献する主要技術として注目されつつ、主要AMOLEDパネルメーカーの開発が進んでいる。技術的な観点から見た場合、ソリューションプロセスOLEDは、既存の蒸着材料をインク化するために様々な溶媒を混合し、蒸着材料より純度や発光効率が低くて寿命も短い。過去数年間パネルメーカーと材料メーカーにおける主要課題であったため、それを改善するために米国DuPont、ドイツMerck、住友化学などが積極的にSoluble OLED発光材料の開発に取り組んできた。特に蒸着材料と同様に青色材料の性能改善で難航してきが、現在は技術開発が進み、蒸着材料に比べ約80%程度の効率と寿命が改善された。

今回発刊した『2017 Solution Process OLED Annual Report』では、WRGB OLEDとソリューションプロセスOLEDの競争力を工程、材料、コストの側面から比較分析し、主要事項とSoluble OLED発光材料の開発現況、主要メーカーの動向、ソリューションプロセスOLED市場を様々な観点で分析した。

<WRGB OLEDとソリューションプロセスOLEDの製造コスト比較、出所:UBI Research 『2017 Solution Process OLED Annual Report>

仮想現実(VR)と拡張現実(AR)が選んだ「OLEDディスプレイ」

最近、第4次産業革命をリードしている仮想現実と拡張現実機器にOLEDディスプレイを採用することで、LCDと比べ応答速度が速く、多彩な色と高いコントラスト比の実現が可能になり、利用者は 現実感のある映像を体験できるようになった。

 

仮想・拡張現実用OLEDディスプレイは、ゲーム、 広告、教育など全産業分野において、幅広く活用されており、関連出願も活発に行われていると見られる。
韓国特許庁によると、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)用OLEDの出願件数は毎年、増加傾向にあり、特にこの3年間の関連出願が大幅に増加したことが分かった。

<仮想・拡張現実用OLEDディスプレイの出願動向、参考:特許庁>

最近の出願件数を年度別に見ると、2014年240件、2015年263件、2016年439件と、2014年を基点に仮想・拡張現実用OLEDディスプレイ技術に関する出願件数が急増した。

 

仮想・拡張現実OLEDディスプレイ分野に関する出願件数が最近増加したのは、仮想・拡張現実機器を本格的に普及するための先決問題となる解像度、応答速度、活用性、フィット感、価格など、様々な条件が求められている中、OLEDディスプレイはリアルな映像が実現できるだけではなく、更にフレキシブル設計が容易という利点から、従来のLCDと比べてそのニーズに応えることができるためだと考えられる。

次に、2020年頃に仮想・拡張現実の市場規模は、約800億ドルまで大幅に拡大する見込みで、仮想・拡張現実機器に適したOLEDディスプレイは、フレキシブル、ローラーブル、ベンダブル、ストレッチャブルディスプレイなどと様々な形で開発されることから、仮想・拡張現実用OLEDディスプレイ技術に関する出願件数は、今後も増え続けると見られる。
この5年間(2007年~2016年)の特許出願の内訳を出願者別に見ると、大手企業774件(60%)、中堅・中小企業142件(11%)、大学‧研究機関72件(6%)、個人70件(5%)、外国人237件(18%)という調査結果が出た。

 

主要出願メーカー別には、LG Electronics 465件、Samsung Electronics2 16件、Microsoft 51件、Samsung Display 29件、SK Planet 20件、Qualcomm 17件、LG Display 17件順に集計され、仮想・拡張現実用OLEDディスプレイ関連技術が韓国国内企業によってリードされていることが分かる。

 

仮想・拡張現実用OLEDディスプレイの応用分野別出願現況を見ると、個人向けエンターテイメント(ゲーム、テーマパーク、体験館)426件、防衛(戦争シミュレーション、武器開発、戦闘機操縦)169件、広告141件、医療(3次元シミュレーション、仮想内視鏡、模擬手術)131件、ヘルスケア123件、映画117件順となり、仮想・拡張現実用OLED技術は、ゲームや防衛産業分野で最も多く活用されていると考えられる。

特許庁のキム・ジョンチャンディスプレイ機器審査チーム長は「TVや携帯電話などの個人用製品を中心に進歩したOLEDディスプレイは、優れた映像を提供する技術力に基づき、仮想・拡張現実だけではなく、新たな産業分野へと活用領域が拡張すると見られる。また、OLEDディスプレイの寿命延長と使用温度範囲の拡大など、性能向上に向けた技術に関する出願件数が増加すると予想される」と語った。

特許庁はOLEDディスプレイ分野における特許競争力を高めるために、産業界と共同で「IP Together」を定期的に開催してきた。今後は「改正特許法説明会」などを通じ、関連情報を継続的に提供していく予定である。

 

UBI Researchが発刊した『2017 AR/VR用ディスプレイ市場レポート』では、AR/VR用OLEDディスプレイの出荷量は、2017年に260万個になり、AR/VR用ディスプレイタイプ別の出荷量全体の52%を占め、2021年には5,200万個になり、同市場全体の80%を占めると予想されている。

<AR/VR用ディスプレイタイプ別の出荷量展望、参考:UBI Research>

超高画質解像度(UHD)のOLEDスマートフォン時代の幕は開くのか

最近スマートフォン機器によるVRコンテンツ体験が増える傾向にあり、高解像度スマートフォンが求められているが、2014年に初めてGalaxy Note4にQHD OLEDが採用されて以来3年間、OLEDスマートフォンの解像度は変わらずQHD程度に留まっている。
OLEDスマートフォンの解像度を決定する鍵は、発光層の蒸着工程である。現在、採用されている上向式蒸着方式は、基板とFMM(Fine Metal Mask)を水平にして蒸着装置の上部に配置した後、下部のリニア蒸発源に有機物を蒸発させてRGB発光層を形成する方式である。

 

UHD以上の高解像度OLEDを製造するためには、厚さ15um以下の薄いFMMが必要となるが、FMMが薄くなるほどパターニング、引張、溶接などの技術的な問題が生じ、量産に採用することは容易ではい。

 

このような問題を改善するために、垂直型蒸着、面蒸発源蒸着、様々なメタルマスクパターニング(Metal Mask Patterning)技術が開発されている。

 

基板とFMMを垂直に配置する垂直型蒸着装置は日本の日立が初めて開発し、キヤノントッキもFinetech Japan 2013で、第6世代垂直蒸着方式の装置を公開したことがあるが、現在量産には採用されていない。

<Finetech Japan 2013で公開したキヤノントッキの第6世代垂直型蒸着装置>

しかし、最近の電子新聞によると、米国Applied Materialsが第6世代フレキシブルOLED用垂直蒸着方式の蒸着装置を開発したことを明らかにし、日本のジャパンディスプレイでテストしている。

 

リニア蒸発源ではなく、面蒸発源を用いた蒸着方式も検討されている。面蒸発源蒸着方式は、まず有機物を金属面に蒸着した上で面蒸発源を製造し、それを再蒸発させて基板に有機物薄膜を形成する原理である。iMiD 2017でOLEDONのファン・チャンフン代表は、面蒸発源蒸着方式を採用することで、2250ppi高解像度のOLEDを実現できると述べた。

 

Metal Mask Patterning技術としては、主に電気鋳造 (Electro Forming)とレーザーパターニング技術が挙げられている。電気鋳造方式は韓国のWave ElectronicsとTGO Technology、日本のアテネなどのメーカーが開発中で、レーザーパターニング技術は韓国AP Systemsが開発している。

 

このように様々な観点から高解像度OLEDを実現するための開発が、現在の問題を改善し、OLEDスマートフォンのUHD解像度の実現に貢献できるかという点に大きな注目が集まっている。

<OLEDONが開発した面蒸発源蒸着技術の原理>

LG Electronics 、目前に迫ったOLED TVの大衆化

<LG ElectronicsのOLED TV、参考:LG Electronics>

韓国LG ElectronicsによるOLED TVの販売台数が、韓国国内で初めて1か月で数1万台を超え、大衆化が加速している。

先月「LG OLED TV」は、4分に1台ずつ販売されたことになる。今年の初めに比べたら、2倍になるという。LG Electronicsは今後も販売量が増加し、OLED TVが強い勢いで市場をリードすると期待されている。

販売量が増加した理由は、優れた画質を認められたからである。「LG OLED TV」は、今年アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、スウェーデン、ベルギー、ポルトガル、オーストラリアなど、先進市場の11カ国の非営利消費者マガジンが実施した性能評価で、全て1位を獲得した。LCD TVとは異なり、バックライトが無くても自発光するため、コントラスト比が高い。そのため、完璧な黒を表現し、リアルな映像を提供する。

TVを購入する際に消費者は画質を最も重視する。LG Electronicsが実施した消費者調査結果によると、調査対象の中で40%以上がTVを購入する際に、画質が第一条件になると応答した。この割合は、購入を考える全ての条件の中で最も高い。

合理的な価格も販売好調が続く理由の一つである。LG Electronicsは、多くの消費者がOLED TVの画質を体験できるために、技術開発に取り組み続けたけった、コスト削減に成功した。55型OLED TVの価格は、約20万円(200万ウォン)半ばに収まった。プレミアム級のLCD TVとほぼ変わらない水準である。LG ElectronicsがOLED TVを始めて発売した2013年には約150万円(1,500万ウォン)であった。

「LG OLED TV」は、今年LG Electronicsの韓国国内におけるTV売上高の約30%を占め、完全に市場に定着した。LG Electronics韓国ホームエンターテインメント(HE)マーケティングFD担当者のソン・デギ氏は「より多くの顧客にLG OLED TVの画質を楽しんで頂けるように販売を拡大し、プレミアム市場における存在感を高め、安定した収益構造を確立する」と強調した。

Fraunhofer FEP、OLED Microdisplayを基盤とする双方向のAR/VR HMD機器公開予定

ドイツFraunhofer FEPが10月19日から20日まで行われるAWE Europe 2017で、OLED Microdisplayを基盤とする双方向(Bidirectional)のAR/VR HMD(Head Mounted Display)機器を公開する予定を明らかにした。Fraunhofer FEPによると、OLED Microdisplayは、SVGA(800×600)の解像度を提供し、USBインターフェースとHDMIをつなげることで、2Dと3Dコンテンツの拡張現実と仮想現実を表現できる。更に、フォトダイオードを採用し、利用者の視線を感知する視線追跡システム(Eye Tracking System)が実現できると知られている。

<Fraunhofer FEPの新しいHMD機器、参考:Fraunhofer FEP>

Fraunhofer FEPの開発者であるJudith Baumgarten氏は、「今回の展示で、OLED Microdisplayの品質と様々な機能性を紹介することができる。電子設計分野でFraunhofer FEPのノウハウを証明できる良い機会になりそうだ」と述べた。

今までAR/VR機器は、主にエンターテインメントとゲーム分野において開発を行ってきた。しかし、Fraunhofer FEPは今回開発された機器で、デザイナーやエンジニア、外科医者などの業務をサポートし、ほぼ全分野において教育媒体として利用されると期待している。

拡張現実と仮想現実技術は、最近注目を集めている第4次産業革命における主要技術の一つで大きな注目を集めており、Oculus Riftや Gear VRのような製品を相次いで発売している。UBI Researchは、UHDコンテンツの量産と大容量コンテンツが高速転送できる5Gの導入が予想される2019年に、AR/VR市場が本格的に拡大し、2021年には拡張現実と仮想現実製品の総売上高が587億米ドルになると予想した。

出光興産と東レ、新しいOLED材料を共同技術開発契約を締結

2017年9月26日、OLED発光材料専門企業の出光興産と東レが、OLED材料の共同技術開発に向けた契約を締結した。

 

東レと出光興産は、両社のOLED材料と専門技術などを活用し、新しい材料の開発と評価に協力すると知られている。両社は共同で評価施設と生産施設を用いる予定で、今回の技術契約がOLED材料の開発を加速化し、低コスト生産を可能にすることを望んでいると明らかにした。

 

出光興産はOLEDエミッタ材料と正孔輸送材料(Hole Transport Materials)の開発に主力し、東レは独自の分子デザイン技術に基づき、電子輸送材料(Electron Transport Materials)の開発に主力している。

 

UBI ResearchはOLEDモバイル機器とTVに対する韓国と中国の積極的な投資により、発光材料の市場規模は、2017年に9億6,000万米ドルになり、2021年には33億6,000万米ドルまで拡大されると予想した。

 

今回出光興産と東レの技術契約がOLEDディスプレイ産業の発展と一層向上したOLED材料の実用化に貢献できるかに注目が集まる。

Cynora、TADFはOLED機器の高解像度の実現とパネルのコスト削減に貢献

9月22日に韓国ソウルにあるコンベンションセンターコエックスで開催された「Global Materials Tech Fair 2017」で、ドイツCynoraの韓国パートナー企業であるEM Indexのコ・チャンフン代表は、現在Cynoraが開発中のBlue TADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence)の開発動向について発表した。

<EM Indexのコ・チャンフン代表>

一般的に青色発光材料は、赤色と緑色に比べ寿命と効率が低い。そのため、モバイル機器用OLEDパネルでは青色の画素サイズを他の画素より大きくし、TV用パネルでは青色発光層を2回積層している。このような青色発光材料の限界を突破するために開発を進めている材料が、青色TADFである。

 

コ・チャンフン代表は「青色TADFの採用によって寿命と効率が改善し、画素サイズを大きくする必要がないため、高解像度を実現しやすい。モバイル機器においては高解像度を実現できると同時に電力消費を削減でき、TVにおいては青色発光層を1層形成するだけなので、パネルのコスト削減に優れている」と強調した。

 

続いて、最近Samsung Venture InvestmentとLG Displayによる2,500万ユーロ規模の投資は、青色TADFが注目されているということを証明すると説明した。

 

主要OLEDパネルメーカーが求める青色TADFの効率、寿命、色の純度に近づいていると明らかにし、2017年末には要件を満たすことができると予想した。

<Cynoraにおける青色TADF開発の進捗状況>

最後に、2018年末まで緑色TADFを開発し、2019年末まで赤色TADFを開発するという今後のロードマップを紹介し、TADFがOLED製品の高解像度の実現とパネルのコスト削減に大きく貢献すると付け加えた。

<CynoraにおけるTADF製品の開発ロードマップ>

AUO、Touch Taiwan2017で、スマートウォッチ用丸型OLEDとフォルダブル(foldable)OLED展示

AUOは、20日に開催されたTouch Taiwan2017で、スマートウォッチ丸型OLED3種(1.2インチ、1.3インチ、1.4インチ)と折れるOLEDを公開した。

 

AUOの1.2インチと1.4インチ丸型OLEDは、326ppiを有し、既存の量産製品に比べ、消費電力を30%も減らした。また、AUOは、丸型OLED2種が明るい太陽光の下でもディスプレー画面が正確に見えるように、明るさ調節モード(brightness increase mode)を内蔵し、屋外視認性を向上させた。

 

子供用スマートウォッチをターゲットにした1.3インチOLEDは軽くて、節電モードと直観的なタッチインターフェースを搭載し、ユーザビリティを強化した。

 

AUOは、折ったり、くるくると丸めてつなぐ2つの形態の5インチフレキシブル( flexible)OLEDを展示した。5インチフレキシブルOLED2種には、プラスチック基板と内製で開発した構造(special structural layer)が適用された。

<AUO, 5インチフォルダブルOLEDタッチパネル>

折れる5インチフォルダブルOLEDには独自に開発した柔軟なタッチスクリーンセンサーが内蔵されている。AUOは、「折れる部分の曲率半径が4mm以下である場合にも、優れた画質を提供する。」と言った。

 

5インチローラブル(rollable)OLEDについて、AUOは、「パネルの厚さがわずか0.1mmで、重さは5gである。」と言いながら、「4mmのローリング(rolling)半径を持つこの製品は、広色域を提供する。」と説明した。

 

一方、SID2017でAUOは、フォールデイング時、引張や圧縮強度に耐えるように、 TFT(薄膜トランジスター 、thin film transistor)とTFE(薄膜封止、thin film encapsulation)を中立軸(neutral axis)に位置させる構造を適用したと発表したことがある。

Fraunhofer Institute 、 ISAL 2017で電装用のflexible OLED照明を披露する予定

OLEDモジュールの開発と製作を専門的に行っているFraunhofer Instituteが9月25日から27日までドイツのダルムシュタッとで行われるISAL 2017にて色調節が可能な電装用flexible OLEDを披露する予定であることを明らかにした。Fraunhofer Instituteは去る2015年rigid基板を用いて色調節が可能なOLEDを公開したことがある。

2015年以降、Fraunhofer Instituteはflexible OLED照明を開発し続けてきた。今回のISAL 2017にて披露するflexible OLED照明は黄色と青色2色で色の切換が可能で2色を同時に発現して白色光を表現することもできると知られている。

Fraunhofer Instituteはflexible OLED照明が従来の車の照明を代替することができるだけではなくて天井や屈曲のある部分など設置が難しいところにも適用できると見込んだ。従来の照明はSMPSや放熱板が必要で柔軟な特性が足りなかったため設置の制約があったが、flexible OLED照明は薄くて軽い上にデザイン自律性が優れて車の内部に広範囲にわたって適用されると期待を集めている。Fraunhofer Instituteはflexible OLED用の基板が超薄膜ガラスや金属またはプラスティックフィルムで製造できると説明した。

<Fraunhofer Instituteの電装用flexible OLED照明、 出所: Fraunhofer Institute>

最近のOLED照明は車の室内外に適用されて次世代電装用照明として注目を浴びている。カスタマイズド自動車サービス会社であるChangscustomはOLED照明を車の内部に設置してSeoul Auto 2016に展示し、LG DisplayとOsramなどOLED光源メーカーはMercedes-BenzとBMWなどの完成車メーカーにtail light用のOLED光源を納めた。

一方、ユビ産業リサーチでは最近発刊した2017 OLED Lighting Annual Reportによると電装用OLED 光源は2017年640万ドルから2025年21.1億ドルに年平均107%の成長率を記録すると予想した。とりわけflexible OLEDの光源が2021年まで95%以上の市場占有率を占めて、flexible OLEDの光源がrigid OLEDの光源より積極的に採用されると見込んだ。.

OLEDの光源市場は9月末から本格稼働されるLG DisplayのGen5 OLED光源量産ラインを始めとして本格的な市場開花が期待されている。OLEDの光源市場がOLEDディスプレイ市場ほど刮目に価する成長ぶりを見せるかその成り行きが注目されている。

UBI Research、イチュンフン代表OLED市場の見通しについて発表

OLED専門のグローバルリサーチ機関であるUBI Researchのイ・チュンフン代表は9月5日から7日まで日本の東京にて日本メリルリンチ証券会社の主観で開催されたJapan Conferenceで去年に引き続きOLED産業を代表して市場動向と見込みについて発表した。毎年開かれる同カンファレンスはメリルリンチ証券会社の顧客を対象に日本の主要産業の動向についてフォーラム形式の発表と発表者との小規模ミーティングで構成される。

UBI Researchのイ・チュンフン代表が招待されたことはIT産業だけではなくて全体の産業においてディスプレイ市場の重要性を示している。最近、投資家らの間でディスプレイは関心産業として注目されて参加者らは最近のOLED技術動向とOLEDパネル会社の現在と未来の生産規模について興味を見せた。

UBI Researchのイ・チュンフン代表は同期間中に日経経済新聞(Nikkei Business Publication)と「グローバルOLED市場の動向と見込み」についてインタービューを行った。主な質問は「OLED産業動向と今後のOLED TV市場の見込み」で日経経済新聞のエディターのナオキ・タナカ(Naoki Tanaka)によると現在日本の電子産業は以前のディスプレイ産業の復興を期待してOLED産業とOLEDテレビに多くの関心を見せている。

インタービューを通じてイ・チュンフン代表はUBI Research OLEDディスプレイ報告書に収録されている市場の資料に基づいてOLED市場の見込みについての意見を打ち明け、今までもLCDが永遠だと信じている日本ディスプレイ関連の企業に対してより信頼性のあるOLED市場分析情報の必要性を強調した。

また最近参加したドイツのベルリンで開催された2017 IFAのOLED TV展示動向を共有することでこれからOLEDテレビが導いていくプリミアム市場を継続して注目するべきだと述べた。インタービューの最後には日本全体ディスプレイとセット産業において日本のパネルメーカーのOLEDパネル生産が持つ重要性について強調し、インタービューを終えた。

UBI Researchは毎月多様なタイトルでOLED産業と市場、技術 動向に関する報告書を発刊しており、最近OLED市場の拡大と共にさらに注目されている。より詳しい内容はUBI Research(info@ubiresearch.com)にお問合せすると様々な報告書サンプルと情報サービスに関する説明を提供してもらえる。

UBI Research、2017 OLED光源採用動向及び市場レポート発刊 : LG Display、照明用OLED光源の本格的な量産開始による市場開花期待

■ LG Displayは、9月末から第5世代照明用OLED光源の量産を開始

■ OLED光源市場は、2021年に約19億米ドル、2025年には約58億米ドル規模まで拡大

 

韓国LG Displayは、9月末から第5世代照明用OLED光源の量産を開始する予定で、OLED照明市場が本格的に開花できるかに注目が集まっている。LG Displayによると、月産規模は15,000個で、今後は90,000個まで生産可能な設備が整う。

 

UBI Researchが発刊した『2017 OLED Lighting Annual Report』では、世界のOLED光源市場は、2020年から大きく成長し、2021年には約19億米ドル規模になると見込まれている。また、2017年から2025年まで年平均85%の成長を見せつつ、2025年には58億米ドル規模になると予想されている。

 

OLED光源は、薄くて軽くてた柔らかなパネルを実現できるため、設置スペースの制限がなく、デザインの自由度が高い。また、発熱とフリッカー(Flicker)現象が少なく、安らかな雰囲気を作ることができるため、一般的な室内照明のみならず、車、展示、医療向けにもOLED光源が採用されている。

 

しかし、OLED照明市場はモバイル機器とTVに積極的に採用中のOLEDディスプレイ市場と比べ、成長が遅い傾向がある。ドイツOsramは主に車載用OLED照明向けの開発に集中しており、オランダPhilipsはOLED照明事業部を米国OLEDWorksに売却した。また、住友化学とコニカミノルタなど、日本のパネルメーカーも産業や医療用、その他の様々な分野に採用可能なOLED照明を開発しているものの、大きな成長は期待できなかった。

 

今回LG Displayによる第5世代OLED量産ラインの稼働開始で、照明用OLED光源の価格は100x100mmを基準に10米ドル以下まで下がると期待されている。また、室内照明だけではなく、車載用照明、展示用照明など、様々な分野に採用される見込みで、成長が遅いOLED照明市場に活力を与えられるかに期待が集まっている。

 

UBI Researchは、LG Displayが世界の照明用OLED光源市場全体に占める割合は、2017年に約70%、2020年には約50%となり、OLED光源市場をリードし続けると予想した。

 

『2017 OLED Lighting Annual Report』には、次世代照明市場の動向と有望アプリケーションの分析、LG Displayの投資によるOLED光源コスト分析、OLED光源市場展望などに関する記述が含まれている。特に、OLED光源市場展望とOLED光源用発光材料市場展望、OLED光源用材料及び部品市場展望、OLED光源用装置市場を様々な観点から分析したため、関連企業がOLED照明市場を把握する上で参考になると期待されている。

<OLED光源市場全体の売上高展望 >

LGディスプレイ、OLEDでグローバルテレビ市場を主導する

LGディスプレイが9月12日、中国の北京にあるルネサスキャピタルホテル(Renaissance Capital Hotel)で中国のセットメーカー、流通業者、関連専門家など約200人を招待してプリミアムテレビ市場の現況及びOLEDテレビ事業の展開方向を共有する「OLED Partner’s Day」を開催した。

<出所 : LGディスプレイ>

この日の行事中に行われた専門家フォーラムではLG電子、ソニー、フィリップス、スカイワース(Skyworth)、スニング(Suning)などの流通及びセットメーカーと電子商会、受賞協会など関連機関の主要役員が出席してOLEDが今後TV市場を主導するということに意見をともにした。フォーラムの出席者であるスカイワースのCEOリュ・タンズ(刘棠枝)総裁は「中国のTV産業が現在飽和状態に置かれているが新しい価値を提示できるOLEDテレビはディスプレイ産業の突破口になるだろう」とし「OLEDテレビがブランドの認知度及び占有率の上昇にも役立つだろう」と述べた。

 

LGディスプレイのCMOであるヨ・サンドク社長は歓迎の辞を通じて「既にOLEDテレビは市場の大勢として位置付けられている」とし「テレビ以上の価値を提供できる本当の未来のディスプレイであるOLEDテレビで市場を本格的に先導していく。」と強調した。

 

LGディスプレイは2013年OLEDテレビ用パネルを量産し始めた以来、LG電子を初めとしてヨーロッパ、日本、中国地域の13社の主要メーカーまで顧客群を増やしてきた。9月初めにドイツのベルリンで開かれた「IFA(国際家電展示会) 2017」にもLG電子、スカイワース、コンカ、フィリップス、パナソニックなど世界の主要テレビセットメーカーがOLEDテレビ製品を前面に打ち出した。

 

画質は厚み、デザイン、視野角、消費電力など多様なメリットを持っているOLEDテレビの価値を認めた世界主要セットメーカーが積極的に製品を発売して、OLEDテレビの市場競争力はさらに高まりつつある。

 

ヨ・サンドク社長は品質に対するプライドを強調すると同時に「安定的な歩留りを確保すると同時に17年度には170~180万台、18年度には250万台まで生産量を拡大する」と生産面でもOLEDテレビが影響力を高められる全ての準備を終えたと説明した。

<出所 : LGディスプレイ>

OLEDテレビはアメリカの非営利消費者団体「コンシューマーレポート」など世界有数の専門評価機関から相次いで最高の製品だという評価を受けている。

 

OLEDテレビはテレビを見ない時も絵や写真を展示する室内のインテリア用途として活用することができて、多様なAIプラットフォームの適用が容易であるということから活用範囲が無尽蔵である。LGディスプレイは無限の拡張性を持っているOLEDテレビによって消費者のライフスタイルもこれから変わると見込んだ。

 

ヨ・サンドク社長は「OLEDはテレビ市場に新しい価値を提供できる本当の未来のディスプレイ」とし「LGディスプレイはより多くの消費者がOLEDの価値を知って体験できるように様々なプロモーション活動を展開する」という計画を明らかにした。

 

LGディスプレイは中国の核心都市内でOLED体験館を運営する一方、広州タワーにOLEDランドマークを構築する予定である。

 

一方、テレビレビューメディアの「HDTVテスト」の編集長兼画質専門家のビンセント・テオ(Vincent Teoh)は最近行ったテレビ画質のテスト結果、明暗比、色、正確度など全ての面でOLEDテレビの圧倒的な優秀性が立証されたと説明し、中国の有名な撮影家であるのトゥンモン(童梦)は使用者の観点からOLEDが自然色をそのまま具現してくれる最も良いディスプレイだと述べて使用経験を共有した。

 

イベント会場の片方にはOLEDの構造、画質を比較できる体験ゾーンとCSO及びウォールペーパーテレビなど先端製品と顧客社の発売製品などを取り調べられる展示館を設けて、参加者らがOLEDテレビのメリットを直接体験することができるようにした。

Material Science、OLED用青色ドーパント開発に成功、OLEDの効率と寿命向上

韓国のあるベンチャー企業が特許を独占しているOLED用青色ドーパント(Dopant)の開発に成功した。ドーパントは、OLEDの中で実際に発色するホスト(Host)と混ぜ合わせ、効率と寿命を改善する材料である。

今まで、多くの韓国材料メーカーがOLED用ホストを開発してきたが、大手企業からの支援を受けていないベンチャー企業が、独自にドーパントを実用化できる程度まで開発したのは、これまで前例のないということで、高く評価されている。

OLED用有機材料開発企業のMaterial Science(代表:イ・スンチャン)は、日本のI社による青色ドーパントの特許を代替できる技術を開発したと7日に明らかにした。2014年に設立されたMaterial Scienceは、韓国国内外にあるOLEDパネルメーカーに 正孔輸送層(Hole Transport Layer :HTL)、電子輸送層(Electron Transport Layer:ETL)などを供給している。全職員約50人のうち、半分が研究開発職である。昨年の売上高は66億ウォンで、今年の売上高は100億ウォンを突破すると予想される。

今回 Material Scienceにおける青色ドーパントの開発によって、OLEDパネルメーカーは日本の I社の他にも、青色ホスト及びドーパントの供給元を確保することができた。

日本のI社は、1995年から青色ドーパントを開発してきた。現在、全30件以上(日本出願基準)の青色関連特許を保有しており、その中で8件の主要特許の有効期限は2034年までとなる。

特に、アントラセン(Anthracene:三つのベンゼン環が一直線につながった化合物)構造の青色ホストとピレン(Pyrene)を含む青色ドーパントを組み合わせる方式に関する特許を独占している。そのため、I 社の青色ドーパントを用いるパネルメーカーは、必ずI社のホストを用いなければならない。I社の青色ドーパントに他メーカーからのアントラセン骨格を有するホストを組み合わせる場合、特許権の侵害となってしまう。

韓国のSamsung DisplayとLG Displayにおいても、I社による青色ホスト及びドーパントが用いられてきた。Material Scienceが開発した青色ドーパントは、I社における組み合わせの特許権を侵害しないように分子を設計した。従来にはOLEDの効率と寿命を改善し、濃い色の青色を作るために、強力なElectron Acceptorを分子に適用する方式を採用してきた。一方、Material Science は、Electron Donorを分子に適用することで、効率と寿命を改善しつつ、濃い青色を実現した。特に、このドーパントは、周囲の極性による発光波長が変更される溶媒和発色(Solvatochromism)現象を抑え、ホストの極性による発光波長の変更現象も大きく抑えられた。

Material Scienceのチョン・ジェホ研究員は「新しい構造及び組み合わせ方式を開発し、既存のドーパントとは異なる製品を作り上げた。パネルメーカーは様々な種類の青色ホストを活用できるようになる」と説明した。Material Scienceは、最近OLEDパネルメーカーが青色蛍光体の寿命を延ばすために導入を進めている熱活性化遅延蛍光(TADF)技術も開発している。

<IFA2017 OLED TV Display Trend Analysis>

UBI Researchによると、OLED有機材料市場は、2021年まで33億6,000万米ドル(約3兆8,000億ウォン)規模に成長する見込みだ。その中で、青色材料の売上高が占める割合は11.5%となりそうだ。

【iMiD 2017】Samsung Display、OLEDを採用したアプリケーションを多数公開

韓国Samsung Displayは、先日8月28日から31日まで韓国釜山にあるBEXCOで開催された「iMiD 2017」で、VR(仮想現実)とLight Field Displayなど、OLEDを採用した多くのアプリケーションを公開し、大きな注目を集めた。

<Samsung Displayの展示ブース>

まず、Samsung Displayは、VR向け460ppiの3.5型OLEDと806ppiの3.2型OLEDを比較展示した。関係者は「ppiが高ければ高いほど、優れた現実感と没入感が体験できる。現在、より高解像度のOLEDを開発している」と述べた。

<460ppiの3.5型OLEDと806ppiの3.2型OLEDの比較>

また、Samsung Displayは、Future Display ZoneでOLED Light Field Displayを展示し、AMOLED Zoneでは、来場者がLCDとOLEDを直接比較するコーナーを設けた。

 

関係者はLight Field Displayについて「パネルの上に光学レンズを搭載し3Dを実現した技術で、光の干渉効果を利用するホログラムとは少し異なる方式だ」と説明した。また「30°より広い視野角(Viewing Angle)を開発している。現在、ピクセル、レンズ配列、光学設計などの課題がある」と述べた。

<OLED Light Field Displayに関する説明と仕様>

AMOLED Zoneでは、LCDとOLEDのコントラスト比を直接比較体験できるようにパネルを展示した。OLEDのコントラスト比と色表現力は、LCDに比べ明確な差があり、関係者は「この差がGalaxyシリーズにOLEDを採用している理由だ」と語った。

<OLED(左)とLCD(右)の画質比較>

他にもSamsung Displayは、1.3型Circle OLEDと12型FHD OLEDなどを披露し、展示会の開催期間中に来場者の関心を大きく引き付けた。

【iMiD 2017】LG Display、77型透明フレキシブルOLED開発に拍車

韓国LG Displayのクォン・セヨル責任研究員は、8月30日に韓国釜山にあるBEXCOで開催中の「iMiD 2017」で、6月に披露した77型透明フレキシブルOLEDを紹介し、その実現のために採用された技術を発表した。

クォン・セヨル責任研究員は「OLEDはバックライトユニットが必要ない自発光なので、薄く製造できる。薄ければ薄いほど、柔軟性が向上し、OLEDはフレキシブルディスプレイを実現しやすくなる」と述べ、「今後サイネージとスマートデスクなど、様々な分野に採用できる」と予想した。

今回公開された77型透明フレキシブルOLEDは、輝度を向上するための前面発光方式で、従来のOLED TVや大型フレキシブルOLEDとは異なり、透明薄膜封止層を採用し、2枚のPolyimide基板が用いられた。

 

クォン責任研究員は「前面発光方式を実現するために、金属封止層の代わりに透明薄膜封止層を採用した。2枚のPolyimide基板にWhite OLED発光層とカラーフィルター層を形成して貼り合わせた。Polyimide基板の上下部には水分と酸素の浸透を防ぐために、バリアフィルムとマルチバリアが採用された」と説明した。

続いて「パネルの曲げ剛性(Flexural Rigidity)は、主に偏光板と封止層の厚みに影響を受けるため、柔軟性を向上するには厚みを減らさなければならない。封止層の厚さを100umから20umまで抑えると、柔軟性向上とともにOLEDモジュールに生じるひずみ(変更率、Strain)も0.36%から0.21%まで抑えることができる」と強調した。

 

他にも、Polyimideの複屈折現象による表面の反射、LLO(Laser Lift Off)工程時におけるPolyimideの性質によるレーザーの波長選択、柔軟性を持つOLEDモジュールの採用など、主要問題について、技術を開発し続けていると述べた。

 

LG Displayは、国家課題としてUHD(3840×2160)解像度、透過率40%、曲率半径80Rを持つ77型透明フレキシブルOLEDを世界で初めて開発したことがある。

【iMiD 2017】OLEDON、2250ppiのOLED製造用面蒸発源FMMの蒸着原理を公開

28日に開催された「iMiD 2017」で、韓国檀国大学実験室ベンチャーのOLEDON代表ファン・チャンフン教授は、2250ppiを実現できる面蒸発源FMM蒸着技術について発表した。

 

ファン教授の発表によると、OLEDONが開発した面蒸発源蒸着技術は、従来の有機物蒸着方式とは異なる。面蒸発源FMM蒸着技術は、有機物を金属面に蒸着し、N型有機薄膜を形成することで、面蒸発源を製造した後再蒸発し、基板に有機物薄膜を形成する原理である。この技術を採用すると、有機物は面蒸発による垂直性気体ビームを形成するようになる(特許:1012061620000、韓国)。

 

OLEDONが開発した面蒸発源を用いて有機物を蒸着した場合、Shadow Distanceは0.38um~0.59umである。そのため、4umのパターンサイズを持つ2250ppiの素子を製造できる。

 

ファン教授は「面蒸発源の蒸着技術を採用すると、有機物気体の入射角が減少し、MaskによるShadow現象を画期的に改善することができる。また、面蒸発源は垂直性有機物の気体ビームが入射角をゼロにできるため、理論上ではShadow Distanceを0umにすることができる」と付け加えた。

<OLEDONが開発した面蒸発源蒸着技術の原理>

また、今回の発表において、ファン教授は「面蒸発源蒸着技術は、高解像度用Shadow Maskの製造にも必要だ」と強調した。

 

現在、量産に採用している線形蒸発源FMMの場合、Shadow Maskのオープニング間の距離は80umである。そのため、有機物気体ビームの入射角が大きくなり、高密度パターンを持つShadow Maskを製造しにくい状況にある。

 

ファン教授は「面蒸発源技術を用いると、Shadow Maskのテーピング角度は、80°程度になる。オープニング間の距離を20um未満に縮めることができるため、面蒸発源蒸着技術は、線形蒸発源におけるMaskパターンの密度に関する問題を解決できる」と説明した。

 

OLEDONは、面蒸発源蒸着技術で、完全なるShadow-Freeパターニング条件を目指しており、檀国大学のジン・ビョンドゥ教授チームと共同開発し、11KレベルのマイクロOLED素子を製造できる面蒸発源FMM蒸着措置を校内に設置する計画である(参照:OLEDONの公式ウェブサイトwww.oledon.co.kr)。

<面蒸発源FMM蒸着技術を採用した場合、Shadow Maskのオープニングの密度変化>

OLEDONは、量産用面蒸発源FMM蒸着装置に関する13件の特許を保有している。最新の研究結果に基づいた量産装置に関する特許は、韓国出願が7件、PCT国際出願が3件である。

【IMID 2017】AP Systems、USPLからFMMの回答発見

28日韓国釜山にあるBEXCOで開催された「iMiD 2017」で、韓国AP SystemsはUSPL(Ultra-short Pulse Laser、超短パルスレーザー)で、1000ppiの解像度を持つFMMの開発に成功したと発表した。

 

FMMは、画素とRGB有機物を蒸着するため、OLEDの解像度と歩留まり率を決める要素となる。現在のFMMは、主にエッチング(Etching)方式で製造されている。この方式は、微細パターンの精密度、厚さ、重さによるShadow現象が生じる問題があり、この問題を解決するためにレーザー加工、電鋳(Electro-Forming)など、様々なFMM製造工程が開発されている。

 

その中で、レーザー加工方式は、レーザーを照射する際に発生する熱(Thermal Effect)による微細な穴(ピンホール)の周囲にバリ(Burr)が生じるという問題がある。このバリは、FMMにおいてShadowの発生を増加し、RGB有機物を蒸着する際にパターンが重なる現象をもたらすことで、OLEDの解像度を低下させる。

 

AP Systemsはこのような問題を改善するために、バリ発生の現象を起こさず、テーパー角(Taper Angle)を制御する‘Burr-Free Laser Process’を開発した。

 

Burr-Free Laser Processは、単方向のパルスを一定回数に分けて短く照射する方式で、レーザーを 連続的に照射しないため、蓄えられていた熱エネルギーが最小化し、バリの発生を防ぐ。また、レーザーのエネルギーを制御することで、エネルギーを蓄えてテーパーを形成する方式である。

AP Systemsは、この方法について「1170ppiのFMMのみならず、微細な穴の形状が四角型、ダイヤモンド型、多角型などの様々な形状を持つFMMも製造した。また、USPL方式が採用された大面積FMMの製造装置の開発にも成功した」と説明した。

また、AP SystemsはFMM製造装置について「マルチビーム(Multi-beam)とUSPLが装着されており、生産性の向上とUHDの実現ができる」と付け加えた。

2014年にGalaxy Note4を発売した以降、まだOLEDの解像度はQHD程度に留まっている。高解像度(UHD以上)を持つOLEDを製造するためには、FMMが技術的に直面している様々な問題を解決しなければならない状況である。そのため、今後のOLED市場において、AP SystemsによるUSPL技術が、どのような影響をもたらすかに注目が集まる。

<AP Systemsが製造した1000ppi FMM>

<AP Systemsが製造した様々な形状のFMM>

【iMiD 2017】TCL、ソリューションプロセスOLEDとQLED開発に集中

中国TCL最高技術責任者(CTO)のXiaolin Yan氏は、29日韓国釜山にあるBEXCOで開催された「iMiD 2017」の基調演説で、White OLED TVの次なるプレミアム TVとして、ソリューションプロセスOLED TVと自発光QLED TVを挙げた。

Yan氏によると、現在のプレミアムTV市場をリードしているWhite OLED TVは、QD LCD TVに比べ優れた画質、独特のデザイン、高解像度の実現、自然に優しい特性で、プレミアムTVにおける全ての要件を満たしている。

 

また、現在のQD LCD TVより高く設定されている販売価格についても、ソリューションプロセスを採用することで改善できるようになり、2019年には量産が開始できると予想した。

 

Yan氏は「ソリューションプロセス工程は、マザーガラスを切り分けずに実施できるため、第10.5世代工程で簡単に75型パネルを生産できる。それだけではなく、前面発光方式のRGB OLED TVを生産することもできる」と予想した。そのためには、材料と装置の相性とインク形成工程技術の開発などが必要になると強調した。

続いて、自発光QLED TVについて「QLED構造は、OLEDと似た構造をしているため、参入ハードルが低く、技術を採用しやすい。現在のOLEDに比べ青色発光層の寿命と効率が非常に低いという利点があるものの、カドミウムを使用せずに性能を確保しなければならない」と語った。

 

最後には、ソリューションプロセスOLED TVと自発光QLED TVの実用化を目指して設立された中国Guangdong JUHUA Printing Display Technologyについて、次世代プレミアムTVを開発するためには、材料と装置メーカー、パネルメーカーの協力が必要だと強調した。

【iMiD 2017】You Dream、We OLED

OLED市場における韓国LG Displayの領域拡大が本格的に始まった。29日から韓国釜山で開催中の「IMID 2017」のキーノートセッションで、 LG Display最高技術責任者(CTO)のカン・インビョン氏は「OLEDは、未来のディスプレイ産業をリードしていく強力な技術だ」と述べ、LG Displayが考えている未来のプランを提示した。

 

カン・インビョン氏は、大面積OLEDは2020年まで現在の7倍に至る生産能力を拡大し、LCDとのコスト差を抑え、壁紙(Wall Paper)、サウンド統合(Sound Integration)、丸められる(Rollable)、透明なフレキシブル(Transparent Flexible)などの技術力を基に、市場をリードし続けることを明らかにした。LG Displayは最近、中国の第8.5世代に投資を進めており、今後は坡州(Paju)にあるP10工場の第10.5世代OLED量産ラインに投資すると期待されている。

 

中小型OLEDには、プラスチックOLEDを基に、敏速な追随者(fast follower)」戦略を実施すると発表した。LG Displayは、LG Electronicsのスマートフォンの次期モデルである‘V30’に採用するプラスチックOLEDパネルを量産しており、韓国亀尾(Gumi)にあるE5工場では、間もなく本格的な量産を開始する。また、第6世代ラインへ10兆ウォン規模の投資を実施し、2020年までは現在の生産能力の13倍に増加すると期待されている。

 

このようなOLEDに対する攻撃的な投資に基づき、LG Displayは現在の大面積OLEDと中小型OLEDの売上高が占める割合5%を2020年まで40%に引き上げるという戦略だ。

 

大面積OLEDは現在、生産能力の増加と歩留まり率の改善によって、LG Electronicsの他にも、ソニー、パナソニック、オランダPhilipsなどに陣営を拡大し、プレミアムTV市場で優位に立っており、LG Displayにおける今後の売上高は増加すると期待されている。LG Displayが提示した計画が達成できるかどうかは、中小型OLEDの量産成功にかかっている。

LG Electronics、OLED TV陣営拡大でプレミアムの熱気続く

<IFA 2016で展示したLG OLED TV>

韓国LG ElectronicsがOLED TV陣営を拡大し、プレミアム市場での位置づけを固めていく。LG Electronicsは、9月からデンマークのオーディオ・ビジュアル 製品メーカー及びブランドである‘B&O(Bang & Olufsen:バング&オルフセン)’に、OLED TVを供給することを決め、OLED TV陣営の拡大に励んだ。

 

‘B&O’は、現地時間8月30日にドイツベルリンで、OLED TVの公開イベントを開催した。‘LG OLED TV’に、独自のサウンド技術を採用し、9月1日から6まで開催される‘IFA 2017’で、来場者に公開する予定である。

 

また、LG ElectronicsはOLED TV陣営が拡大傾向にあると強調した。今年の‘IFA 2017’で、OLED TVを展示するメーカーは、13社にもなると予想される。昨年11社だった出展社数より2社増えた結果で、全てOLED TVを前面に押し出し、プレミアムマーケティング戦略を繰り広げる計画と知られている。

 

LG Electronicsの分析によると、多くのメーカーがOLED TV販売に乗り出しているのは、安定的な収益構造を確立するためである。中国や台湾のメーカーによるLCDパネル生産への大規模な投資で、今後、価格競争が激しくなると見込まれており、既に成熟期に入ってしまったLCD技術だけでは、差別化が続かないと説明した。TVメーカーは、このような環境を考え、独自のOLED TVを開発し、プレミアム市場攻略に取り組んでいると語った。

 

続いて、LG Electronicsは、OLED TVで収益基盤を固めていると述べ、TV事業を担当しているホームエンターテインメント(HE)事業本部は、今年の上半期に営業利益率8.5%(売上高8兆5,610億ウォン、営業利益7,252億ウォン)を達成したことを明らかにした。このような高収益の実現は、OLED TVのプレミアム化によることで、LG Electronicsにおける上半期のOLED TV売上高が占める割合は、15%にまで至ると説明した。

 

現在、実用化されている‘LG OLED TV’は、全世界のメディアや専門家から様々な賞を授賞し、性能評価においても1位を続けている。画質、音質、デザインなどのTVに関わる主要な要素で高く評価されている。

 

特にLG Electronicsは、9月1日から6日までドイツベルリンで開催される‘IFA 2017’で、‘LG OLED TV’ならではの先進高画質技術を積極的に紹介し、プレミアムTV市場攻略に乗り出す。LG ElectronicsのHE事業本部長クォン・ボンソク副社長は「プレミアム市場を再編しているOLED TVを押し立て、グローバル市場においてリーダーシップを強化する」と強調した。

Merck、フランクフルトモーターショーで、未来の自動車に採用されるOLED材料を展示

ドイツMerckは、24日フランクフルトで開催されたIAA(International Motor Show) 2017に初参加し、自動車のテールランプ用OLED材料を展示することを明らかにした。

 

Merckは、OLEDの主要発光材料をディスプレイメーカーに供給している電子材料関連の専門企業である。今回の展示で、ディスプレイのみならず、次世代OLED産業として注目されているOLED照明産業においても、OLED材料の先導企業として地位を確立すると期待を集めている。

 

Merckは、L+B 2016で発光材料を用いたOLED照明パネルを展示し、IMID 2016で様々な車載用OLED材料を展示することで、OLED照明産業に積極的に参入するという意思を示した。

 

また、IAA 2017(展示ホール3.1、スタンドブースA21)で、未来の自動車(Car of Tomorrow)にOLED材料を含めたスマート化学材料がどのように採用されるか来場者に紹介する計画である。

 

Merck自動車プラットフォーム責任者のDieter Schroth氏は「Merckの材料は、既に自動車の機能性や審美性を向上するために多く用いられている。デジタル化と連結性が重視される時代において、Merckの技術はIAAで披露する以上の高い潜在力を持っている」と述べた。

 

テールランプ用OLED材料の他にも、スマートヘッドライトシステム、スマート衛星アンテナに採用される材料、内・外装材表面用顔料など、革新的で様々なソリューションを披露する計画である。

<Light and Building 2016で展示したMerckのOLED照明パネル>

<IMID 2016で設置したMerckの展示ブース>

次世代OLED市場が予想できるネットワークの場、iMiD 2017 Industrial Forum

■ 「OLED新市場開拓に挑め」:OLEDアプリケーションの発展から見たOLED代替に関する論議

■ 「未来型ディスプレイの新技術に関する論議」:LCD、QD-LCD、OLED

OLEDはスマートフォンとTVのみならず、VR/AR、自動車、航空、照明などの全産業分野における拡散や融合可能という点から、今後のOLEDは発展する可能性が高い。そのため、様々な産業によるOLEDへの興味は増加を続けている。

 

このように高まる需要を満たすために、市場調査専門機関であるUBI Researchは、韓国ディスプレイ学界(KIDS)と30日(水)に韓国釜山にある国際コンベンションセンターBEXCOで「iMiD 2017 Industrial Forum」を共同開催する。

 

本フォーラムは、各分野の主要人物の発表やディスカッション(Panel Discussion)が行われる。ディスプレイだけではなく、様々な産業に従事している来場者に現在のOLED技術と市場情報を知らせ、今後切り開かれる新市場を模索する機会になると予想される。

 

第一に「OLED新市場開拓に挑め」セッションでは、OLEDアプリケーションの発展から見てみるOLED代替について発表が行われる。當摩照夫(Teruo Tohma)博士、韓国電子通信研究院(ETRI)のチョン・ウソク責任研究院、米国The Boeing CompanyのJulian K chang総括委員、山形大学の菰田卓哉(Takuya Komoda)教授、アルパイン株式会社の大西道久(Michihisa Onishi)首席研究員が講師を務める。

 

第二に「未来型ディスプレイの新技術に関する論議」セッションでは、次世代ディスプレイ技術の競争が繰り広げられている各TVメーカーの最新製品と技術動向について確認できる。LCD TV分野を代表する韓国Samsung Electronicsのノ・ナムソク常務は「Quantum Dot and Advance of LCD-TV」というテーマに、 量子ドット(Quantum Dots)技術の活用で改善されたLCD TVについて発表する予定である。

 

OLED TV分野においては、韓国LG Displayの担当者ヤン・ジュンヨン氏が「OLED、Now and Future」をテーマに、現在の市場及びトレンドによるOLED TVの現況に関するレビュー、フレキシブルと丸められる(Rollable)ディスプレイなど、様々なデザインを実現できるOLEDの未来について論議を行う。

 

次に、中国TCLの曹蔚然(Weiran Cao)首席研究員は「TCL Display Technology with QDs」をテーマに、TCLで研究開発を実施しているColloidal Quantum Dots技術の現況とLCDが採用されたTCL製品について発表する予定で、中国のプレミアムTVにおける戦略を確認できると期待を集めている。

 

今回のフォーラムを共同主催するUBI Researchのイ・チュンフン代表は「プレミアムTV市場拡大によるOLED TV市場展望」をテーマに、先に行われた発表内容を市場の観点から分析し、プレミアムTV市場の展望をまとめる時間を設けた。

 

「第17回 iMiD 2017 Industrial Forum」に関する詳しい情報は、‘iMiD 2017公式ウェブサイト(http://imid.or.kr/2017/indi_forum.asp)’で確認できる。

第2四半期 OLEDパネル出荷量、継続して増加傾向

UBI Researchによると、2017年第2四半期スマートフォン用OLEDパネルの出荷量は、9,530万枚と前年同期(9,290万枚)比2.6%増加、前四半期(9,470万枚)比0.6%増加となった。

<スマートフォン用OLEDパネルの出荷量>

韓国Samsung Displayは、2017年第2四半期に全体市場で96.7%を占め、中小型OLED市場で断然1位となった。Galaxy S8、S8+のが好調な売れ行きを見せており、Galaxy Note 8とiPhone 8の一部モデルにOLEDパネルを採用することから、中小型OLED市場でSamsung Displayの独走はしばらく続く見通しだ。

 

31日に公開予定の韓国LG ElectronicsのV30にもOLEDパネルが採用され、中国のスマートフォンメーカーもOLEDパネルの採用を拡大している。スマートフォン用OLEDパネル市場は継続して成長する傾向にあり、スマートフォン用ディスプレイの主役は、LCDからOLEDへ徐々に交代していくと見られている。

<TV用OLEDパネルの出荷量>

TV用OLEDパネルの出荷量は、37万1,000枚と前年同期(14万枚)に比べ165.0%増加し、大きく成長を遂げている。前四半期(30万6,000枚)比は21.2%増加となった。

 

今年、ソニーのOLED TV市場参入により、今後のOLED TV市場は一層拡大すると見られている。韓国LG Displayの韓国京畿道坡州(Paju)市に所在するE4新規ラインでは、第3四半期からフル稼働を開始する予定で、TV用OLEDパネルの生産量も増加が続く見込みだ。

LG Electronics、OLED TVで「EISAアワード」6年連続して受賞

今月15日、韓国LG Electronicsが、OLED TV等のプレミアム TVをもって、欧州で権威のある映像音響分野の賞を受賞した。

<LG ElectronicsのOLED TV(モデル番号:OLED65E7)、参考:LG Electronics>

LG ElectronicsのOLED TV(モデル番号:OLED65E7)は、欧州映像音響協会(EISA:European Imaging and Sound Association)が選出した「EISA OLED TV」に選ばれた。LG OLED TVは、2012年から6年連続して「EISAアワード」を受賞し、優れた技術力を今一度検証した。

欧州映像音響協会は「LGのOLED TVは完璧な黒をベースに、優れた画質を映し、生々しい色表現力と広い視野角を整えている」とし、「去年より黒の表現、鮮明さが向上している」と褒めた。又、ドルビービジョン、HRD10等の様々なHRD規格に対応すること、超スリムデザイン、ドルビーアトモスオーディオ技術の豊かなサウンド、利便性のある使い方等を好評した。

<LG Electronicsのサウンドバー(モデル番号:SJ9)、参考:LG Electronics>

LGのサウンドバー(モデル番号:SJ9)も「EISAサウンドバー」アワードを受賞した。欧州映像響協会は、高級なデザインとサウンドを全て整えた稀な製品と高く評価した。ドルビーアトモスオーディオ技術で作り出す立体感あふれるサウンドと、豊な重低音が調和を遂げると評した。

欧州映像音響協会が主管する「EISAアワード」は、世界的に映像音響分野で権威を認められている。欧州映像音響協会は、欧州の約20カ国のAV専門誌が参加する、欧州最大規模のマルチメディア協会である。1982年から毎年、音響、映像、写真、モバイル機器等の分野で最高の製品を選定して発表する。記者と外部の技術専門家らで構成される審査委員の評価により、受賞作を選定するため、高い信頼を得ている。

LG Electronicsのホームエンターテインメント(HE)事業本部のクォンボンソク本部長(副社長)は「優れた技術力を認められている製品を中心に、プレミアムTV市場を引き続きリードする」と強調した。

ストレッチャブル(Stretchable)ディスプレイOLED、実用化を前倒し

韓国のSamsung ElectronicsとLG Electronicsは、2013年からフレキシブルOLEDを採用したスマートフォンやスマートウォッチを発売し続けており、中国家電メーカーもフレキシブルOLEDを採用したた製品を発売し始めた。特に、スマートフォン業界の先導企業である米国Appleも、間もなくフレキシブルOLEDを採用したiPhoneを発売する予定で、フレキシブルOLED市場は今後一層拡大する見込みだ。

 

フレキシブルOLEDの形については、曲げられる(Bendable)ディスプレイから折り畳み式(Foldable)ディスプレイ、丸められる(Rollable)ディスプレイに変化すると予想されている。しかし、最近のディスプレイ業界では、これらを超えるような伸縮できる(Stretchable)OLEDの開発に挑んでおり、消費者の興味を引き付けている。

<OLED開発ロードマップ、出所:UBI Research>

ストレッチャブルOLEDは、フレキシブルOLEDが最終的に進化した形となり、ゴム紐のような伸縮性を持つOLEDを示す。

 

韓国Samsung Displayは、SID 2017でこのようなストレッチャブルOLEDを公開した。Samsung Displayの9.1型ストレッチャブルOLEDは、凸型(Convex)と凹型(Concave)を全て実現できる。当時のSamsung Displayは、凹型で画面が最大12mmまで伸びる状態においても、従来の画質を維持する技術を世界で初めて実現したと明らかにしたことがある。

<Samsung Displayが展示した9.1型ストレッチャブルOLED、参考:Samsung Display>

韓国LG Displayも、ストレッチャブルOLEDを開発する予定である。LG Displayは、先日6日に韓国高麗大学と共同でコンソーシアムを設立し、20%以上の伸縮性を持つバックプレーン(Backplane)、発光画素用材料、工程における源泉技術を4年間開発する予定と発表した。

 

他にも、伸縮性プラスチック基板材料、透明電極材料、伸縮性有機発光材料、伸縮性封止材料などを開発し、低温工程可能なTFT(Thin Film Transistor)と工程構造(Process Architecture)などを含む必須工程技術も確保する予定と付け加えた。

 

現在、ストレッチャブルに関する技術は、まだ量産には採用できない状況にあるか、もしくは延伸率が5%に過ぎないため、ストレッチング回数の繰り返しに制限がある。また、多くの源泉技術は海外企業が保有しているため、Samsung DisplayとLG Displayにおけるこのような動きは、後発メーカーとの技術格差を拡大するきっかけになると見込まれている。

 

ストレッチャブルOLEDは、形状に制限がないため、実用化した場合、従来のスマートフォンやタブレット、衣類、人間の肌など、様々な分野に採用できることから、今までとは異なる新しい領域のアプリケーションを創出すると期待されている。

JDI、30%の人員削減とOLEDへの事業転換を含めた構造改革案発表

液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDIが9日、グループ社員の約30%に当たるおよそ3,700名の人員削減と、外部の資本確保を含めた構造改革案を発表した。日経新聞及び読売新聞によると、JDIは中国とフィリピンの組立工場を中心に約3,500名、日本内で約200名の人員を削減し、併せて、石川県に所在するLCD生産工場の能美工場の稼働も、今年中に中止することを決めたと報道した。能美工場は、OLEDの生産拠点として活用する方策を検討中だという。

去る2012年、日立製作所、東芝、ソニーの液晶事業を統合して発足されたJDIは、LCDの経営不振やOLED事業への出遅れのため、ここ数年間、実績が悪化している。ゆえに、設立5年で初めて構造改革を行い、LCDパネルの生産ラインを見直し、2018年3月に終わる会計年度に1,500億円の減損会計を適用すると伝えられた。

又、JDIの筆頭株主且つ官民ファンドである産業革新機構が債務保証し、取引銀行から、1,100億円規模の融資を設けたことも発表した。みずほ銀行、三井住友フィナンシャルグループ、三井住友信託等の大手3行が、新たな信用供与を支援する計画だと日経新聞は伝えた。

これにより、JDIのOLED事業転換に速度がつく見通しだ。JDIの東入來信博会長兼CEOは「OLED無くして将来はなし」とし、「この部門の研究開発(R&D)コストを増額する」と強調した。

JDIは「SID 2016」でRGB構造の5.2型FHDフレキシブルOLEDを展示し、「SID 2017」では5.5型FHDのFULL ACTIVE™ FLEX OLEDとLCDを比較展示し、OLEDの鮮明さとコントラスト比等のメリットを強調した。

<JDIのFULL ACTIVE™ FLEX OLEDとLCDの比較>

又、2017年4~6月期(第1四半期)に第6世代OLED蒸着装置を取り入れ、量産テスト中であると説明した。JDIが構造改革とOLED事業転換を通じて、現在の危機を乗り越えられるか、注目を集めている。

UDC、ロイヤリティーとライセンス料で、2017年第2四半期総売上高59%増

米国UDC(Universal Display Corporation)は、現地時間8月3日に2017年第2四半期の財務実績を発表した。

 

総売上高は、2016年第2四半期の6,440万米ドルに比べ59%増加した1億2,500万米ドル、材料の売上高は110%増加した4,680万米ドルになったと述べた。また、ロイヤリティーやライセンス料収入は28%増加した5,370万米ドル、営業利益は2,650万米ドル増加した6,050万米ドル、当期純利益は2,540万米ドルから4,720万米ドルになったと明らかにした。

 

UDCは、ロイヤリティーとライセンス料によって、売上高が増加し、青色と緑色などのりん光発光物質の販売拡大で、材料の売上高が増加したと述べた。

 

OLED市場の成長によって、OLED材料市場規模が拡大し、その結果、UDCの実績も成長したと見られている。UBI Researchが発刊した『2017 AMOLED発光材料市場レポート(2017 OLED Emitting Materials Market Report)』では、全世界のOLED発光材料市場は、2017年に9億6,000万米ドル、2021年まで年平均成長率37%で、2021年には33億6,000万米ドル規模まで拡大すると予想した。

<発光材料市場全体の展望>

LG Electronics、「OLEDフルビジョン」で 大きく鮮明な表示を実現

<参考:LG Electronics>

韓国LG Electronicsが、下半期の戦略プレミアムスマートフォンにOLEDを採用する。

 

LG Electronicsは、18:9の画面比率(アスペクト比)のOLEDディスプレイを製品の前面に埋め尽くした「OLEDフルビジョン(OLED FullVision)」を下半期の戦略プレミアムスマートフォンに採用する。ディスプレイのサイズは、前モデルであるLG V20の5.7型より大きくなった6型の大画面だが、ベゼルを減らすため、製品サイズは小さくなる。

 

LG Electronicsは「世界最高のプレミアムTVとして認められたLG OLED TVのディスプレイ技術に基づき、スマートフォンにも別次元の視覚的な経験を提供する計画だ。数年間磨いてきたOLED技術で、次期戦略プレミアムスマートフォンならではの高級感のあるデザインを完成した」と述べた。

 

下半期の戦略プレミアムスマートフォンは、下段の回路と絶縁膜をパネルの背面に曲げて配置した「ベゼルベンディング(Bezel Bending)」技術を採用し、下段のベゼルを前モデルのV20に比べ約50%まで減少した。また、ディスプレイ表面の強化ガラスはデザインの一体感を強調するために、上下左右の端を曲面にして背面へ流れていく形に仕上げた。

OLEDフルビジョンは、QHD+(1,440X2,880)の解像度に最適化された画質のアルゴリズムで、写真やインターネットカラー規格のsRGB基準148%、デジタルシネマカラー規格のDCI-P3基準109%などの色再現性を徹底して追求した。

 

LG ElectronicsはOLEDフルビジョンについて「コントラスト比が高く、深くてリアルな画面を実現すると同時に、速い応答速度で動きが多い動画や画面の切り替えタイミングが速いゲームをする際に、残像が起きない迫力のある画面を提供する」と説明した。

 

また「利用者が常に持ち歩いているスマートフォンの特性を考え、ディスプレイの耐久性も一段階アップした」と述べた。

 

LG Electronicsは「OLEDフルビジョンは、プラスチック基板の上に画素を配置したP-OLEDを基盤とするため、ガラス基板のディスプレイに比べ衝撃に強い。前面ディスプレイの上に米国Corningの最新強化ガラス「ゴリラガラス5(Gorilla® Glass 5)」を装着し、ガラスが割れた時にガラスの破片が飛び散ることを防ぐ飛散防止(Shatter-resistant)技術も採用した」と付け加えた。

 

他にも「耐久性強化のために、ハードウェア及びソフトウェア技術を採用した。画素が空気に触れないように保護膜を施し、酸化を最小化に抑えた封止技術(Encapsulation)と使用頻度の高い画素を取り出すことで消費電力量を削減する画素スキャニングプログラムなど、数年にわたるLG ElectronicsのOLED技術を採用し、ディスプレイに生じやすいバーンイン(Burn-In、焼き付き)現象を最小化した」と説明した。

LG ElectronicsのMC事業本部長チヨ・ジュンホ社長は「LG OLED TVで検証された世界最高のディスプレイ技術を集約し、スマートフォンの高品格デザインと別次元の画質を提供する」と強調した。

Truly、2018年「フレキシブルOLCD」の量産開始

先日7月31日、フレキシブルディスプレイとセンサー用有機電子装置を開発する英国FlexEnableとディスプレイ製造する中国Trulyが技術移転とライセンス契約を締結したと発表した。今回の契約は、FlexEnableのフレキシブルOLCD(Oorganic Liquid Crystal Display)技術を2018年までTrulyの量産に採用することを目標にする。

 

OLCDは長寿命、高輝度、低コストの製造工程で大面積ディスプレイを実現できるディスプレイ技術として注目されている。また、フレキシブルディスプレイを採用した場合、曲率半径が20mm程度まで曲げることができるため、消費者向けの電子機器、スマート機器、自動車、デジタルサイネージなど、様々な分野での活用が期待されている。

 

FlexEnableによると、OLCDは低温工程で製造可能なFlexEnableの柔らかい有機薄膜トランジスタ(OTFT)に 、TACとPETなどの低価格プラスチック基板を用い、従来のTFT LCD生産ラインで製造することができると明らかにした。またOTFTは、アモルファスシリコン(Amorphous Silicon、非晶質シリコン)より優れた電気的特性いを持っており、プラスチックLCDは、Glass-based LCD同様の品質と信頼性を提供し、薄くて軽くて基板が割れない飛散防止特性がある。

 

Trulyは世界初となるOLCD量産開始に向け、中国広東省汕尾市にある従来の生産ラインで製造工程を構築すると知られている。Trulyによる初サンプルは、2018年初の公開予定で、2018年末には量産開始が可能になると見込まれている。

 

TrulyのR&Dセンター総括責任者KK Ho氏は「FlexEnableのOLCD技術は、TFT-LCD産業において画期的な製品で、薄くて軽いだけでなく、耐久性にも優れており、革新的なデザインを開発することができる。Trulyは現在、顧客からフレキシブルディスプレイ、特にウェアラブル機器、スマート家電、電気自動車、自立走行車などに関する問い合わせを受けている。OLCDは大変興味深い技術で、潜在市場規模が大きい」と述べた。

UBI Research、OLED封止、TFEが主流

■ 全てのエッジタイプとフルスクリーンタイプのフレキシブルOLEDにTFEを採用する見込み

■ プラズマCVD(PECVD)装置、封止装置市場全体の62%を占有

 

UBI Researchが発刊した『2017 OLED封止アニュアルレポート』は、OLED封止技術の中で、薄膜封止(Thin Film Encapsulation:TFE)が2021年にOLEDパネル全体の約70%に採用され、主要封止技術になると予想した。

 

最近のOLEDディスプレイは、エッジタイプからベゼルを最小限にしてフルスクリーンを実現することがトレンドになり、フレキシブルOLEDがフルスクリーンの実現に最適なディスプレイに選ばれている。そのため、韓国のSamsung DisplayとLG Displayを始めとする中国パネルメーカーもリジットではなく、フレキシブルOLED量産ラインへの投資に注力している状況である。

フレキシブルOLEDは、薄くて曲げられる特性を持つため、ガラスを使用するフリット封止は適合しなくなり、TFEやハイブリッド封止(Hybrid Encapsulation)を採用しなければならない。

TFEは薄い有機物と無機物を積層して形成する構造を持っており、開発初期には11層積層構造で、複雑な工程と歩留まり率が低いという欠点があったが、現在は3層積層構造を開発し、生産性、歩留まり率、コストが大きく改善され、多くのフレキシブルOLEDに採用されている。

<TFEの開発履歴、「2017 OLED封止アニュアルレポート」>

一部のフレキシブルOLEDには、バリアフィルムを使用するハイブリッド封止も採用されているが、バリアフィルムの価格が高く、比較的に厚みがあるため、最近は全てTFEを採用している傾向がある。

 

UBI Researchチャン・ヒョンジュン先任研究員は「TFE封止は、エッジタイプとフルスクリーンタイプのフレキシブルOLEDパネルに引き続き採用されることになりそうで、関連装置と材料市場も成長し続ける」と明らかにした。

 

今回のレポートでは、TFEの主要装置は無機物を形成するプラズマCVDと有機物を形成するインクジェットプリンターで、特にプラズマCVDは、TFEだけでなく、ハイブリッド封止の無機膜を形成する際にも用いられる。そのため、プラズマCVD市場は、2017年から2021年まで68億2,000万米ドル規模の市場になり、封止装置市場全体の約62%を占有すると予想した。

<プラズマCVD装置市場規模、2017、「2017 OLED封止アニュアルレポート」>

本レポートは、封止の開発履歴、動向、主要パネルメーカーの動向を始めとする封止関連主要装置と材料市場をテーマにしている。

Samsung Electronics、第2四半期ディスプレイ事業の営業利益、約1,710億円(1兆7,100億ウォン)達成

韓国Samsung Electronicsは、27日に行われた2017年第2四半期カンファレンスコール(電話会議)で、売上高は約6兆1,000億円(61兆ウォン)、営業利益は1兆4,070億円(14兆700億ウォン)となり、このうち、ディスプレイ事業の売上高は約7,710億円(7兆7,100億ウォン)、営業利益は1,710億円(1兆7,100億ウォン)を達成したことを明らかにした。ディスプレイ事業は、2016年第3四半期以来、4四半期連続で約1,000億円(1兆ウォン)を超える黒字となった。

Samsung Electronicsによると、2017年第2四半期には、フレキシブルOLEDパネルの売上高増加と高付加価値LCDの販売増加によって、前四半期実績を上回った。

主要顧客によるフラッグシップモデルの販売拡大で、フレキシブル製品の販売が増加し、OLED部門の売上高は、総売上高の約60%を占めた。また、UHDと大型TVを中心とする高付加価値製品の販売拡大によって、LCD部門の売上高が増加した。

下半期のOLED部門については、フレキシブル製品の供給を拡大し、上半期に比べ売上高が増加すると予想されるものの、中低価格帯市場については、LTPS LCDとの競争が激しくなり、第3四半期には新規ラインの生産能力拡大によるコスト増加のリスクがあると見込まれている。新規ラインで安定的に生産を拡大することで、主要顧客の需要に対応し、製品ミックスを見直して収益率を改善していく方針だ。

下半期のLCD部門については、セットメーカーにおけるパネルの在庫増加とパネルメーカーの供給拡大による需給不均衡が予想されるものの、高解像度と超大型TVなど、プレミアムTV市場での成長が続く見込みだ。そのためには歩留まり率とコストを改善し、UHDや大型など高付加価値製品とフレームレスや曲面など、独自のデザイン製品の販売を拡大し、収益性を向上する計画だ。

Samsung Electronicsは2017年第2四半期にスマートフォン9,300万、タブレット600万台という販売を達成しており、第3四半期の販売は前四半期比で、スマートフォンは小幅増加、タブレットは同様となる見込みだ。LCD TVの販売は900万台を達成し、第3四半期には1桁成長に留まると予想される。

第2四半期に設備投資は、総計約1兆2,700億円(12兆7,000ウォン)規模で、そのうちディスプレイに約4,500億円(4兆5,000億ウォン)の投資が行われた。今年の設備投資計画は、まだ未確定だが、半導体とディスプレイを中心に、前年比投資が大幅増加する見込みだ。ディスプレイについては、フレキシブルOLEDの需要増加に対応するための生産増大に向けた投資が行われると予想される。

Samsung Displayイ・チャンフン常務は「スマートフォンのセットメーカーによるOLED採用増加で、需要も増加すると見込まれている。現在OLEDラインは、市場需要と顧客のニーズによって、弾力的に運営している。今後もOLEDラインの活用や運営は、市場需要と顧客ニーズに合わせ、戦略的に対応する」と明らかにした。しかし、LCDラインをOLEDに切り替える計画は、まだ考えていない と説明した。

LG Display、2020年 総売上高の40%をOLEDが占める見込み

韓国LG Displayは、7月26日に行われた2017年第2四半期カンファレンスコール(電話会議)で、OLEDを中心に売上構造を変えていく方針を表明し、総売上高のうち、OLEDの売上が占める割合について、2017年10%から2020年まで40%に増加すると予想した。

 

LG Display最高財務責任者(CFO)のキム・サンドン氏によると、4年間韓国京畿道国坡州(Paju)市にあるP10工場に、約1兆5,000億円(15兆ウォン)規模の第10.世代OLEDと第6世代POLED生産ラインに投資することを明らかにした。キム・サンドン氏は「OLED TV需要が2018年に250万台、2020年に600万台になると予想されるなど、その需要が急増しているので、量産と効率性向上のためには、必ずP10への先行投資が必要になる。P10工場をOLEDの拠点とする」と述べた。

 

また、キム・サンドン氏は「P10工場の第10.5世代OLEDラインは、2017年7月から2019年1月まで、必要な装置の発注と設置を行い、今後6~12カ月間にテストを実施し、マザーガラスを基準に月3万枚規模のOLEDを量産することが第1次目標だ。P10工場に投資額約5,000億円(5兆ウォン)を投入し、月3万枚規模の第6世代POLED新規ラインを増設する計画で、2019年から生産を開始する予定だ」と説明した。

 

LG Displayは既に投資した韓国慶尚北道亀尾(Gumi)市にあるE5ラインで、今年中に月1万5,000枚規模の第6世代POLEDを量産し、坡州(Paju)E6ラインでは、2018年第2四半期の間に月1万5,000枚規模の第6世代POLEDを量産する計画を明らかにした。中国広東省広州市にあるOLED新規ラインでは、約5,000億円(5兆ウォン)を投資し、2019年上半期から月6万枚規模の8.5世代OLEDを量産すると語った。また、最近注目を集めている第8.5世代OLEDへの投資による技術流出の懸念について、キム・サンドン氏は「複製できない複合的な技術のOLEDは、2013年から現在まで、広州市にあるLCDラインで技術流出という問題は起きたことがない。むしろ装置の国産化と様々な投資によるメリットが多い」と述べた。

 

2017年第2四半期の売上高は、約6,629億円(6兆6,290億ウォン)で、前四半期の約7,062億円(7兆620億ウォン)に比べ6%減少したが、前年同期の約5,855億円(5兆8,550億ウォン)に比べ13%増加した。 製品別販売実績の割合は前四半期比で、TV用パネルが 3ポイント増加した46%、モバイルパネルが4ポイント減少した22%、ノートパソコンやタブレットパネルが1ポイント減少した15%、モニター用パネルが2ポイント増加した17%となった。LG Displayの説明によると、上半期は季節的にオフシーズンに入ったため、実績が落ちたが、オンシーズンに突入する下半期には上半期に比べ出荷量が増える。

LG Electronics、「2017年のプレミアムTV 売上高、60%を超える見込み」

韓国LG Electronicsは、27日に行われた2017年4~6月期(第2四半期)のカンファレンスコールで、TV製品全体の売上高でプレミアムTV製品が占める割合は、2016年に約40%、2017年上半期に約50%、2017年の年間売上高は約60%まで拡大する見込みだ」と述べた。

 

LG Electronicsホームエンターテインメント(HE)事業本部における4~6月期の実績は、売上高高約4,234億円(4兆2,349億ウォン)、営業利益約343億円(3,430億ウォン)を記録したと発表した。売上高高は前期比2.1%減少し、世界のTV市場での需要が引き続き減っているが、OLED TV等のプレミアム製品の販売拡大により、前年同期比の売上高は1.9%成長した。

 

LG Electronics HE事業本部のハ・ジンホ常務は「4~6月期の実績は、パネル価格の上昇とともに新製品の販売開始に伴うマーケティング活動の拡大により、前四半期及び前年同期比で小幅下落したものの、プレミアムTVの販売拡大や持続的なコスト構造の改善を通じ、健全たる利益構造を維持してきた。7~9月期には、利上げや原油相場の下落などが影響し、世界的なTV市場の成長鈍化が懸念されているが、OLED TVとUHD TVの需要増により、プレミアムTV市場は引き続き成長する」と予想した。

 

続けて、ソニーに対する戦略の質問には「ソニーのOLED TVを判断するにはまだ早いが、これまでの製品のデザイン、画質、ラインアップの側面から見ると、LG ElectronicsのOLED TVがかなり優位を占めていると判断する」と答えた。

最近のLG Displayの大型OLEDパネルへの投資については「両社が知恵を絞り合い、全体的にはOLED TVのプレミアム地位を高め、世界最高レベルのプレミアムTVの戦略をリードしていく」と述べた。

 

LG ElectronicsはTV事業について「プレミアム中心に収益性を改善してきた上に、量的競争は絶対的に控えている」とし、「これからも量ではなく質を中心に事業を進めていく」と説明した。又、「全体像としてOLEDのプレミアムイメージを大幅に向上するために努めていく」と付け加えた。

 

下半期のTVの販売シーズンを迎え、プレミアムTVを中心とするマーケティング活動を通じ、プレミアムTVの販売増の維持を目標に、安定した収益構造を維持していくと発表した。

OLEDと競い合う次世代ディスプレイは?

先日の14日に開催されたUBI Research主催の「最新ディスプレイ及び車載用ディスプレイ技術動向」セミナーで、次世代ディスプレイとして注目を集めているマイクロLED、QLED、ホログラムなどについて発表が行われた。

 

韓国順天郷大学のムン・デキュ教授は「マイクロLEDディスプレイ技術と市場現況」をテーマに「マイクロLEDは、高解像度を実現するだけでなく、パネルの形とサイズに制限されないため、曲面(Curved)ディスプレイやフレキシブルディスプレイを実現しやすい。また、マイクロLEDをディスプレイに採用することで、小さい基板でも高解像度を表現できるので、VRなどにも採用できる。 公共ディスプレイに採用する場合、複数のディスプレイパネルをつなぎ合わせる従来のタイリング方式から離れることができる」と見込んだ。

 

しかし、数百個のLEDチップを速やかで正確に移送し、調合する問題とLEDチップ間の色と発光効率の差、ディスプレイに採用する場合のアクティブマトリクス(Active matrix)の実現など、技術的な問題がまだ残っていると説明した。

<順天郷大学のムン・デキュ教授>

引き続き、韓国科学技術研究院のファン・ドキョン博士とペ・ワンキ先任研究員、電子部品研究院のオ・ミンソク博士は、量子ドット(Quantum Dot)の製造原理とこれを用いた自発光QLEDの可能性を紹介した。ファン・ドキョン博士は「量子ドットは大きさによって、自由自在に色を変更し、半値幅が狭いという利点を持つ。自発光QLEDは、OLEDより色純度が高いディスプレイを実現することができる」と説明した。

 

ペ・ワンキ先任研究員は「現在、量子ドットの効率は向上し続けているが、寿命はOLEDより短い。企業などの大規模で研究を進めたら、技術発展も加速していく」と述べた。

 

オ・ミンソク博士は「LCDとOLEDの後を次ぐ次世代ディスプレイ技術が必要となる。現在、QLEDが次世代ディスプレイとして大きな注目を集めているが、発光材料の開発にしか集中しないという問題、溶液工程関連材料、技術不足、非カドミウム系の高校率青色発光材料の開発など、様々な争点がある」と述べた。

<電子部品研究院のオ・ミンソク博士>

ついて説明し、ホログラムを実現するためには、これを表現できるディスプレイが必要となると強調した。また「現在、ホログラフィックプリンターや顕微鏡があるが、TVに採用するにはまだ技術力が足りていない。先にホログラム用フィルムを開発した後、画面を実現する機能設計を必ず行わなければならない」と語った。

 

次世代ディスプレイについて発表が続く中、ほとんどの講師が技術的な問題の解決とディスプレイの実現に向けた学校、研究所、企業の協力と参加の重要性を強調した。代表的な次世代ディスプレイとして浮上しているマイクロOLED、QLED、ホログラムに関する研究開発が本格化することで、ディスプレイ業界では、今後の市場をリードするための競い合いが一層激しくなる見込みだ。

車載用ディスプレイに最適なOLED

先日の7月14日、韓国ソウル市内にあるコンベンションセンターコエックスで「最新ディスプレイ及び車載用ディスプレイ技術動向」をテーマに、UBI Research主催で次世代ディスプレイの最新技術現況を分析するセミナーが開催された。

今回のセミナーで自動車部品研究院のパク・ソンホン先任研究員は「視覚的な情報の提供が重要になり、ディスプレイへの興味が高まっている。OLEDは柔軟な設計が可能で、透明ディスプレイの実現が容易になるため、多く採用される」と今後の見通しついて説明した。

 

また、自動車のデジタル化が進むと述べながら「特に、2020年には中国が全世界の自動車消費市場の50%を占めると予想しており、派手なデザインを好む中国人の特性に合わせ、OLEDを含むディスプレイが多く採用される」と見込んだ。

 

最近話題になったサイドミラーを無くした自動車を紹介し「応答速度が速く、視野角が広いOLEDを採用する可能性が高い。信頼性問題が解決すれば、OLEDは車載用に最適化されたディスプレイになる」と説明した。

 

UBI Researchが発刊した『Automotive Display Report – Application & Market Trend Analysis and The Market Forecast』では、2018年から自動車のクラスター(Cluster)やセンター インフォメーションディスプレイ(Center Information Display:CID)にOLEDパネルの採用が本格化すると予想されている。車載用ディスプレイの市場規模は、年平均成長率約17%で、2022年には約250億米ドルになると見込んでおり、そのうち、AMOLEDパネル市場は市場全体の約20%を占めると予想されている。

<車載用ディスプレイ市場におけるディスプレイ別占有率展望:2017~2022年>

今後のOLED市場実績は?

先日の6月に韓国ソウル市汝矣島にある全経連会館で開催されたUBI Researchの「上半期セミナー:OLED市場分析と最新技術セミナー」で、イ・チュンフン代表は、2017年上半期のOLED産業投資と量産状況の分析に基づき、今後の市場見通しについて発表した。

 

イ・チュンフン代表は、中国セットメーカーによるOLEDの需要増加で、2021年には中国がOLED装置市場をリードすると強調した。2021年に中国の装置市場は、装置市場全体の約48%を占めるようになり、約405億米ドル規模の投資が行われる予定だと述べた。

 

また、このような中国の動きは、OLEDスマートフォン市場にも影響を与えると予想される。2019年にはOLEDスマートフォンがLCDスマートフォン市場を追い越し、2021年にはOLEDスマートフォンが同市場全体の80%を占めると見込まれる。

 

フレキシブルOLEDについては、2017年から2019年まで、韓国Samsung Electronicsと米国AppleのフレキシブルOLEDの需要増加に対応するSamsung DisplayとフレキシブルOLED市場で2位を目指している中国BOEによる大規模の投資が行われると見通した。

イ・チュンフン代表、2018年からはBOEの第10.5世代LCD工場で、65型パネルの量産が開始されることにより、今後は、65型以上の製品がプレミアムTV市場を形成すると分析した。この影響で、第10.5世代を保有していないパネルメーカーは、第8世代ラインでMMG(Multi Model on a Glass)方式にて65型パネルを生産すると明らかにした。

 

韓国LG Displayは、第8世代TV用OLED生産を維持し、2020年以降から第10.5世代ラインでOLEDを生産すると予想された。

 

UBI Researchが発刊した『2017 OLED製造装置レポート(2017 OLED Manufacturing Equipment Annual Report)』では、2017年から2021年までOLED製造装置市場の占有率について、TFT装置が45%、OLED画素形成装置が17%、封止(Encapsulation)装置とセル装置が各々13%、モバイル装置が12%になると予想されている。今後フレキシブルOLEDに対する需要が大きく増加する見込みで、セル装置とモジュール装置の市場占有率は、全体の25%まで拡大し、一層重要になると予想される。

【LED&OLED EXPO 2017】様々なアプリケーションが創出できるOLED照明

韓国国内最大規模の国際光融合エキスポである「国際LED&OLED EXPO 2017」が、27日から三日間韓国京畿道高陽市にあるキンテックスで開催された。多くのOLED照明メーカーが参加し、照明製品を数多く展示した。

韓国生産技術研究院は、韓国光産業振興会、韓国光技術院、韓国照明研究員院などと共同で、OLED照明産業クラスター助成事業のブースを設置し、スタンド型と天井型など、リジッドOLED照明を数多く展示した。

<HausandのMirror Desk OLED照明>

韓国生産技術研究院の研究員は「現在、開発されたOLED照明の寿命は、LT50を基準に15,000時間で、40,000時間を目標に開発している。柔らかくて透明な設計が可能で、厚みも薄いので様々なプリケーションが創出できる。ヨーロッパでは、LEDの照度に上限があり、OLEDに注目が集まっている。また、照明市場は中国メーカーによって飽和しているので、OLEDの方が可能性が高い。市場が広くなればなるほど、工程が簡単なOLED照明の価格がLEDより低くなる」と語った。

 

様々なフレキシブルOLED照明とリジッドOLED照明を披露した韓国JOONGWOO M-TECHの関係者は「現在実用化されているOLED照明の寿命は、LT50を基準に40,000時間で、日常生活でも十分に使える。OLEDは面照明として、ブルーライトが少なく、LEDに比べて採用可能なデザインのバリエーションが多い。今後もフレキシブルOLED照明を開発し続けて他の照明との競争で、優位に立つと明らかにした。

<JOONGWOO M-TECHのフレキシブルOLEDムードライト>

韓国成均館大学は、Roll-to-Roll工程で直接製作したフレキシブルOLED照明を披露した。成均館大学関係者は「Roll-to-Roll工程を適用することで、生産時間を短縮することができた。厚みが薄く、柔らかいので、様々な照明分野に適用できる」と期待感を表した。

 

他にも、韓国O’CLESSは、Mirror OLED Lightingを披露し、大きな興味を集めた。韓国Wooree Lightingによるスマートフォンのワイヤレス充電機能を採用したスタンド型OLED照明は、産業通商資源部長官賞を受賞するなど、次世代光源であるOLEDの競争力を証明した。

<Wooree Lightingのスタンド型OLED照明>

AR/VR用ディスプレイ市場レポート発刊 : AR/VR市場、2019本格極拡大 – その動力は?

■ 2021年AR/VRの総体売上高は587億米ドの見通し

■ UHDコンテンツの量産とVR用大容量コンテンツを高速転送できる5Gの導入が予想される2019年に拡大する見込み

 

最近、ICT(Information and Communications Technologies)技術の発展によって、第4次産業革命が新成長動力として注目されており、主要技術の一つである拡張現実(Augmented Reality、以下「AR」)と仮想現実(Virtual Reality、以下「VR」)に対する興味が高まり、Oculus RiftやGear VRなどの製品が続々と発売されている。

 

販売を開始したAR製品には、米国MicrosoftのHoloLens、米国GoogleのGoogle Glassなどのガラスタイプがあり、VR製品には米国Oculus VRのOculus Rift、台湾HTCのVive、ソニーのPlayStation VRなど、HMD(Head Mounted Display)-based VRのようなタイプと韓国Samsung ElectronicsのGear VRのようなSmartphone-based VRタイプがある。

 

7日に発行されるUBI ResearchのAR/VR用ディスプレイ市場レポートでは、2017年に1,700万個のAR/VR製品が出荷され、39億米ドル規模の売上高を達成すると予想される。特に、UHDコンテンツの量産とVR用に大容量データを遅延時間が生じない高速で処理またはストリーミングするための5Gが2019年から導入される見込みという。これによって、AR/VR製品の総出荷量は、年平均成長率54%で2021年には9,640万個になり、総売上高は587億米ドルになると予想される。

 

本レポートでは、AR/VR市場を分析するために、市場を大きく分けて製品とディスプレイに分類し、詳しくはAR/VR製品市場全体、VR製品タイプ別市場、AR/VR用ディスプレイ市場全体、AR/VR用OLEDとその他のディスプレイタイプ別市場に分類した。

 

VR酔いがなく没入感の高い仮想現実を体験できるためにLatency、FOV、Refresh Rate、高解像度のディスプレイ要件を主要な争点として分析し、2014年から2016年まで発売されたAR/VR製品をタイプ別にまとめた上で、ディスプレイの種類と主要メーカーの製品などに分類し、比較分析を行った。

 

また、米国のAppleとFacebookなど、主要ITメーカーによるAR/VR製品の発売現況、関連特許、関連メーカーの買収などの事業推進現況や主要パネルメーカーにおけるAR/VR製品の展示動向をまとめ、関連メーカーには業界の主要動向を把握する際に参考になるとみられる。

 

UBI Researchは、2017年のAR/VR用OLEDの出荷量は260万個になり、その他のディスプレイの出荷量は240万個になると予想し、全体市場の占有率については、OLEDは52%になり、その他のディスプレイは48%になると予想した。また、2021年には5,200万個を出荷し、全体市場で80%を占有することになると予想した。

<AR/VR用ディスプレイのタイプ別出荷量展望>

2017年9月7日、ドイツ・フランクフルトで国際TADFシンポジウム開催

TADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence)技術は、OLEDに効率的で安定的なエミッタ材料を提供する新しい技術で良く知られている。TADFエミッタは、OLED産業における次世代材料の発展に貢献し、多くのOLEDアプリケーションを創出できると期待されている。現在、TADFはOLEDを改善する主要技術として多くの注目を集めており、このTADF技術の重要性と次世代OLEDにおけるTADFの影響力は、ドイツのフランクフルトで開催される国際TADFシンポジウムで紹介される予定である(www.tadf-symposium.com)。

IFAカンファレンス直後、ヨーロッパと韓国の大学で世界的に有名な研究員が、TADF OLED素材の開発に関連するモデリングから分析、素子製作に至るまで、様々なテーマについて議論を展開する。OLED産業をリードしている韓国のLGとSamsungは、OLED産業に関する意見と高効率TADFが市場にどのような影響をを及ぼすかについて発表する。また、代表的なTADF材料の供給メーカーであるドイツCYNORAは、青色TADFエミッタの初の実用化について、進行状況と最終段階を公開する。

 

国際TADFシンポジウムは、9月7日にドイツのフランクフルトで開催される予定で、参加申込は8月15日まで受け付ける。

OLED製造時間を1/10に短縮する

OLEDを一層迅速に製造できる技術が開発された。

韓国研究財団によると、ハンバッ大学ユン・ホンソク教授の研究チームは、高圧のAir Jetを噴射し、多層のOLED薄膜を希望する場所へ効果的に移動することができる高速スプレー技術を最初に開発した。

 

OLEDスプレー法は、多層の薄膜を基板から一度に剥がし、他の薄膜と結合させて素子を製造する。この際、薄膜が破れたり、しわくちゃになったり、角が剥がれたりするため、量産には対応しにくいのが実情だった。

<Air Jetを用いた高分子OLED多層薄膜のスプレー原理概念図、参考:韓国研究財団>

研究チームは、新技術であるAir Jetを用いた高速剥離技法を考案し、薄膜と基板の間の結合エネルギーを効果的に調整する原理を利用した。基板とOLED薄膜の間に音速に近いAir Jetを噴射すると、基板との結合力が効果的に低下し、薄膜に影響を与えずに噴射することができる。Air Jetを用いた高速スプレー技術は、OLEDを噴射する時間しかかからないため、工程時間は従来のOLEDに比べ、1/10程度に短縮された。OLED薄膜を溶液でコーティングして低価に製造できる。

 

ユン教授は「この研究は、Air Jetを用いてOLED薄膜を傷つけずに、効果的に噴射できるため、OLED素子を迅速に製造できる技術を開発したとも言える。OLED照明、広告、ディスプレイなど、様々な分野で使われているOLEDの製造コストを画期的に削減することができる。今後、太陽電池、半導体素子などの基礎電子素子に応用できると期待される」と研究の意義を説明した。

 

この研究成果は、韓国未来創造科学部と韓国研究財団における基礎研究支援事業の若手研究者支援事業により支援を受けて実施された。ナノ素材応用分野の国際学術誌(Nanoscale)6月9日付に掲載された。

OLED TVは、画質だけでなく、デザインと音質などの全領域において優れている

「従来のOLED TVが画質を中心としていたのであれば、現在のOLED TVは、画質だけではなく、デザインと音質など全領域で優れているTVだ」

 

先日の5日、韓国江原道横城郡で開催された「第12回ディスプレイ国家研究開発事業総括ワークショップ」の基調演説で、韓国LG Displayのユン・スヨン常務は、明暗と色表現力を含む優れた画質、自由なデザイン設計、音質向上など、OLED TVの特徴を紹介した。

ユン常務は「LCDとは異なり、自発光であるOLEDは、ピクセル単位で制御できるため、明確な黒を表現し、無限大のコントラストを実現できるので、表現の範囲がとても広い。夜空の星や月を表現する最適なディスプレイはOLEDだ」と述べた。また「OLED TVは正確な色表現力を持ち、自由に中間調表現ができるため、リアルな色を実現する」とOLED TVの優れた画質を強調した。

 

引き続き、CES 2017で多くの来場者の注目を集めた壁紙(Wall Paper)とCSO(Crystal Sound OLED)を紹介しながら「従来のOLED TVが画質を中心としていたのであれば、現在のOLED TVは、画質だけではなく、デザインと音質など全領域で優れているTVだ」と明らかにした。特にスピーカーを内蔵する方式については「デザイン改善の効果と共に口とサウンドの位置を一致させることで、没入感のある画面を実現することができる」と語った。

 

ユン常務は、実用化を目的に開発された77型UHD解像度、透過率40%、曲率半径80Rを実現する透明フレキシブルOLEDを紹介し、透明ディスプレイとフレキシブルが未来のディスプレイになる説明した。また、ソリューションプロセス用装置と材料を開発しているため、新しい形のアプリケーションとフォームファクタ(Form Factor)が必要になると語った。

 

最後に、韓国京畿道坡州市にあるP10工場については「今年末に完成予定のP10は、きちんと準備しているので新しいOLED TVが生産できる」と期待感を示した。

OLED光効率を改善するための新たなアプローチ、高偏光OLED

6月に開催されたUBI Researchの上半期セミナー「OLED市場分析と最新技術」で、韓国漢陽大学のキム・ジェフン教授は、高分子OLED発光層に微量のキラル(Chiral)分子を添加・発光する偏光を調整する方法により、光効率が60%まで向上したと述べた。

LCDに直交する形で採用された2枚の線形偏光板は、バックライトユニットから発される光を液晶の動きを通して透過又は遮断するために使用されている。また、1枚のOLED円形偏光板は、外光の反射を防止し、屋外での視認性を向上するために使用されている。

 

今まで、ディスプレイに関するメーカーは、偏光板で失われる50%以上の光を改善するために、素子構造及び光抽出技術、素材開発、発光メカニズムの開発に集中してきた。それに対してキム教授は「新たな観点からのアプローチが必要だ」と語り、偏光を用いてOLEDの光効率を向上する方法と研究結果を説明した。

<キラル分子が添加されたOLED構造のシミュレーション図>

キム教授は「OLEDの高分子材料は、一般的に液晶性を有するため、高い線形偏光光を作り出す。その光がキラル分子の添加された発光層を通過するようになると、円形偏光性が高い光になる」と説明した。また「理論上では光効率を100%まで引き上げられる。そうなると、低消費電力でもっと明るいOLEDを実現することができる」と付け加えた。

 

実際、キム教授の研究チームは、このような原理を導入して従来のOLEDに比べ、光効率が60%向上したOLEDを開発した。また、低分子材料を基盤とする円形偏光に関する研究計画も明らかにした。

 

今回の研究は「未来型ディスプレイの主要技術開発」事業からの支援で実施されており、研究結果は国際学術誌「Advanced Materials」最新号に掲載された。

OLEDON、面蒸発源FMMからAMOLEDの未来を発見!

2014年、Galaxy Note4に初めてQHD(約515ppi)OLEDが採用されて以来3年経過したが、OLEDの解像度はまだQHD解像度に留まっている。UHD以上の高解像度OLEDを製造するためには、15um以下のFMMが必要だが、様々な技術的な問題で、量産には採用できていない状況である。

 

6月30日に韓国ソウル市汝矣島にある全経連会館で開催されたUBI Researchの「上半期セミナー:OLED市場分析と最新技術セミナー」で、韓国檀国大学実験室ベンチャーのOLEDON代表ファン・チャンフン教授は、UHD以上の高解像度OLEDを製造する唯一の方法で、面蒸発源FMM蒸着技術を提示した。

 

ファン教授は「AMOLEDの解像度を向上するためには、有機分子ビームの蒸発角を10度未満に抑え、TFT素子のアスペクト比(Aspect Ratio)を1.0程度に維持しなければならない。現在、知られている線形蒸発源(Linear Source)の蒸発角度(入射角)は約40度であり、Shadow Distanceは約3um、SUHDレベルのAMOLEDパターニング工程を経る際に、パターンの幅、Shadow Distanceの割合、アスペクト比が増加する。結局、今のパターニング技術では、薄膜のUniformity(均一性)が減少してしまう」と述べた。

 

また、ファン教授は「線形蒸発源蒸着技術だと、QHD以上の解像度を実現するには限界があり、面蒸発源 FMM蒸着技術だけが、2000ppi以上のOLEDを製造できるたった一つの方法だ」と強調した。

<ファン教授が発表した2250ppi AMOLEDの技術的な問題点、参考:UBI上半期セミナー>

OLEDONの面蒸発源 FMM蒸着技術で測定したShadow Distanceは0.68~1.05um、入射角は13~19度で、解像度に換算すると最大1500ppiの素子を製造することができる。新たに開発したX面蒸発源では、Shadow Distance0.38~0.56um、入射角は7.2~80度で、解像度に換算すると最大3300ppiの素子を製造することができる。先日のSID2017でも、ジン・ビョンドゥ教授とファン・チャンフン教授のチームは、面蒸発源パターニング蒸着技術を採用し、世界で初めて測定したサブミクロン(Sub-micron)スケールのShadow Distance結果を紹介し、今後スケールアップのための開発で、大型OLEDディスプレイ生産に応用する場合、11K(2250ppi)以上のスーパーウルトラ(SUHD)解像度を持つマイクロAMOLED素子を製造できると発表したことがある(論文名:Plane Source evaporation techniques for Super ultra high resolution flexible AMOLED)。

<面蒸発源FMM蒸着技術によって収集されたSub-micron Shadowデータと入射角データ、参考:UBI上半期セミナー>

OLEDONは、今回の開発結果を基に、面蒸発源を活用した超高解像度のマイクロOLED素子を製造できる研究用面蒸発源 FMM蒸着機を檀国大学内で開発・設置する計画を明らかにした(OLEDON 公式ウェブサイトwww.oledon.co.krを参照)。

LG Display、世界初の77型透明フレキシブルOLEDディスプレイ開発に成功

<参考 : LG Display>

韓国LG Displayは、22日に「大型透明フレキシブルディスプレイR&D成果報告会」で、政府の主導による世界初の77型UHD透明フレキシブルOLEDディスプレイの開発に成功したと発表した。LG Displayが開発した77型透明フレキシブルOLEDディスプレイは、UHD(3840×2160)解像度を持ち、透過率40%、曲率半径80mm(半径80mmの円筒形に変更可能)を実現する。最初の目標である60型以上、曲率半径100mmを上回る成果である。

 

LG Displayは、77型透明フレキシブルOLEDディスプレイだけではなく、透明モードと透明性を遮断するOptical Shutter Filmが付着された55型透明ディスプレイを披露した。

 

今回の成果について、産業通商資源部のイ・インホ第1次官は、「韓国が1位の座を守っているOLED分野で、透明フレキシブル技術の開発により、今までスマートフォンやテレビに留まっていたOLEDパネルの活用分野が建築、自動車、医療分野など、大きく広がっていくと期待している。これを機に、他国との格差を拡大する基盤が固まる」と強調した。

 

LG Display最高技術責任者(CTO)のカン・インビョン専務は「今回の課題を果たすことで、大型OLEDの技術力を向上すると同時に、OLED産業分野や新市場の拡大に貢献できると期待している。今後も、未来のディスプレイ市場をリードする企業として、一層高い価値を提供するために努力する」と述べた。

 

透明フレキシブルディスプレイの国策課題は、産業通商資源部と韓国産業技術評価管理院の共同主観により、ディスプレイ産業の発展と世界1位の国家競争力確保を支援する目的で、開始された事業である。LG Displayは、2014年に18型透明フレキシブルOLEDディスプレイ、2015年に曲率半径30mmを持つ18型Rollable(丸められる)ディスプレイ、2016年に40%の透明度を持つ55型ディスプレイなどを開発してきた。

LG Display、OLED TV開発で日本ディスプレイ学会から「業績賞」を受賞

韓国LG Displayは、東京NHK技術研究所で開催された第24回有機EL討論会で、大型OLED TV生産を実現したWRGBの優れた技術力と大型OLED TV市場を開拓した功績が認められ、海外企業としては初めて「業績賞」を受賞したと16日に明らかにした。

LG DisplayがCES 2017で公開した55型の透明OLED、参考:LG Display

有機EL討論会は、東京大学と九州大学、ソニー、ジャパンディスプライ、JOLEDなど、OLEDに関わる日本の主要業界と学界の専門家が集まり、芸術、応用研究、実用化策を発表・討論する学会である。

 

有機EL討論会によると、LG Displayは、大型OLED TV生産を実現した技術力と大型OLED TV市場を開拓した功績が認められ、海外企業として初の業績賞を受賞した。

 

LG Displayが業績を認められたWRGB技術とは、TFT(Thin Film Transistor)基板の上に、赤(R)・緑(G)・青(B)の有機物を水平に配列するRGB方式ではなく、各々の有機物を垂直に積み上げ、白(W)素子を加え、4つが一つのサブピクセルを構成する方式である。

 

LG Displayは、この技術の採用で、2013年1月に世界初のOLED TVパネルを量産すると同時に大型OLED TV市場を開拓した。

 

LG Displayは、今回の受賞について「フラットパネルディスプレイを主導している日本で、大型OLEDパネルを生産しているLG Displayの技術力が認められたのは、非常に大きな意味を持つ」と強調した。

 

LG Display OLED TV開発グループのオ・チャンホ専務は、今回の受賞について「LG Displayが業界最高の専門家から、OLED技術力を認められたのは、大変喜ばしいことた。今後独自のOLED製品を開発し、ディスプレイ産業の発展に貢献できるように、努力を続ける」と述べた。

 

LG DisplayはSID 2017で、65型UHD壁紙OLEDパネルにおいて、優れた画質を実現した上で、更に応用範囲とデザイン面でもディスプレイの新しい可能性を開いた革新的な製品として高く評価され、今年のディスプレイ賞(Display of the Year)を受賞したことがある。

UBI Research、OLED製造用装置市場レポート発刊

■ 今後5年間、全体OLED装置市場規模は849億米ドルになる見通し

■ 韓国と中国パネルメーカーによる装置への投資規模は全体の90%を占有

 

UBI Researchが発刊した『2017 OLED製造装置アニュアルレポート』は、全体OLED装置市場規模は、2017年から2021年の二年間で、総849億米ドル(約93兆ウォン)になると見通した。2017年にはOLED装置へ164億米ドル(約18兆ウォン)規模の投資を行うという。

OLED装置市場を分析するために、装置を工程別にTFT、OLED、封止(Encapsulation)、セル(Cell)、モジュールの五つに分類した。各工程別の物流装置と検査装置を含む投資費用を計算し、タッチパネル関連装置は市場分析から除外した。

 

UBI Researchチャン・ヒョンジュン先任研究員は、OLED産業をリードしている韓国パネルメーカーによる継続的な投資を中国の後発パネルメーカーによる大規模投資から、韓国と中国がOLED装置市場をリードすると見込んだ。

本レポートで、国家別OLED装置市場は、2017年から2021年まで中国が全体の48%、韓国が全体の42%を占め、この二国がOLED装置市場をリードすると予想される。韓国と中国は2017年と2018年に、328億米ドル(約36兆ウォン)の大規模投資を行うと予想される。

韓国では、Samsung Displayが、自社のギャラクシーシリーズと米国Appleに採用する中小型OLEDラインへの投資を拡大し、LG Displayは、大型OLEDラインと中小型OLEDラインへ同時に投資している。中国では、BOEとCSOTがOLEDラインへ積極的な投資を行うと見込まれており、特にBOEは2017年から中小型OLEDラインへ毎年3万枚以上投資すると予想される。

<左) 国家別OLED装置市場占有率, 右) 工程別OLED装置市場占有率>

2017年から2021年まで工程別OLED装置の市場占有率は、TFT装置が45%、OLED画素形成装置が17%、封止(Encapsulation)装置とセル装置が各々13%、モバイル装置が12%になると見込んだ。今後フレキシブルOLEDに対する需要は大きく増加すると見られており、セル装置とモジュール装置の市場占有率は、全体の25%まで拡大し、一層重要なると予想される。

Novaled、ドイツドレスデンでOLED材料生産設備とR&Dセンター着工記念式を開催

写真出典 : Novaled

ドイツNovaledは、2017年6月12日にドイツドレスデンで、OLED材料生産設備とR&Dセンターなど、着工記念式を開催した。

Novaledによると、ドレスデン北側に10,200m²の敷地に長さ110mのR&Dセンター、ISO5とISO7のクリーンルーム、研究所など、OLED材料生産設備と社屋を建設すると発表した。全ての設備が完成されたら、開発チームは建物面積6,160m²で次世代OLED材料開発に専念できると期待されている。

2013年にNoveledを買収した韓国Samsung SDIは、2,500万ユーロの投資を決定し、今回の投資をきっかけに、次世代OLED主要材料の事業拡大が予想されている。

Novaled CEOのGerd Günther氏は、「顧客、供給メーカー、社員のために、アクセスしやすい場所、優秀なインフラ、最先端装置、開発チームのための広い空間など、新しい所在地は、様々な利点を持っている。今回の着工は、OLED技術革新をリードし、新市場を開くことで、顧客とアプリケーションを確保できる最高の前提条件だ」と述べた。

Novaledは、現在量産向けOLED有機ドーパントを供給している唯一の供給メーカーとして知られている。Novaledのドーピング技術は、ほぼ産業標準として位置付けられており、多くのスマートフォンとタブレッドのようなOLEDディスプレイ、ドイツAudi TTのテールランプのようなOLED照明、有機太陽電池のような応用装置に採用されている。

写真出典 : Novaled

CYNORA、新しい高効率青色OLEDエミッタの性能を公開

TADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)材料において、代表的な先進企業であるドイツCYNORAは、最近開発した青色エミッタの性能を公開した。CYNORAは、今回の成果に基づき、2017年末に初めてTADF製品の実用化を目指している。

 

OLEDパネルの製造メーカーにとって、高効率青色エミッタは、低電力と高い解像度を実現するために必要な材料である。そのため、高効率青色エミッタに対する要求は継続的に増加しているが、実際に対応する製造メーカーは中々ないのが実情だった。

 

先日SID 2017でCYNORAは、OLEDパネルの製造メーカーが求めるレベルに近い性能を持つ青色エミッタを公開し、来場者の注目を集めた。当時、公開した青色エミッタは、TADF技術を採用し、デバイスレベルで470nm以下の発光ピーク(Emission Peak)、90時間以上の寿命(LT97@700 cd/m2)、15%(@1000 cd/m2)EQEを持つ。

 

CYNORA最高科学責任者(CSO)のThomas Baumann氏は「CYNORAの高効率青色エミッタは、顧客に求められる範囲の性能を持ち、今まで発表してきた青色エミッタの中で、最も優れている結果を達成した。発光ピークを460nmに変化させることに傾注している」と今後の研究方向を述べた。

 

CYNORA最高マーケティング責任者(CMO)のAndreas Haldi氏は、「今回の研究成果で 、計画通りに今年の末には、高効率の青色エミッタを販売できる確信を持った。TADFの先進企業として位置付けるために、全てのカラーエミッタを始めとし、2018年には緑色エミッタを、2019年には赤色エミッタを発売する予定だ」と今後の計画を明らかにした。

LG DisplayのOLED照明‘Medusa’、MIAW受賞

韓国LG Displayは、4月にイタリアミラノで開催されたEuroluce 2017で公開した‘Medusa’が、MuuuzとArchiDesignClubが共同主催するMIAW(Muuuz International Awards)の照明部門を受賞することを5月31日公式サイトにて発表した。MIAWは毎年、建築と建築物のレイアウト、コーティングと材料、家庭用家具、照明、台所とお風呂場、アウトドア用製品等、最も優れている新製品を選定する。

‘Medusa’は、世界的な権威を持つ産業デザイナーRoss Lovegrove氏と共同開発したOLED照明で、クラゲをモチーフに製作したため、形を自由自在に変更できる。LG Displayは、‘Medusa’の他にも、3Dプリンティングで製作したボディーとフレキシブルOLEDを貼り合わせた‘Pyrosome’を披露した。

<LG DisplayのフレキシブルOLED照明‘Medusa’>

LG Displayは、今回の受賞をきっかけに、フレキシブルOLED照明がOLED市場の発展を促進し、未来のOLEDデザインに大きなメリットを提供すると受賞の感想を伝えた。MIAW授賞式は、2017年6月にフランスパリにあるGrand Hotel Intercontinental Paris Operaで開催される予定だ。

UBI Research上半期のセミナー、「OLED市場分析と最新技術セミナー」を開催(2017年6月30日、全経連会館)

■ 2017年上半期OLED産業の技術的重要事項と市場を総合的に分析する

■ 上半期の重要事項に基づき、下半期の市場展望と変化ポイントを予測

 

 

UBI Researchは、2017年上半期OLED市場の重要事項まとめ及び2017年下半期のOLED市場展望と変化ポイントを予測する「上半期セミナー:OLED市場分析と最新技術セミナー」を6月30日(金)韓国ソウル市汝矣島にある全経連会館カンファレンスセンターで開催する。

 

「OLED市場分析と最新技術」をテーマに2017年上半期OLED産業での技術的重要事項と市場を総合的に展望・分析する。また、上半期の重要事項を分析し、下半期のOLED市場展望と変化ポイントを予測できる見込みである。

 

今回のセミナーでは、次世代OLED技術として注目されているTADF OLED、Soluble OLED、フレキシブルOLED技術の開発現況と展望について、関連分野の主要専門家を招聘し、集中的に紹介する予定である。OLEDの最新技術を確認し、未来技術がどのように展開するか予め把握する機会となりそうだ。

 

OLED専門調査機関であるUBI Researchイ・チュンフン代表の「2017年上半期OLED産業への投資と量産状況分析を通じた市場実績予測」をテーマとする講演を始めとし、韓国Dongbu Securitiesクォン・ソンリュルチーム長の「ディスプレイの新しパラダイムOLED」、成均管大学イ・ジュンヨプ教授の「TADF OLED発光材料の最新動向」、漢陽大学キム・ジェフン教授の「OLED発光効率を向上するための新しい方法」、釜山大学チン・ソンホ教授の「Development of Highly Efficient Multi-Functional Emitting Materials for Organic Light-Emitting Diode Application」、漢陽大学イ・キヨン教授の「フレキシブルディスプレイ技術開発の動向及び挑戦課題」、OLEDONと檀国大学ファン・チャンフン教授の「Plane Source Evaporation for Very High ppi AMOLED. It is time to challenge」などをテーマに、ディスプレイ産業を成長させるための最新技術と発展方向について発表する予定だ。

 

今回のセミナーは、OLED産業全体、投資観点、経済観点から市場と技術を総合的に展望する見機会で、韓国主要専門家との情報交流や人的交流、ディスプレイ技術の現況と未来を展望する機会にもなると予想される。

第4世代発光材料「Hyperfluorescence」

蛍光材料としてもりん光材料としても、不十分と言えるOLED発光材料の特性を改善するために、現在開発しているTADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)の実用化まで、少し時間がかかっている。TADF技術で最も先進的な企業と高く評価されているKyuluxが、まだディスプレイに適合するTADFドーパントの実用化に至っていないからだ。

 

Kyulux最高技術責任者(CTO)のAdachi氏によると、TADF専用のホスト材料がまだ用意されていないことが、TADF実用化を遅らせている要因となるという。そのため、発光ピークの半値幅が広く、ディスプレイに適合していないのだ。Kyuluxがこの問題を解決し、TADF材料の実用化を急ぐために開発している材料が、第4世代発光材用である「Hyperfluorescence」だ。

<Kyulux CTOのAdachi氏>

Hyperfluorescence材料は、既存の蛍光材料ホストとドーパントにTADFドーパントを添加し、蛍光材料としてりん光材料の効果を発揮することを目指している。

<Hyperfluorescnce効果>

Adachi氏は、Hyperfluorescnce効果とは、TADFの広い半値幅と蛍光材料の低い輝度を同時に解決できる構造であると強調した(上図)。

<Hyperfluorescenceと一般的なFluorescenceの特性比較>

Kyuluxが一般的な緑色の蛍光材料を用いて製造したOLEDと、同じ材料にTADFを添加することでHyperfluorescnce構造に仕上げたOLEDを、一つの基板に作り合わせてみると、発光強度に顕著な違いが確認された(写真)。

 

Kyuluxは、2017年内にHyperfluorescnce材料の実用化を予定している。初めて適用する対象となるのは、PMOLEDである。

OLEDON、檀国大学と次世代超高解像度パターニング蒸着技術の共同開発に成功

先日のSID 2017で、韓国檀国大学ジン・ビョンドゥ教授と同大学兼任教授であり、韓国OLEDON代表ファン・チャンフン博士は、0.38umのShadow Distance(SD)を実現できる面蒸発源パターニング蒸着技術の共同開発に成功したと発表した。

 

ファン代表は、昨年開催された2016 IMIDビジネスフォーラムで、面蒸発源蒸着技術(Plane Source Evaporation)と厚さ100umのShadow Maskを用いて1.1umのShadow Distanceを実現できたと発表したことがある。当時、ファン代表は、「Step Heightを3umまで抑えると、理論上ではShadow Distanceを0.38umまで実現できるため、OLEDパネルの解像度を2250ppi以上に上げることができる」と説明した。

 

この発表は、実際に面蒸発源を採用し、SDを0.38umまで実現させた実質的な結果であるため、量産への採用可能性を一層高めることにつながり、今回SID 2017に来場した業界関係者から大きく注目を集めた。

 

現在、OLEDパネルの量産技術は、約3umのShadowを生成し、QHD(約600ppi以上)解像度を実現するには限界があった。3umのShadowは、UHD(約800ppi以上)AMOLEDパターニング工程を行う際に、隣接した微細パターンが重ね合され、微細パターンの密度が低下する。そのため、現在のOLEDパネルは、QHD解像度のみ生産している。

 

OLEDONが開発した面蒸発源パターニング蒸着技術が、量産に採用されると、Shadow Distanceを0.38~0.56umの範囲まで縮めることができるため、解像度は従来の約8倍まで上がる。また、規模を拡大するための開発を続け、大型OLEDパネル生産産業にも採用されたら、3300ppi以上の超高解像度を持つスーパーウルトラHD(SUHD)解像度のマイクロAMOLED素子が製造できるようになる。

<面蒸発源蒸着技術によって収集されたShadow Data>

ファン代表は「高真空環境で金属面に有機物を蒸発及び蒸着し、有機分子薄膜を形成した後、再び蒸発を行い、基板にコーティングのため蒸着するというアイディアから、有機分子ビームの蒸発角を最小限に抑えられる条件を発見した」と述べた。

<ファン代表がSID2017で発表した面蒸発源の原理>

最近、ディスプレイの解像度への関心が高まりつつあり、OLEDONによる研究結果は、関連業界に大きい変化をもたらすと見られている。

 

ファン代表は、蒸着装置専門メーカーを始め、25年間新しいコンセプトの蒸着技術開発に取り組んでおり、面蒸発源による蒸着技術関する特許(下向式熱的誘導蒸着による線状の有機素子量産装置:登録番号101206162000)を取得した。

仮想現実用HMD機器に必須となったOLED

次世代融・複合ゲームショウPlayX4の開幕式が、5月25日に韓国京畿道高陽市一山にあるキンテックス(KINTEX)第2展示場で行われた。イベント現場では、多くの企業が仮想現実コンテンツを披露した。特に、没入感を向上しながらVR酔いを軽減するために、Oculus Rift、HTC Vive、Gear VRなど、OLEDを採用したHMD(Head Mounted Display)機器を使用したのが特徴的だった。

 

仮想現実ゲーム専門開発者である韓国Realitymagiqは、マルチプレイ対応のゲームを展示した。ディスプレイと仮想現実の没入感ついて、Realitymagiq金・ソンギュン代表は「仮想現実の没入感を高めるためには、まず機器の性能が大事で、VR酔いを引き起こす主要原因となるLatencyを下げられるOLEDがあるだけで十分だ。ただ、解像度を今以上に向上させ、GPUの性能も改善すれば、没入感は一層高まる」と述べた。

他にも韓国Motionhouseは、実際にドライブする際に発生する車体の傾きやエンジンの振動などが体験できる‘MotionGear’を展示した。仮想現実用ヘッドセットには、OLEDを採用したOculus Riftが使用されており、企業関係者は「アトラクションに採用する時、VR酔いを最小限に抑えられる製品はOculus Riftだけだった」と語った。

Latencyとは、CPUがTrackerから届く情報を入力して、コンテンツを出力する間の所要時間を意味する言葉で、ディスプレイの応答速度とグラフィックカードの情報処理速度などに関わる。仮想現実で求められるディスプレイの応答速度は、3ms以下と知られており、韓国Samsung Displayは、自社ブログでOLEDとLCDの応答速度を比較し、OLEDが仮想現実用HMD機器に最適なディスプレイであることを強調した。

<LCDとOLEDの応答速度比較、参考:blog.samsungdisplay.com>

実際に、現場ではVRコンテンツを提供する多数の企業が、Oculus Rift、HTC Vive、Gear VRなど、OLEDが採用されたHMD機器を使用していた。それに対して、来場者は特にVR酔いを感じず、仮想現実コンテンツを楽しめたと語った。

 

Oculus RiftとHTC Vive以外にも、最近発売されたソニーの‘PS VR’とRoyoleの‘Royole Moon’などがある。多くのHMD製作会社が、LCDではなくOLEDが採用されたHMD機器を発売するなど、仮想現実機器へのOLED採用がどんどん広がっていくことが予想される。

【SID 2017】BOE、世界初の真のQLEDを展示

中国BOEは、25日(現地時間)米ロサンゼルスで開催されたSID 2017で、世界初のElectroluminescence Quantum Dot技術が採用された2種類のQLEDディスプレイ(5型、14型)を展示し、来場者の大きな関心を集めた。

 

BOEの5型QLEDディスプレイは、320×240(80ppi)の解像度を持ち、低温ポリシリコン(LTPS) TFTを採用しており、14型QLEDディスプレイは、960×540(80ppi)の解像度を持ち、 酸化物(Oxide)半導体TFTを採用している。

<BOEが展示した5型(左)、14型(右)QLEDディスプレイ>

今回展示されたBOEのQLEDディスプレイが特別な理由は、今まで韓国Samsung ElectronicsによるPhotoluminescence Quantum Dot技術が採用されたSUHD TVとは異なり、バックライトの無いElectroluminescence Quantum Dot技術が採用されたディスプレイだからである。

 

一般的に量子ドットを利用するディスプレイメカニズムは、Photoluminescence Quantum Dot技術とElectroluminescence Quantum Dot技術、二つに分類される。

 

Photoluminescence Quantum Dot技術は、外部から光による刺激を受ける物質が再び光を放出するメカニズムを持つ。Samsung Electronicsは、この技術をバックライトから発される青色光にQDシートを張り付けた状態で活用することで、LCD TVに採用している。

 

一方、Electroluminescence Quantum Dot技術は、電機をかけると自ら発光するメカニズムで、発光材料のみ無機物であり、構造はOLEDと同様である。

 

UBI Research李・チュンフン代表は、以前アナリストコラムで、「Photoluminescence Quantum Dot技術は、ディスプレイの色再現率を向上するために、現在のLCD TVに採用している。確かに優れた製品を完成したが、Electroluminescence Quantum Dot技術を採用したものこそ、真のQLEDディスプレイと言える」と述べたことがある。

 

BOE関係者は、QLEDディスプレイについて「従来のOLED構造に有機物の代わりに無機物を用いることで信頼性を確保し、色再現率もOLEDに比べ高いという特徴を持つ。100% インクジェット印刷方式で製造するQLEDは、蒸着方式で製造するOLEDに比べ、コスト削減と大型に有用である」と説明した。

 

業界では今からQLEDディスプレイ量産開始まで最低5年以上はかかると予想されていたため、BOEによる研究結果とElectroluminescence Quantum Dot技術を採用したQLEDの実用化がどのぐらい早まるか、またディスプレイ産業にどのような影響をもたらすかなどに注目が集まる。

2017年第1四半期、AMOLED実績分析

UBI Researchは、2017年第1四半期AMOLED売上高について、43億1,000万米で前年同期(2016年第1四半期)比15%増加し、出荷量については、9,910万台で前年同期比9%増加したと発表した。

 

AMOLED売上高の市場占有率は、スマートフォンが88%、TVが7%を占めた。特に、TVの売上高占有率は、前年同期比5%増加となり、OLED TV市場が大きく成長していることが分かる。

 

韓国Samsung ElectronicsによるGalaxy S8とS8+の発売、Apple向けAMOLEDパネル量産開始、ソニー・東芝・パナソニックなど、日本メーカーによるOLED TV市場参入で第2四半期以降もAMOLED市場は、成長し続けると予想される。モバイル用AMOLEDは、四半期ごとに1億台以上出荷予定、TV用AMOLEDは、四半期ごとに30万台以上出荷予定になっている。

 

UBI Researchは、AMOLED全体市場の規模について、2020年まで年平均成長率33%で約593億米ドルになると見通した。

<AMOLED全体市場の売上高展望>

JOLED、世界初の印刷方式で21.6型OLED生産開始

JOLEDは、RGB印刷方式では世界発となる21.6型4K OLEDパネルを開発し、4月よりサンプル出荷を介したと17日発表した。

 

JOLEDがRGB印刷方式で開発したパネルの厚みは1.3mm、重量は500g、ピーク輝度は350cd/m2、コントラスト比は1,000,000:1である。JOLEDによると、このパネルは医療用モニターに採用された。

<JOLEDが開発した21.6型OLEDと詳細仕様、参考:JOLED>

JOLEDは「印刷方式は発光材料を印刷に塗布・形成する技術で、生産工程がシンプルであることから、様々な画面サイズに拡大しやすいため、実用化を進めた。OLEDパネルの光取り出し効果(Top Emission)、広視野角、式再現性を向上する予定だ」と説明した。

 

また「中型OLED市場において印刷方式の導入分野(ゲーム用モニター、自動車搭載用途など)と供給先を継続的に拡大していく」と今後の計画を明らかにした。

 

JOLEDは、日本官民合同ファンドである産業革新機構(INCJ)、ジャパンディスプレイ、ソニー、パナソニックの4社が共同出資え設立した会社で、印刷方式によるOLEDの開発に積極的に取り組んでおり、パネルメーカーの中で唯一2016年印刷方式で開発した製品を公開したのである。

<JOLEDが2016年に公開した55型4KフレキシブルAMOLEDパネル>

UBI Researchの『ソリューションプロセスOLED市場への参入可能性分析レポート』によると、印刷方式はソリューションプロセス工程の一つで、インクジェットヘッド(Ink-jet Head)を用いて各ピクセルにインクを落とす方式である。主要パネルメーカーでは、このような工程方式でソリューションプロセスを開発しており、JOLEDの今後の動きに注目が集まる。

 

ソリューションプロセスは、第8世代以上のマザーガラスでRGBピクセル構造の大型OLEDパネルが製造可能で、材料使用の効率が高く、単純な構造で開発可能のため、量産に成功したらコスト削減につながるという利点がある。

 

UBI Researchイ・チュンフン代表は、「大型OLED市場はWRGB方式を採用し、プレミアム市場攻略に向けて戦略を実行しているが、今後LCDをOLEDに置き換えていくには、低コスト・高生産性を重ね揃えた技術が鍵となるため、ソリューションプロセスがOLEDの主な技術になる」と述べたことがある。

Samsung Display、世界初の9.1型ストレッチャブルAMOLEDを公開

韓国Samsung Displayが世界初のタッチ機能付き9.1型ストレッチャブル(Stretchable)AMOLEDをSID 2017で公開し、世界最高のAMOLED技術力を見せつけた。

 

Samsung Displayは、SID 2017のシンポジウムで『9.1-inch stretchable AMOLED display based on LTPS technology』というタイトルの論文発表とともにSamsung Displayブースの未来型ディスプレイ(Future Display)ゾーンにて実物を展示し、来場者の大きな関心を集めた。

 

今回展示された9.1型ストレッチャブルAMOLEDは、収縮することができるフィルム基板の上にPIを形成した後、伸縮可能な領域をパターニング(Patterning)したものである。また、パターニングしたPIの上にTFTとOLEDを形成する構造で製造し、マルチタッチセンサー(Multi-touch Sensor)を同時に実現した。

<Samsung Displayによる9.1型ストレッチャブルAMOLEDの構造>

また、ストレッチャブルAMOLEDは、凸型(Convex)と凹型(Concave)を全て実現可能で、凹型では最大12mmまで伸びる。

 

ストレッチャブルディスプレイは、フレキシブルディスプレイの最終的な技術で、形状に制限がないため、衣類や人間の肌など、様々な分野に採用できることから新たな領域のアプリケーションを創出すると期待されている。

 

今回の展示は、フレキシブルAMOLEDでモバイル機器用AMOLED市場をリードしているSamsung Displayと後発メーカーの技術格差が再び拡大するきっかけになると見込まれており、早いスピードでAMOLED技術を追う後発メーカーにどのような刺激を与えるか期待される。

<Samsung Displayの9.1型ストレッチャブルAMOLEDが展示されているブースの様子>

<Samsung Displayの9.1型ストレッチャブルAMOLEDのスペック>

Samsung Displayが展示した9.1型ストレッチャブルAMOLED、参考:Samsung Display

[SID 2017] プレミアムTV市場、LCD vs. OLED競争再点火

2017年のプレミアムTV市場は、韓国LG ElectronicsによるOLED TVの販売量増加とソニーによるOLED TV市場への参入で、最初はOLEDが機先を制するように見えた。しかし、代表的なLCD製造会社である台湾AUOから、プレミアムTV市場においてLCDがOLEDより有利という発表があり、再びOLED TVとLCD TVの間に市場占有をめぐる競争が激しくなることが予想される。

 

5月22日から米ロサンゼルスで開催されているSID 2017のキーノートセッションで、AUOのCEOであるPaul Peng氏は、『The warring states era of display technologies』をテーマに、今後プレミアムTV市場でLCDがOLEDより優位に立つという内容を発表した。

 

Paul Peng氏によると、LCDがもっと優れていると主張した理由は大きく三つある。第一に、性能について、LCDが最大サイズ(Maximum Size)、ピーク輝度(Peak Brightness)、室外環境でのコントラスト比(Ambient Contrast Ratio)、色域(Color Gamut)、画面の焼き付き(Image Sticking)、寿命(Lifetime)、全てOLEDより優位に立っていると述べた。第二に、コストについて、2016年の米ブラックフライデー(Black Friday)で、65型HDR 4Kを基準に狭ベゼル(Narrow Bezel)のLCD TVは1,099米ドルで販売されたが、OLED TVは2倍高い2,800米ドルで販売されたことを挙げた。第三に、エコーフレンドリについて、製造工程で用いられる工業用水はLCDよりOLEDに多く使用されており、OLEDの消費電力はLCDの約2倍程高く、交換周期も2~4年のOLEDに比べLCDは5~8年で、2倍程長く維持できるためLCDがOLEDより環境にやさしい製品だと強調した。

 

OLED TVが発売された以来、LCDとOLEDの間には熾烈な競争があったが、プレミアムモバイル市場ではOLEDの占有率が継続的に向上し、プレミアムTV市場でもOLEDがLCDより先に進む様子だった。しかし、世界最大ディスプレイ学会であるSID 2017のキーノートで、AUOの発表により、ディスプレい業界におけるOLEDとLCDの競争は、一層激しくなると予想される。

 

LG Display、「SID 2017」で次世代ディスプレイを多く公開

韓国LG Displayは5月23日から26日まで米ロサンゼルスコンベンションセンター(Los Angeles Convention Center)で開催される「SID 2017」展示会に参加し、未来のディスプレイ製品を多く公開する。『Our Technology, Your Innovation』をテーマにブースを設置し、OLED TV、IT & Mobile、Automotiveなど、三つのゾーンでLG Displayならではの独創的な製品を展示する。

 

まず、紙のような薄さと革新的なデザインの77型‘UHD Wallpaper TV’を公開する。OLED技術で高画質を実現しながら、薄くて軽い特性を生かし壁に完全密着できるため、デザイン効果も最大化された。

 

合わせて公開される65型‘UHD Wallpaper TV’パネルは、今回SIDで最高の技術力を持つ製品として認められ、「今年のディスプレイ賞」を受賞した。

<LG Displayの65型UHD解像度のCSO(Crystal Sound OLED)、参考:LG Display>

また、パネルから音が発生することによって、ディスプレイの新機能を提紹介した65型UHD CSO(Crystal Sound OLED)と自然で透明な画面を実現する55型FHD透明ディスプレイも公開し、LG Displayが開発している未来型ディスプレイを一目で分かることができる。

 

LG Displayはパネルにタッチセンサーが内蔵される‘in-TOUCH技術’を24型級モニターまで採用を拡大し、大型及び高解像度製品でIT市場に独自の価値を提供する。in-TOUCH技術は、タッチカバーガラス(Touch Cover Glass)が必要ないため、薄くて軽量であり、優れたタッチ性能を持つ上で、更にパネルとベゼルの厚みを削減することで、より洗練されたデザインを完成することができる。

 

没入感を向上した世界最大の37.5型21:9曲面モニターとリアル感を与える高画質を実現する31.5型8Kモニターなど、最先端のIT製品も公開する。

<LG Displayの12.3型車載用全面(下)、透明(上)、参考:LG Display>

LG Displayは急成長を迎えている車載用ディスプレイ分野でも洗練されたデザインと高画質のOLEDで、自動車の未来を提案する。多層構造で12.3型全面ディスプレイと透明ディスプレイを実現し、従来のアナログメーター(Cluster)のような立体感を持たせるディスプレイを披露する。また、75%を超える高反射率で、ルームミラー(Room Mirror)を代替するミラーディスプレイなど、様々なディスプレイをリアルに体験できる展示スペースも設置した。

 

LG Display CTO(最高技術責任者)カン・インビョン専務は、「LG Displayは、IPS、OLED TVなど、世界で初めてディスプレイの歴史に新たな一歩を踏み出してきた。今後も引き続き技術開発を進め、次世代ディスプレイ市場の先頭に立つ」と述べた。

Samsung Display、「SID 2017」で画面を自由に伸縮できるディスプレイなど、最先端の製品を公開

韓国Samsung Displayが世界的権威を持つディスプレイ専門学会SID(The Society for Information Display)が主催する「SID 2017」展示会に参加し、最先端の未来型ディスプレイ製品を公開する。

Samsung Displayは、5月23日(現地時間)米ロサンゼルスコンベンションセンターで開幕する今回の展示会で、画面を自由に伸縮できる(Stretchable)ディスプレイをはじめ、眼鏡不要の3D OLEDなど今まで公開したことのない最先端の未来型ディスプレイ製品を展示する。

今回のSID 2017でSamsung Displayは、最先端製品の公開や優秀な論文の発表を通じて独創的なディスプレイ技術のリーダーシップと自信を見せつける戦略だ。

今回公開した9.1型ストレッチャブル(Stretchable)ディスプレイは、画面が弾力的に伸び縮みする次世代ディスプレイ技術で、ウェアラブル、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、車載用ディスプレイに最も適合した未来技術に挙げられる。

<参考:Samsung Display>

従来のフレキシブルOLEDは、画面を曲げたり折り曲げたり、巻物のように巻くなど、一方向にだけ変形が可能だったが、ストレッチャブルOLEDは二方向以上への変形させることができる特徴を持つ。実現の難易度がものすごく高い技術で、業界ではフレキシブルディスプレイ技術の終着点と呼ばれている。

今回、展示された製品は、画面を上から押し下げるとゴム風船を押したように画面がくぼみ、再び本来の平たい形に戻る。逆に、下から押し上げると画面が上に膨らむように大きくなって回復する伸縮性を持っている。

Samsung Displayは、継続的に研究開発を進めた結果、ディスプレイを押し下げた際に最大12㎜の深さまで画面が伸び縮みしながらも、従来の画質を維持する高いレベルのストレッチャブル技術を世界で最初に実現した。また、立体映像に関する未来の技術である‘眼鏡不要の3D OLED’製品を展示する。5.09型の大きさは、見る人の位置(視点)によって違うように見える実物の姿をディスプレイで実現し、もっとリアルな3次元映像を表現する。特に、OLEDの無限大に近いコントラスト比を特徴に、LCD製品より自然な立体映像を提供する。この技術は今後3Dパップアップブック、3Dゲーム、VRなど、3次元映像技術を必要とする様々な分野で活用できると期待される。

今回の展示会でSamsung Displayは、最新OLED技術を体験できるブースを設置する。3.5型の大きさに858ppiで、VR機器に最適化された製品をはじめ、滑らかな画質を実現するために120Hzで駆動する製品、ウェアラブル、タブレット用OLED製品が展示される。また、OLEDの高画質、HDR(High Dynamic Range)、低消費電力技術なども確認できる。 Samsung Displayは、独自のフレキシブルOLED技術によるスマートフォンディスプレイデザインの発展について紹介する‘デザイン革新’コーナーも設置する。

2013年、世界で最初にフレキシブルOLED量産に成功した以来、初めて スマートフォンに搭載した曲面OLEDをはじめ、最近世界的な画質評価機関である米ディスプレイメート(DisplayMate)から最高画レベルの‘Excellent A+’を獲得したフルスクリーンOLEDまで、今までSamsung Displayが築いてきたフレキシブルOLEDの技術力が一目で分かるようになる。

また、超低反射POL(偏光板)を採用し、画面の反射を最小限に抑え、色表現力を100%(DCI-P3基準)達成した高画質の65型フレームレス曲面LCD TV、情報伝達効率を最大化したアスペクト比21:9の34型QHD+(3440X1440)曲面LCDモニター、144Hzの高速駆動が可能な27型FHD(1920X1080)曲面LCDモニターも革新技術を実現した製品として展示される。

今回の学会では、Samsung Displayホン・ジョンホ研究員の「画面を伸縮できるストレッチャブルOLEDディスプレイ」論文がSID 2017優秀論文(Distinguished Paper)に採択された。

TADFの創出者となる安達千波矢先生を訪問

2010年、NatureにTADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)関連論文が初めて掲載された九州大学の安達研究室を訪ねた。安達先生は教授というより大学院生のような素朴な第一印象だった。

安達先生がTADF材料に対して情熱を持っている理由は、OLEDパネルの製造にかかるコストを下げられる最適な材料だと確信しているからだ。現在、使われている発光材料には、蛍光材料である第1世代材料とりん光材料である第2世代材料がある。第1世代の蛍光材料は価格が安いものの効率は悪く、第2世代のりん光材料は効率は高いものの価格が高いという欠点がある。その理由は希土類のイリジウムを使うからだ。安達先生がリードしている第3世代の発光材料であるTADFには、第1世代材料の構造に第2世代材料の効率が出せるという利点がある。

 

理論的にはTADF材料は内部効率を100%達成し、分子設計の自由度が高いという特徴を持つ。即ち棒状の分子設計が可能で、配向性のある材料を製造することができるため、外部への光取り出し効率を40%まで向上することができる。

 

安達先生はTADF材料の実用化について、Galaxy用OLED材料としてはまだ特性が完成していないが、比較的に低スペック向けには来年から採用できると述べた。特に緑色ドーパントや赤色のドーパントが導入できると予想した。しかし、ディスプレイに採用できるTADFに完成するためには、必ずT1とS1のバンドギャップを縮め、電子移動速度を上げるべきだと強調した。電子移動速度について、現在は1μsec程度だが、10-1~10-2μsecまで速まると分子劣化が少なくなり、寿命を確保することができると説明した。また、TADFドーパントの効率を十分に発揮する専用のホスト材料がないということはTADF材料の開発に支障をきたすことになるため、発光材料メーカーによる積極的な参加が求められていると付け加えた。

安達先生は最近、ドイツジャーナルであるAngewandte Chemieに色度図が(0.148, 0.098)で、外部への光取り出し効率が19.2%以上になる‘Deep-Blue TADF’論文を発表した。

BOEとTianmaなど、Samsungを追撃する中国パネルメーカーの中小型AMOLED生産開始

中国BOEは5月5日、中国成都にある第6世代フレキシブルAMOLED生産ラインB7について、量産稼働を開始したと公式に発表した。中国での第6世代フレキシブルAMOLED生産は、今回初めてで、中国政府の大々的な支援による歩留まりロスの影響が少ない特殊な量産状況から、韓国Samsungが独占していた中小型AMOLED市場に大きい変化をもたらすと見られている。

 

約465人民元の投資により2015年5月に着工したB7は、第6世代を基準に月48,000枚の生産能力を持っており、中国内ハイエンドレベルのモバイルディスプレイ生産に注力すると期待されている。また2016年12月には、綿陽にある第6世代フレキシブルAMOLED生産ラインB11で、月45,000枚の生産に向けた投資が決定され、量産開始は2019年になると見込まれている。

<CIDC 2016で公開した5.5型FHD折り畳み式AMOLED>

中国Tianmaは、4月20日に中国で初めて武漢にある第6世代LTPS AMOLED生産ラインで製造したリジッドAMOLEDパネルの点灯に成功しただけではなく、中国初の第4.5世代AMOLEDパイロットラインを構築した。また、上海に第5.5世代AMOLED生産ラインを構築し、中小型AMOLEDディスプレイを量産している。

 

他にも中国CSOTは、武漢にあるT4工場で第6世代リジッドとフレキシブルAMOLED生産ラインへの投資を進め、2018年第4四半期の量産開始を目指している。中国Visionoxは、崑山にある第5.5世代ライン(V1、現在月産4,000枚)のフェーズ1で月産11,000枚の生産設備を増設し、フェーズ2では月産15,000枚の生産に向けた投資を行った。中国Royoleも第5.5世代フレキシブルAMOLED量産ラインへの投資を進め、1月には韓国SFAの蒸着装置発注に向けたLOI(Letter of Intent)を締結した。生産能力は月産15,000枚になると予想される。

 

このように韓国メーカーがリードしているAMOLED市場の中で、中国パネルメーカーは中国政府の支援と巨大な内需市場で急成長し、全体の市場占有率を拡大すると予想される。AMOLED市場調査機関であるUBI Research李・チュンフン代表(首席アナリスト)は、2018年から本格的に中国AMOLEDパネルメーカーによる出荷量が増加し、2021年には全体市場の約16%を占めるまで拡大し、韓国の次にAMOLEDパネルの出荷量が多くなると見通した。

<国家別AMOLEDパネル出荷量展望>

SamsungとLG Display、OLEDで「今年のディスプレイ賞」を受賞

韓国Samsung Displayと韓国LG Displayは、世界最大ディスプレイ学界である情報ディスプレイ学界(SID)で、OLED技術力を認められたと18日に発表した。

 

SIDが授与する「今年のディスプレイ産業賞(DIA、Display Industry Awards)」には、Samsung DisplayのQuad-EdgeフレキシブルOLEDが、「今年のディスプレイ(Display of the Year)」にはLG Displayの65型UHD壁紙OLED TVパネルが選ばれた。

 

SIDは、前年に発売された製品の中から、グローバルディスプレイ産業の未来を輝かせると期待される革新的なディスプレイ製品、部品、応用製品を選定し、賞を授与する。

<Samsung DisplayのQuad-EdgeフレキシブルOLED、参考:Samsung Display>

SIDによると、Galaxy S7 Edgeに搭載されたSamsung DisplayのQuad-EdgeフレキシブルOLEDは、業界では初めてディスプレイの上下左右全ての面に曲面の形を取り入れ、優れた技術力を示し、今年のディスプレイ産業賞を受賞した。.

 

この製品は、BM(Black Matrix)領域を最小化する設計技術を生かし、以前の製品よりベゼルの厚さを0.2mm削減、上下の端(曲率半径25R)を微細に変化することで、緩やかな曲線の形を完成した。また、審美性と握り心地の良さを実現するために、パネルの左右端に4段階の曲率(曲率半径35R→9.4R→5.4R→3.8R)を採用した。

 

今回の受賞について、Samsung Displayチョン・ソクジンマーケティングチーム長(常務)は、「Samsung Displayは、フレキシブルOLED製造に向けた最先端技術を基に、市場で独自の製品を提供してきた。 Quad-EdgeフレキシブルOLEDの開発で、引き続きディスプレイ市場をリードすることができて嬉しい」と述べた。

<LG Displayの65型UHD壁紙OLEDパネル、参考:LG Display>

今年のディスプレイに選ばれたLG Displayの65型UHD壁紙OLEDパネルは、OLED技術を生かし、優れた高画質を実現した上で、更に応用範囲とデザイン面でもディスプレイの新しい可能性を開いた革新的な製品として高く評価された。

 

このパネルを採用したOLED TVは、CES 2017以外にも米Engadget、英CNETなど、世界的に有名なメディアからも、既に数多くの賞を受賞しており、先日の16日には米国消費者専門メディアであるConsumer Reportsから、歴代最高点の89点(TV評価)を記録したことがある。

 

65型UHD壁紙OLED TVに採用したOLEDパネルの厚さは1 mm にもならず、TV用セットとして製造した場合にも厚さ3.55mm、重量7.4kgしかならないため、額縁のように壁に密着できる。また、デザインの効果を最大化し、TV視聴時の没入感を高める。

 

LG Display研究所長ユン・スヨン常務は「LG Displayは、自社ならではの特徴的な製品、技術、主要力量を強化しながら、消費者の方々に新しい価値を提供してきた。今後も世界ディスプレイ産業を代表する企業として、次世代技術の発展に最善を尽くして貢献する」と語った。

2017年、OLED TV元年になるのか?

5月16日、LG Signature TV Wは、米消費者専門メディアであるConsumer Reportsから、TV部門評価で89点を獲得した。この評価は、歴代最高点として、同年4月に「今直ぐ買わなければならない最高の4K TV(Best 4K TVs to Buy Right Now)」部門で88点を獲得し、1位となったLG OLED TV(OLED65C7P)の記録を追い越したのだ。

 

LG Signature TV Wは、OLEDパネルだけではなく、特殊なデザインの仕上げ素材を採用し、厚みを最小化(壁掛けTVの据え置きスタンド含み4mm)し、画面以外の不要な部分を無くし、没入感を極大化した製品である。 また、先日のCES 2017では「最高賞(Best of the Best)」と「最高TV賞(Best TV Product)」を受賞し、米Engadgetより「芸術作品に近い美しいTV」と評価されたこともある。

LG Signature TV W、参考:mybroadband

また、2位に選ばれたのは、LG Ultra OLED TVとソニーOLED TVだった。Consumer Reportsにより1位から10位まで選ばれた11モデルの中で、OLEDパネルが採用されたTVは10モデルで、LCDが採用されたTVソニーのBRAVIA、1モデルだけだった。

 

このようにOLED TVは、優れた画質などの特徴を持ち、消費者から大きな関心を集めている。3月にUBI Researchが主催した第3回OLED Korea Conferenceで、LG Displayユン・スヨン常務は「米Best Buyの売り場で、OLED TVの配置が端から中央に変更された」と語り、OLED TVがプレミアムTV市場の主流になりつつあることを示した。また、多くの後発メーカーも相次いでOLED TV市場に参入し、製品発売の計画を明らかにしている。

 

東芝は、3月に55型と65型OLED TV Regzaを発売し、ドイツのハイエンドブランドLoeweも5月1日に55型と65型の4K解像度OLED TV新製品Bild 9シリーズ’を発売し、プレミアムTV市場でOLED TVが本格的に販売され始めた。

 

また、CES 2017でOLED TVを初公開し、大きな話題を呼んだソニーは、5月8日に4K BRAVIA AMOLED TV A1Eシリーズの中で、55型と65型を6月から日本で販売すると公式に発表した。パナソニックも5月14日に、4K OLED TVでありVIERA2シリーズの中で、EZ900、950、1000を6月から日本で先行販売すると発表した。

<Sonyの4K BRAVIA AMOLED TV A1E、参考:Sony blog>

UBI Research李・チュンフン代表(首席アナリスト)は、4月トピックセミナーで、2017年にソニーのOLED TVが約40万台販売されると見込ながら、OLED TV市場全体の占有率は、2017年に約27%になり、2021年には約38%まで拡大すると予想した。

International TADF Workshop開催

<参考:2nd International TADF Workshop>

第1世代の蛍光材料技術と第2世代のりん光材料技術に引き続く第3世代の発光材料技術であるTADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)技術に関するInternational Workshopが2017年7月19日から21日まで九州大学で開催される。

 

ブラウン管の代わりに現在ディスプレイ市場の主力製品として位置付けているLCDを市場から完全に撤退させるためには、中・低価格帯製品にも導入できる高効率で低コストのOLEDが必要となる。高効率と低コストを同時に解決するためのソリューションがこのTADF材料の実用化にかかっているのだ。

 

現在製造されている発光材料は、赤色ホスト材料、緑色ホスト材料、青色ホスト材料と各色のドーパント材料で分類される。なお、この材料の中で赤色と緑色は内部効率を100%達成するりん光材料を使用している反面、青色材料は内部効率が25%にしか至らない蛍光材料をまだ使用している。青色材料における効率の限界から、TV用大型OLEDパネルは青色層が2階積層された構造となっており、高い材料費が発生する。

 

現在のOLED発光材料が持つ限界を克服するために開発されている材料がこのTADFである。

 

TADF技術を世界で初めて開発に成功した九州大学の安達千波矢教授が会長と務めているInternational TADF Workshopには全世界から第3世代OLED発光材料の開発専門家が集まる。安達教授は九州大学で2012年に初めてTADF論文を発表してから3年後の2015年に全世界に約120編を発表し、2016年には200編以上の論文を次々と発表してきた。この事実はまさにTADFは全世界から熱い視線を注がれていることを示している。

 

安達教授は、今回TADF Workshopの開催に向けて、TADFの現状と今後の開発方向性と進め方について、各国の専門家と議論を行うためだと趣旨を述べた。

Merck、SID 2017でディスプレイのための未来志向型素材を公開

ドイツMerckは、5月21日に開催されるSID Display Week 2017で、新しいディスプレイ技術と今後のプロジェクトを公開すると明らかにした。

 

Merckは『The Perfect Pixel – Advanced materials for display and beyond』をテーマに、幅広い製品及びサービスポートフォリオを展示する予定である。

 

Merckのディスプレイ材料事業部総括責任者であるMichael Heckmeier氏は「我々は、顧客との緊密な関係を通じて、ディスプレイ技術だけでなく、品質、信頼性、サービスを徐々に向上している」と述べた。

 

また、Michael Heckmeier氏は「継続的に開発を進めながら、先導企業としての位置を強固にするつもりだ。更に環境にやさしく、効率的な生産プロセスを開発することで、最終消費者に一層良質な経験を提供する」と今後の計画を明らかにした。

 

このためにMerckは「デザインに制限が無いディスプレイ、柔らかいディスプレイ、色再現性・コントラスト比・エネルギーの効率が高いディスプレイの他にも液晶ウィンドウ(Liquid Crystal Window:LCW)モジュールのような革新的製品に焦点を合わせられる」と付け加えた。

<OLED Display、参考:Merck>

Merckは、SIDカンファレンスで、インクジェットプリンティング用溶液材料の開発現況について、発表する予定である。

 

Merckによると、インクジェット印刷方式で形成した赤色層と緑色層の効率は、真空蒸着技術によるものとほぼ等しいらしい。インクジェット印刷方式は、第8世代以上のマザーガラスでRGBピクセル構造の大型OLEDパネルが製造可能で、材料使用の効率が高く、単純な構造で開発できる。そのため、量産に成功したらコスト削減につながるという利点があり、今後の動きに注目が集まる。

 

また、Merckは先日のOLED Korea Conferenceで、溶液材料について「赤色は16.4%の発光効率とLT95 2,000hの寿命、緑色は18.7%の発光効率とLT95 8,000hの寿命、青色は7.5%の発光効率とLT95 500hの寿命(1,000cd/m2基準)を持っている。11%以上の発光効率を持つ蛍光青色ドーパントと輝度が20cd/A程度に向上したりん光深赤色(Deep Red)ドーパント、輝度が80cd/A程度まで向上したロールオフ特性を持つりん光緑色ドーパントを開発することが目標だ」と語ったことがある。

AMOLED用発光材料市場、1,000億円(1兆ウォン)時代へ

OLEDを採用したGalaxy Sシリーズの成功。米国AppleもiPhoneにフレキシブルOLEDの採用決定。中国スマートフォンメーカーのOLED需要が急増と、OLED市場が活況だ。

 

MWC 2017において13社がOLEDを採用したスマートフォンを出品した。世界最大のスマートフォン市場である中国で市場拡大している中国Huawei、中国Oppo、中国Vivo, 中国Xiaomi、中国ZTEなどのメーカーもOLEDスマートフォンの採用に積極的に取り組んでいる。

<MWCに参加したOLEDスマートフォンメーカーの数>

このような市場状況からOLED用発光材料市場は今年約1,000億円(1兆ウォン)水準に達成すると予想されている。UBI Researchチャン・ヒョンジュン先任研究員は、毎年5~10%の発光材料価格の下落および発光材料のリサイクル率を5~30%と仮定した場合、発光材料市場規模は2017年に約1,075億2000万円(9億6,000万米ドル)となり、2021年には約3,763億2000万円(33億6,000万米ドル)まで拡大すると見込んだ。

<発光材料市場見通し>

チャン先任研究員によると、2021年全体OLED発光材料市場規模と予想される約3,763億2000万円(33億6,000万米ドル)のうち、Apple向けOLED発光材料の市場占有率は約627億2000万円(5億6,000万米ドル)を占める。韓国はOLEDパネル市場をリードしていると共に発光材料市場でも占有率70%まで拡大し、約2,665億6000万円(23億8,000万米ドル)になると見通した。

ソニー、AMOLED TVを6月10日から本格的に販売開始

ソニーは、1月にCES 2017で公開した4K BRAVIA AMOLED TV A1Eシリーズの中で、55型と65型の2モデルを6月10日から日本で販売を開始すると8日に明らかにした。今回ソニーが発売するBRAVIA AMOLED TVには、韓国LG DisplayのWRGB AMOLED、4K高画質プロセッサーX1 Extreme、画面が振動しながら発音するAcoustic Surface技術が採用された。予想販売価格は、55型が50万円、65型が80万円で設定されている。また、77型の発売も計画中で、今年秋に発売する予定だ。

 

ソニービジュアルプロダクツIchiro Takagi社長は「AMOLEDパネルとX1 Extremeを採用したプレミアムモデルを通じて、最高の画質と音響、新しい没入感を提供する」とAMOLED TVの戦略について語った。

 

ソニーAMOLED TVの発売は、現在韓国のSamsung ElectonicsとLG ElectonicsがリードしているプレミアムTV市場に大きな影響を与えると予想される。

 

ソニーと直接競合するLG Electonicsは、今年発売したAMOLED TVの新製品の販売価格を昨年より低く設定するなど、戦略を実施していおり、ソニーによるAMOLED TVの発売がAMOLED TVの一般化とディスプレイ産業にどのような影響を与えるかに注目が集まる。

 

4月21日に韓国ソウル市汝矣島にある全経連会館カンファレンスセンターで開催された4月のトピックセミナーで、UBI Research李・チュンフン代表(首席アナリスト)は、2017年にソニーのOLED TVは約40万台販売され、OLED TV市場全体の約27%を占めることになり、2021年には約340万台販売され、約38%を占めると予想した。

<AMOLED TV市場展望>

発光材料メーカーの競争力

UBI Researchは、主要発光材料メーカー9社による2016年実績と韓国内で出願又は登録された特許件数、ディスプレイメーカーの量産製品に供給を行っている材料数、2017年営業力予測に基づき、競争力を分析した。(出所:2017 AMOLED発光材料市場レポート、UBI Research)

<主要発光材料メーカーの競争力を分析したグラフ>

結果、2017年最も高い競争力を有すると予想されるメーカーはDoosanと分析された。Doonsanの競争力強化要因は、営業力向上と量産製品品数増加、一位の韓国LG Chemicalの次に活発な特許出願活動を行っているからだ。Doonsanは2016年に分析された順位より7段階上昇した。

 

2位に競争力が高いと評価されるメーカーは韓国Samsung SDI、3位には米国UDCが続いた。韓国Duksan NeoluxはGalaxy S8用フレキシブルOLEDに赤色燐光ホストを採用し、2016年より3段階上昇した4位となった。

Fraunhofer FEP、OLEDマイクロディスプレイを採用し、高精密光学指紋センサーの開発に成功

ドイツFraunhofer FEPは、先日の5月4日に、プレスリリースてOLEDマイクロディスプレイを採用し、高精密光学指紋センサーの開発に成功したと明らかにした。Fraunhofer FEPは、OLED-on-Silicon技術を基に、様々な用途に採用できるOLEDマイクロディスプレイを開発してきた企業で、OLED-on-Silicon技術は、マイクロチップにOLEDを光源とする高精度な設計が可能であり、フォトダイオードのような追加センサーと統合することができる。

 

今回Fraunhofer FEPが開発した指紋センサーは、光の放出や探知の両方できる両方向機能(Bidirectional Functionality)を導入することによって、指を照らし、反射される光を感知しながら分析する方法である。

 

Fraunhofer FEPのOLEDマイクロディスプレイとセンサー部署の次長Bernd Richter氏は「この指紋センサーチップには、とても薄い封止膜を採用した。指とイメージセンサー間の距離が最小となり、指紋が綺麗にキャプチャーできるため、この応用分野では追加的なImaging Opticは必要ない」と述べた。

 

最初のプロトタイプは、FBIで一般的に求められる解像度の3倍優れた1600dpiの解像度を持っている。高い空間分解能は、非常に小さい汗穴まで識別できるため、セキュリティ強化に使用できると期待を集めている。

 

この指紋センサーは、一般的に使用されている静電容量式指紋センサーに比べ、高解像度で明確に識別できるため、いわゆる「Spoofing」と呼ばれる偽の指紋に対処することから、モバイル装置でユーザー認証に使用されると見られている。また、ブランディング、ロゴ、お知らせを表示するディスプレイにも使用される見込みだ。

 

Fraunhofer FEPが開発したこの指紋センサーは、今回、米ロサンゼルスで開催されるSID Display Week 2017にて公開する予定である。

<高解像度のOLED-on-Silicon指紋センサー、参考:Fraunhofer FEP>

LG Electronics、プレミアムTV市場「価格競争力ではなく製品競争力に集中」

韓国LG Electronicsは、4月27日に行われた2017年第1四半期電話会議で、今後のプレミアムTV市場では、価格競争ではなく、製品競争力に集中することを明らかにした。この日、質疑応答時間で「OLED TVとプレミアムTVの販売戦略」に関する問い合わせに、LG Electronics HE(Home Entertainment)事業部のハ・ジンホ常務は「プレミアムTV市場で、OLEDの立地を促進していく。プレミアムTV市場で求められる競争力は、価格競争力ではなく製品競争力だ」と今後の戦略について語った。

 

LG Electronicsの第1四半期HE事業部の実績は、売上高約4,326億円(4兆3,261億ウォン)、営業利益約382億円(3,822億ウォン)で、売上高は季節的にシーズンオフ時期に入ったため、前四半期比約460億円(4,600億ウォン)減少したものの、前年同期と同様の水準となった。前年同期比アジア市場は、需要停滞の影響で、売上高も減少したが、プレミアムTV販売の増加によって、北米、韓国、中南米地域の売上高は増加した。

 

ハ・ジンホ常務は「営業利益を上げるために、プレミアム製品販売の拡大と共にコスト構造改善、パネル価格上昇による柔軟な管理を基に、前四半期より収益性を向上させた」と述べながら、第2四半期のTV市場展望については「TV市場全体の需要停滞は今後も続くとみられるが、LG Electronicsの中でも比較的に売上高が高い北米、中南米、アジア市場の需要は増加すると予想される」と語った。‘LG Signature OLED TV W’のように市場をリードする製品を全世界で発売することで、プレミアムとしての位置づけを固め、安定的な収益構造を構築すると明らかにした。

 

続いて行われた質疑応答時間では、今後のパネル価格の見通しとOLED TVラインナップについての質問に「パネルは2016年第4四半期から急上昇しており、最低価格となった去年の6月に比べ60%以上値上げされた。OLED TV市場の中で、プレミアム市場を攻略するためには、プレミアム、ベスト、ミドル、ローに構成されているフルラインナップを揃える」と述べた。

 

今後のTV市場戦略については「パネル価格が増加している今、ボリューム競争から抜け出し、収益性向上を中心に運営・管理をする方針だ。低価格帯TV市場での占有率は重要性が低いと判断されるため、販売価格が約22万5,000~28万1,600円(2000~2500米ドル)以上のプレミアムTVの市場占有率を確認しつつ、クオリティーを改善しながら対応する計画だ」と明らかにした。

 

LG Electronicsは、今回の会議で今後のTV市場戦略について、高い収益性を持つ高付加価値製品のプレミアムTVラインナップを開発し続け、パネル価格にこだわった価格競争ではなく、画質、技術等、製品の競争力でプレミアムTV市場での立地を固めると説明した。

米Consumer Reports、今年発売されたプレミアムTV評価で食い違い

米国消費者専門メディアであるConsumer Reportにより、韓国LG DisplayのOLED TVは、今直ぐ買わなければならない最高4K TV部門で1位となり、韓国Samsung ElectronicsのQLED TVは、10位となった。

<Consumer Reportsに選ばれた最高の4K TVであるLG OLED65C7P、参考:Consumer Reports>

同メディアは、先日の16日に「OLED TVは黒色の表現に最も優れているので、別次元の画質を提供することができる」と語り、今年発売されたLG ElectronicsのOLED TV OLED65C7Pを「今直ぐ買わなければならない最高の4K TV(Best 4K TVs to Buy Right Now)」に選定した。

 

また、OLED65C7Pモデルについて「高解像度や優れた画質とサウンド性能を持っている。今年にテストした製品の中で最高に優れたHDR性能を備えているので、これ以上に優秀なTVを見つけることはできない」と評価した。この製品には歴代最高点の88点が与えられた。去年の11月に最高得点だったOLED65G6Pモデルの86点を更新したのである。

 

また、2016年のOLED TVモデルであるOLED65G6Pは86点、OLED65E6Pは85点が与えられた。他には、OLED55E6PとOLED55B6Pが共に83点となった。

<Samsung ElectronicsのQN65Q8C、参考:Consumer Reports>

一方で、今年発売したSamsung ElectronicsのQLED TV QN65Q8Cは、79点をもらった。これに対し、Consumer Reportsは、解像度、画質、サウンドは優れているものの、バックライトがあるのにも関わらず販売価格が高く、バックライトによる黒表現力の限界、画面の黒影などが減点要因になったと説明した。また、業界関係者の話を引用し、真の自発光QLED TVが発売されるまでには3年以上かかると付け加えた。.

 

UBI Researchは『Solution Process OLED Annual Report』で、QLED蒸着材料は、現在実用化しているりん光OLED蒸着材料に比べ、短い寿命、効率問題、環境にやさしい素子開発、OLEDに比べインフラ不足など様々な争点があり、人員と開発費の充足を含む積極的な投資とインフラ確保を進まないと、実用化は更に遅れると見込んだ。

Samsung Electronics、OLEDがディスプレイ全体売上高の6割を占有

韓国Samsung Electronicsのイ・ミョンジンIR担当専務は、4月27日に行われた2017年第1四半期電話会議で「第1四半期の総売上高が約5兆500億円(50兆5,000億ウォン)となった」と発表した。また、「Samsung Electronicsにおける第1四半期総売上高のうち、ディスプレイ部門は約7,290億円(7兆2,900億ウォン)、営業利益は約1,300億円(1兆3,000億ウォン)だった。OLEDの売上高は、第1四半期ディスプレイ全体売上高の6割を上回った」と述べた。

 

Samsung Displayのイ・チャンフン常務は、ディスプレイ市場について「第2四半期は、セットメーカーによるOLEDパネルの採用が増加し続けると見込まれており、Samsung Electronicsは主要顧客にフレキシブル製品を供給し、外部顧客にも積極的に対応しながら実績を維持していく」と語った。また、2017年OLED市場については「フレキシブル製品の供給拡大により、前年比の売上高が増加すると予想される一方、中・低価格帯の市場でLTPS-LCDとの競争が激しくなり、リスクを受ける可能性がある」と見込んだ。

 

Samsung Electronics映像戦略マーケティングチームのイ・ユン常務は「TV市場の第1四半期実績は、年末シーズン以降には季節的にシーズンオフ時期に入り、市場需要は前四半期比減少し、ヨーロッパと中南米による需要減少の影響を受け、前年同期比マイナス成長がと予想される。第2四半期のTV市場実績は、各メーカーの積極的な新製品発売により、前四半期比小幅に成長すると予想されるが、ヨーロッパを中心とした消費減少の影響で、前年同期比マイナス成長する」と見込んだ。このような市場見通しの中で、量子ドット(Quantum Dot)QLED TV製品の販売と共に曲面TV(Curved TV)と超大型TVなど、高付加価値製品のラインアッププ拡大による収益性確保に注力すると付け加えた。

 

続いて行われた質疑応答時間では、Samsung Electronicsにおける今後OLED全体の生産ラインについての質問に「LCD7-1ラインは、2016年の末からOLED生産ラインに変更しており、OLED A3ラインも計画通りに進んでいる」と述べた。

 

OLED TVに関する質問には「QLED TVはOLED TVの欠点を解決し、デザイン、画質、消費者のライフスタイルに対応する別次元の製品だ。メタルが含まれている量子ドット材料を用いて、世界初で唯一の明るさによって色が変わらないカラーボリュームを100%実現し、画質問題を解決した」と語った。

 

最近、Galaxy S8とS8+の部品供給が遅れていることについては「各メーカーと事前に契約を締結しし、初期供給に問題がないように努力しており、現在も初期供給に支障が生じないように対応している。他の部品も受給問題が起きないように二元化して運営している」と述べた。

 

最後に、Samsung ElectronicsのOLED TV開発について「OLEDだけでなく、TVにも採用できる様々な技術を開発しており、量子ドットを含む次世代技術の開発に集中している。また、様々な新技術を取り入れ、独自の製品開発、超大型と高付加価値製品群で市場支配力の強化、収益性確保に注力する」と明らかにした。

LG Display、今年設備投資額の70%を大型OLEDとPOLEDに集中

韓国LG Displayは、4月26日に行われた2017年第1四半期電話会議で、キャペックス(CAPEX、未来の利益を創出するための投資額)の70%を大型OLEDとPOLEDに集中する予定で、特に大型OLEDよりもPOLEDの割合が高くなると明らかにした。

 

LG Display最高財務責任者(CFO)のキム・サンドン氏は「具体的な投資規模や時期はまだ内部で検討しているところだが、投資額の70%以上をOLEDに投資するということは変わらない。OLEDに対する投資額は高いので、取引先による採用や市場需要の確実性などを注意深く見極め、保守的な観点から投資を進める」と今後のLG Displayの投資方向性について語った。

 

LG Displayは、LTPS-LCDの競争力を確保し続けると述べた。キム・サンドン氏は「今年の下半期に韓国慶尚北道亀尾(Gumi)市にあるE5ラインをLTPS-LCDの代わりにPOLEDに変更する計画だが、LTPS-LCDに対する需要がまだあるので、高解像度のスマートフォン製造などのチャンスがあると考えている」と述べた。

 

LG DisplayのOLED照明事業とOLEDパネル出荷計画については「OLED照明は2017年下半期に約1万5,000枚規模で量産する予定で、POLEDは2017年第2四半期末にGumi E5で量産を開始する予定だ」と説明した。

 

OLED TVの生産拡大計画については「今年1月に開催されたCES 2017で公開したOLED Wall paper TVとCrystal Sound OLEDがTV市場で大好評を得ている。OLED TV出荷量は、第1四半期に30万台になり、下半期には四半期別に50万台程度と予想されている」と述べた。

 

2017年の超大型TV市場展望については「LG OLED TVは、60型以上の超大型OLED TV分野で、圧倒的に高い割合を占めており、超大型TV市場は今後も成長を続け、市場占有率30%以上を確保する」と予想した。

 

中国パネルメーカーによるLCD技術力とLG Displayの今後の対応策として「2020年までは、中国パネルメーカーのLCD技術力が高まり、第10世代への投資への恐れがあるが、LG DisplayならではのIPS技術力、安定した量産品質とサプライチェーンなどで乗り越えられる」と語った。

 

LG Displayにおける今年第1四半期の売上高を基準に、製品別販売実績の割合は、TV用パネルが43%、モバイルパネルが26%、ノートパソコンやタブレットパネルが16%、モニター用パネルが15%を占めた。また、パネル価格の上昇と共に、高解像度、ハイエンドのIT製品など、高い収益性を中心とする様々な製品を販売し、四半期別営業利益は約1,026億円(1兆269億ウォン)となり、過去最高記録を達成したと説明した。

Tianma、中国初の第6世代LTPS AMOLED生産ラインで製造したパネルを公開

中国Tianmaは2017年4月20日、中国湖北省武漢市にある中国初の第6世代LTPS AMOLED生産ラインで製造したAMOLEDパネルを点灯させることに成功した。Tianmaの第6世代ラインは、2016年1月から投資が行われた。

<Tianmaの第6世代LTPS AMOLED生産ラインで製造したAMOLEDパネル、参考:mp.weixin.qq.com>

Tianmaは、中国初の第4.5世代AMOLEDパイロットラインを構築し、上海市には第5.5世代AMOLED生産ラインを構築し、中小型AMOLEDディスプレイを量産している。MWC 2016では、スマートフォン用5.5型HDオン・セル(On-Cell)リジッドAMOLEDパネル、5.5型FHD AMOLEDリジッドパネル、5型FHD AMOLEDパネル、5.46型フレキシブルAMOLEDパネルを公開したことがある。

 

今回Tianmaの第6世代LTPS AMOLED生産ラインで製造されたリジッドOLED用とフレキシブルOLED用LTPS AMOLEDは、VR/AR関連機器、ウェアラブルデバイス、折り畳み式機器に採用される見込みになっている。Tianmaは、今回建設した第6世代LTPS AMOLED生産ラインによって、AMOLEDディスプレイ分野におけるリーディングカンパニーとして位置付けを高めると期待している。

<Tianmaの第6世代LTPS AMOLED生産ライン、参考:mp.weixin.qq.com>

UBI Researchが2017年2月に発刊した『2017 OLED Display Annual Report – Samsung Display’s Share in the Smartphone AMOLED Panel Market Will Reach 70% by 2020』では、2016年に、Tianmaは武漢市で第6世代フレキシブルAMOLEDパネルの量産ラインに導入する装置を30,000台発注し、2018年第2四半期には量産を開始すると予想された。

CITE 2017を彩ったOLEDディスプレイ

4月9日から11日まで中国広東省深圳市でCITE(China Information Technology Expo、中国電子技術情報博覧会)2017が開催された。今年で5回目を迎えるCITE 2017は、中国工業情報化部と深圳市政府が主催するアジア最大電子情報展示会で、毎年約1,600社が出展し、約16万名が来場する世界的なITイベントだ。

本イベントでは、韓国LG Displayと中国のBOE、CSOT、Tianmaは、OLEDパネルを展示し、Changhong、Hisense、Konka、SkyworthはOLEDの応用製品を披露した。他にも中国OLED産業連盟としてJilin OLEDを含む複数のメーカーが共同館を設置した。

<CITE 2017で展示されたメーカー別OLED製品>

大型OLEDパネルを唯一量産しているLG Displayは、厚さ3mm、重量7kgの超薄型・超軽量デザインの65型UHD壁紙OLEDとディスプレイ自ら音を発するCrystal Sound OLEDを展示した。LG Displayは壁紙TV用OLEDパネルで技術力を認められ、CITE 2017の技術革新金賞を受賞した。

<LG Displayの壁紙OLED(左)とCrystal Sound OLED(右)>

他にもLG Displayは、77型UHD OLEDパネル6枚で構成された柱型のOLED Pillarと77型UHD OLEDパネル2枚をくっ付けたDual-View Flatを展示するなど、OLEDを活用した様々な製品を披露した。また、12.3型車載用曲面(Curved)OLED、2種類のスマートフォン用OLED 、2種類のスマートウォッチ用OLED、プラスチックOLEDを展示した。

LG DisplayのOLED Pillar

中国OLEDパネルメーカーのBOEは、7.9型Foldable OLED、5.5型Edge Bended OLED、1.39型Rounded OLEDを披露し、技術力を見せつけた。

<BOEのFoldable OLED(左)、Edge Bended OLED(中)、Round OLED(右)>

他にもOLED TVを展示したセットメーカーは、Changhong、Hisense、Skyworthの全て中国企業で、プレミアムTVの主要サイズである65型OLED TVの展示に注力した。 Hisenseは、OLED TVの他にもスマートフォンの両面にOLEDパネルとE-inkパネルを同時に採用した製品を展示した。

Changhong(左)Hisense(中)、Skyworth(右)のOLED TV

Merck、EU Horizon 2020プロジェクト「HyperOLED」に取り組む

ドイツMerckは、先日の12日にヨーロッパ連合のHorizon 2020研究及び革新プログラムから4百万ユーロの資金提供を受けるHyperOLEDプロジェクトに取り組んだと発表した。このプロジェクトのコーディネートを担当するMerckは、フランスMicrooled、ドイツFraunhofer-IOF、英国ダラム大学(Durham University)、ルクセンブルクIntelligentsia Consultantsなど、ヨーロッパ4か国によるコンソーシアムと緊密に連携いすることになる。

 

HyperOLEDプロジェクトは、今後3年間ディスプレイアプリケーションとダイオードを用いた照明(Solid State Lighting)に採用する高性能超蛍光有機発光ダイオード(OLED)向けの材料とデバイス・アーキテクチャを開発するという計画を持つ。

 

主な目標は、熱活性化遅延蛍光(TADF)分子ホストに新たに採用されたシールド蛍光エミッタを取り付け、革新的な高性能OLEDを開発することで、HyperOLEDプロジェクトは、高い成長可能性を有している新興技術の薄型有機大型エレクトロニクス(Thin, Organic and Large Area Electronics;TOLAE)の開発に貢献していくと期待されている。このプロジェクトは、機能向上や性能改善による寿命の延長で、信頼性を持つTOLAE支援装置開発に寄与するとみられている。

 

コンソーシアムによると、新しいOLEDは、現在の技術より比較的に生産が容易な白色OLEDスタック(Stack)構造を基にしているため、製造コストが削減できる。更にOLEDスタック層の数を減らすことで、有機材料の20∼40%程度を節約し、生産にかかる時間と製造装置の使用も減らせると予想される。

 

また、溶媒、誘導体、材料合成触媒、昇華精製及びOLED生産に関する省エネルギーを始めとし、バリューチェーン全体に大きな低減効果をもたらすと期待を集めている。他にもTADF分子ホストと新しいシールド蛍光エミッタの特殊な特性によって、OLEDの性能が向上し、イリジウムや白金のような希土類を使う必要がなくなり、環境にやさしくコストも低減できると見込まれている。

OLEDの未来

UBI Researchが3月8日から9日の二日間開催した第3回OLED Korea ConferenceでUBI Research李・チュンフン代表は『The Future of OLED』をテーマに講演を行った。

 

李代表は、未来のOLEDは「100型 Rollable Wall TV」まで受け入れられるとした。李代表は「人間の目は視野角が広いので、ディスプレイが壁全面に掛けられていても不便ではない。ガラス基板のOLEDは運びにくいので、カーペットのように巻いて運搬できるRollable Displayが最適だ」と述べた。

 

「Rollable Displayを実現するには、プラスチック基板と値下げ可能なプリンティング方式を採用すると良い。ソリューションプロセスを導入したピクセル製造技術とTFT製造技術が未来の主要技術になると予想される」と説明した。Rollable Displayにスピーカーが内蔵され、画面に映る人物の動きと音が一致する完璧なディスプレイが出来上がると見通した。

 

李代表はOLEDが成功すると確信できる根拠は、モバイル市場にあると述べた。

第一に、今後TVに使用される4Kのコンテンツがスマートフォンにも使用され、スマートフォン自体にも4Kの解像度が適用されると言及した。

 

第二に、Appleが今年発売する予定のiPhoneにOLEDが採用が見込まれている。Samsung Displayは5.5型を基準にOLEDを2億個まで生産可能なApple専用のA3製造ラインを構築しており、今後OLEDの世界にApple効果が表れると説明した。

 

第三に、全世界スマートフォン市場の4割を占めている中国の電機メーカーもOLEDを採用したスマートフォンの発売に拍車をかけていると述べた。

 

第四に、フレキシブルOLEDが実現するフルスクリーン搭載のスマートフォンは、ホームボタンを無くし画面を広め、視覚的機能を向上するだけでなく、指紋とパターンを同時に認識するようアップグレードされた認証システムを採用できると説明した。

 

この4つの根拠に基づき未来のモバイル市場ではOLEDが鍵となると見通した。

 

一方、OLEDパネル市場については、2021年には出荷量は約17億となり、売上高は750億米ドル規模にまで成長すると見通した。2021年になると韓国ディスプレイメーカーは全体市場の8割を占め、中国は全体市場の1~1.5割を占めると述べた。また、ディスプレイパネルメーカーはフレキシブルOLEDを中心に投資を行い、2021年にはフレキシブルOLEDが全体OLED市場の7割を占めると付け加えた。

急成長するOLED材料および部品市場をつかめ

韓国Samsung Displayが製造し、Samsung ElectronicsのGalaxyに採用されることで徐々に成長を遂げてきたOLED市場に今年から米国Appleも参入を進める。この変化によってOLED製造に必要な材料および部品市場も急成長を迎えている。

 

OLED専門リサーチ機関であるUBI Research李・チュンフン代表(首席アナリスト)によると、スマートフォン用OLED製造に必要な各種材料および部品市場規模は、今年87億米ドルになり、2021年には4倍以上の380億米ドルにまで成長すると述べた。

<出所: 2017モバイル機器用AMOLED材料および部品市場レポート、UBI Research>

スマートフォン用OLED材料および部品市場が急成長する最大要因としては、安定的に成功を収めたSamsung ElectronicsのGaxalxy、Apple効果、中国セットメーカによる急激な需要増加と見られている。また、Samsung Displayに引き続き韓国LG Display、中国BOE、中国CSOT、中国Visionoxなど、有数のディスプレイメーカーは先を争って第6世代フレキシブルOLED製造ラインの導入を急いでいる。この状況が続くと2021年頃にはスマートフォン市場でLCDは消えるかも知れない。

<出所: 2017モバイル機器用AMOLED材料および部品市場レポート、UBI Research>

スマートフォン用OLED材料および部品市場を国家別に分類すると、韓国市場が圧倒的に大きいことが分かる。今年韓国の材料および市場は全体市場の95%を占め、2021年には72%を維持すると予想される。

 

OLED市場でSamusung Displayの影響力が強まっている中、韓国の材料及び部品メーカーも急成長すると期待されている。李代表はSamsung Displayが構築したエコシステムには、韓国中小企業や韓国に工場を持つ海外企業の割合が高く、OLEDの成長は即ち関連企業の成長に直結すると見通した。

【Finetech Japan 2017】ブイ・テクノロジー、738ppiのUHDを実現するFHMを公開

4月5日に東京ビッグサイトで開催されたFinetech Japan 2017で、ブイ・テクノロジー(ブイ・テクノロジー)は738ppiのUHDを実現できる‘FHM(Fine Hybrid Mask)’を公開した。

 

従来のFMM(Fine Metal Mask)は、架張と溶接で製造される。しかし、この製造方式は難しいだけではなく、パターン(穴)と自重によるたわみなど、マスクの構造的な限界で、高解像度の実現は中々できなかった。

 

昨年のFinetech Japan 2015で、ブイ・テクノロジーはこのような欠点を改善したFMMのコンセプトを発表したことがある。2年後、今回の2017では、コンセプトを具現化し、量産可能なプロトタイプのFHMを公開したのである。

<ブイ・テクノロジーが公開したNon-tension構造のFHM(Fine Hybrid Mask)>

ブイ・テクノロジーのFHMには、従来の製造方式とは異なり、Electroforming方式とNon-tension構造が採用された。関係者によると、この方式でFMMの重量を従来の1/10まで軽減し、自重によるマスクのたわみと影の影響に関する問題も解決できたと述べた。また、製造方式を変更することで、FMMの精密度を向上し、738ppiのUHDが実現できたと付け加えた。

 

ブイ・テクノロジーは、FHMとともにFHMを活用できる垂直型蒸着システム(Vertical Deposition System)のコンセプトを公開した。このシステムは、ガラス基板とFHMを垂直に搬送し、各々最大2枚まで同時蒸着することができる。

 

また、ブイ・テクノロジー関係者は「垂直型蒸着システムは、蒸発源とFHMとの距離を縮め、拡散光によるStep Coverage(段差被覆性)とUniformity(均一性)の低下に関する問題を改善した。蒸着装置が垂直型であるため、不純物がFHMやガラス基板に付着しにくくなり、歩留まり率を向上することができる」と語った。

<ブイ・テクノロジーの垂直型蒸着システム(Vertical Deposition System)コンセプト>

最近、高解像度に対する消費者のニーズを高まり、そのニーズを満足させるために関連業界の動きが活発化している中、ブイ・テクノロジーのFHMが一つの解決策になるか、今後の展開に注目が集まる。

【Euroluce 2017】OLED、照明市場の新たな道を切り開く

2017年4月4日からイタリアミラノで世界最大の照明展示会「Euroluce 2017」が開かれた。本展示会でOLEDを照明に採用した照明メーカーは、OLEDが照明市場の新たな道を切り開くと口を揃えて述べた。

 

イタリアのOLED用ドライバー専門会社Arditi Spaの関係者は「OLEDは非常に個性的であり、独特な光源で照明市場を開拓できる新しいチャンスを与えてくれた。OLEDは薄くて軽く、建築物や自動車などあらゆる箇所へ柔軟に採用できる特別な光源だ。特にスペース制限が無く、更にフレキシブルな特性は他の光源と区別できる特徴である。また、一部ではOLED照明の価格に注目しているが、結局最終的な判断は使用者にかかっていることで、現在のOLEDは十分な競争力を持っている」と述べた。

<Arditi SpaのOLED用ドライバー、出所:UBI Research>

イタリアの家具用OLED照明専門会社Manumeta関係者は「OLEDは低い棚にも自由に使える。発熱が少なく軽いのため、今後、より広い分野で導入されていくに違いない。まさにOLEDならではの可能性と競争力を見せつけているようだ」と述べた。

<Manumetaの家具用OLED照明、出所:UBI Research>

また、スロベニアAstel Lighting関係者は「OLED照明は潜在能力を持っている。OLEDはこれから照明市場での立地を徐々に固めていく」と述べた。

 

最後に、韓国LG Displayと共同開発により‘Medusa’と‘Pyrosome’という名の新しいOLED照明を披露した世界的産業デザイナーRoss Lovegrove氏は「OLED技術は従来の照明とは根本的に違う。他のどの光源も真似できない個性的なデザインが生み出せる」とOLEDならではのメリットを説明した。

<LG DisplayのフレキシブルOLED照明、出所:UBI Research>

【Euroluce 2017】LG Display、OLEDならではの斬新な照明を披露

韓国LG Displayは現地時間4月4日から9日までの間、イタリアミラノで開催された世界最大の照明展示会「Euroluce 2017」で『The Light of Inspiration』をテーマに、OLEDでしか実現できない斬新な照明を初披露し、大きな注目を集めた。

 

LG Displayは、世界的な権威を持つ産業デザイナRoss Lovegrove氏との共同開発で水中生物に似ている2種類の新しいOLEDを披露した。まず、最初に紹介された‘Medusa’はクラゲをモチーフにして作り上げたもので、真ん中にあるリングにつながっている八つの柔らかいOLEDパネルで構成されており、形を自由自在に変更できる。Ross Lovegrove氏は「重力の影響を受けてストリップが自然な形になるような“Natural Gravity”を表現したかった」と述べた。

<LG Displayの‘Medusa’、出所:UBI Research>

次に紹介された‘Pyrosome’は3Dプリンティングで製作したボディーと柔らかいOLEDパネルをつなげたもので、Ross Lovegrove氏は「この技術は線を形にした構造物と面を形にしたOLEDパネルがつながっているハイブリッドテクノロジーだ。非常に複雑な形と技術が組み合わされたものなので、誰にもまねることはできない」と自負した。

<LG Displayの‘Pyrosome’、出所:UBI Research>

他にもLG Displayはダイヤモンド型、丸型、シリンダ型、四角などの産業用照明と鏡一体型、透明棚型などの様々な家庭用照明を披露した。

<LG Displayの鏡型とダイヤモンド型照明、出所:UBI Research>

LG Displayは第5世代OLED Lighting Fab(1,100mm x 1,250mm)での量産を2017年第3四半期から第4四半期の開始に向けて京畿道坡州市に工場を建設しており、生産量は月産15,000枚を計画している。。LG Display関係者は「量産が始まって生産量が増えると製造コストとパネルの価格が下がり、自然に価格面でメリットが出る」と述べながら、照明市場においてOLED照明はデザインだけではなく価格面でも十分な競争力を持っていると付け加えた。

<LG Displayブースの中央に展示された‘Medusa’、出所:UBI Research>

【 新刊OLEDレポート紹介】モバイル機器用AMOLED材料および部品市場レポート

UBI Researchが4月にモバイル機器用AMOLED材料および部品市場レポートを発行した。本レポートはモバイル機器用リジッドAMOLEDとフレキシブルAMOLEDを製造するために必要である各種材料および部品のうち、主要な16種類を項目ごとで分類し、今後の市場を見通した。

本レポートによると、モバイルAMOLEDの製造に必要なガラスは基板用と封止用、フレキシブルAMOLEDの製造に必要なPolyimide(PI)基板を支えるキャリア用に分類し、2017年の市場は9,200万米ドルに、2021年には現在より2.6倍成長した2億3,600万米ドルにまで拡大すると予想される

また、本レポートでは、AMOLEDの一番外側に張り付けるカバーウィンドウ市場についても詳細な分析を行い、今後の市場を見通した。同市場は現在リジッドAMOLED用2DカバーウィンドウとフレキシブルAMOLED用3Dカバーウィンドウ市場、今後の折り畳み式スマートフォンに必須的なプラスチックカバーウィンドウ市場で構成される。

 

このカバーウィンドウ市場規模はフレキシブルAMOLED市場と共に急成長し、2021年には119億米ドルまで拡大すると予想される。

紙のように柔らかく曲がるOLED照明、‘Roll-to-Roll’生産技術開発

<韓国機械研究院先任研究員クォン・シンと‘Roll-to-Roll’OLED生産装置、参考:韓国機械研究院>

韓国政府未来創造科学部傘下の韓国機械研究院(KIMM、院長:朴・チョンホン)は、中小企業GJM(代表李・ムンヨン)と共同で簡単な工程でフレキシブルOLEDを製造する300㎜規模の‘Roll-to-Roll’生産技術を韓国で初めて開発した。

 

KIMMの先端生産装置研究本部の印刷電子研究室は、既存のRoll-to-Roll印刷電子技術をOLED生産工程に適用することに成功した。Roll-to-Roll真空蒸着装置を導入すればロール状のフィルムにOLED発光有機層と金属電極層を順番に蒸着しながら、一つのチャンバーで柔らかいOLEDを

製造できる。同装置で製造するOLEDは1ナノメートルから数百ナノメートル(㎚)の薄い多層の有機・無機薄膜で構成れており、各層は真空熱蒸着工程を経て製造される。

 

今まで柔らかいOLEDディスプレイを製造するには複雑な工程を経なければならなかった。フィルムを張り付けたガラス基板の上面を蒸着することでOLEDを製造した後、そのガラス基板からフィルムを剥がす方式だった。韓国大手企業が発売した画面の一面が曲がっているスマートフォンのディスプレイも同じ方式で製造されている。段階別に多数の蒸着装置が必要になるだけではなく、更に一度張り付けたフィルムを剥がす作業を行わなければならないため、効率が悪かった。

 

今回開発された技術を導入すれば、真空状態のチャンバー内にロール状に巻かれているフィルムを流し、その上に有機層と無機層を連続的に蒸着する‘多層蒸着’工程でOLEDを製造できる。製造に必要な時間と設備が大幅減少し、大手企業や中小企業でもこの柔らかいOLEDが製造できるようになる。

 

この工程を利用し、まずは照明産業へ適用する。生産されたOLED照明は従来のLED照明と異なり、点ではなく面単位で製造することができる。また柔らかい性質を活かして簡単に必要な形に仕上げられる。

 

KIMMクォン・シン先任研究員は「Roll-to-Roll真空蒸着装置の導入で、次世代ディスプレイとして注目されているフレキシブルOLEDを簡単な工程で連続生産できる。今、韓国ではディスプレイ分野の研究開発が停滞しているが、中国が激しいスピードで迫ってきている。このRoll-to-Roll印刷電子技術は、中国との技術力の差をつけ、さらに先にいくための鍵となる主要技術だ」と述べた。

 

また「実際のディスプレイ製品に使われる赤/緑/青の画素を個別に製造できる微細パターンマスク整列する技術を開発している。この技術が完成したら高解像度のディスプレイに導入し、類似技術を開発しているドイツFraunhofer研究所やコニカミノルタとも格差をつけられる」と付け加えた。

 

今回の開発は、KIMMが自体的に実施している技術事業化支援プログラムACEの支援により先行研究を踏まえ、2015年10月からは産業通商資源部の経済協力圏事業の支援を受け、GJMと共同研究開発を進められているGJMはOLED蒸着源に関する主要技術を保有している強小企業で、最近は台湾、日本、中国企業に蒸着元を納品する実績を積み上げ、‘Roll-to-Roll’OLED生産装置の本格的な普及に取り組んでいる。

OLED市場調査の専門機関であるUBI Researchの2014年のレポートによると、2020年OLED照明市場の規模は45億米ドルまで成長すると見込まれている。ディスプレイ市場調査の専門機関 IDTechEXの2015年のレポートでもプラスチックとフレキシブルディスプレイ市場は2020年に160億米ドルまで成長する見通すなど持続的拡大が予想されている。

‘Galaxy S8’ディスプレイ領域を83.6%まで実現、前モデルと比べ11.5%向上

<Samsung ElectronicsのGalaxy S8、出所:Samsung Electronics>

Samsung Electronicsは、3月29日(現地時間)米国ニューヨークで開催したUn Pack2017イベントで

多くの人々の関心や注目を集めるGalaxy S8とS8+が公開された。

 

 

Galaxy S8のサイズはは前モデルであるGalaxy S7と変わらない。しかし、Galaxy S8はベゼルを最小限にし、ホームボタンを無くすことで、ディスプレイサイズを拡大した。Samsung ElectronicsはGalaxy S8を開発の際、スマートフォンを片手で簡単に持ち上げられ、安定的な使用感と広い画面の両方を求める消費者のニーズを満足させためGalaxy S7と同サイズで、画面だけを拡大させた。

 

Galaxy S8に適用したべゼルレスディスプレイ‘Infinity Display’は、スマートフォン全体の84.3%を占める。前モデルに比べディスプレイの大きさは0.7inch増加し、スマートフォンのサイズに対するディスプレイサイズを指すディスプレイ領域は11.5%まで拡大された。また、Samsung Electronicsはベゼルの色をブラックにし、エッジスクリーンを採用することにより、スマートフォン全体がまるでディスプレイに見えるような錯覚を持たせる。そのため、消費者は実際の画面より大きい画面を見ているように感じることができる。

 

Samsung ElectronicsはGalaxy S8のアスペクト比(画面の横と縦の比率のことを指す)を16:9から18.5:9に変更し、映画やテレビなどの映像を見る際の没入感を最大化している。一部のコンテンツは16:9比率のものを21:9にして製作しており、これは今後より多くなると見られる。このようなコンテンツをスマートフォンで見ると上下に余白ができてしまい、ユーザーの没入感を低下する要因になっていた。しかし、Infinity Displayは21:9用コンテンツに表示される余白を全て無くし、没入感を最も高めた製品だ。

 

Infinity Displayは画面の比率を拡大すると共に解像度もQHDからQHD+に向上し、モバイル機器では初めてHDRプレミアム認証を取得している。Samsung Electronicsは2016年に72.1%のディスプレイ領域を持つGalaxy S7を公開し、2017年には約11.5%拡大した83.6%のGalaxyS8を公開したことになる。今後のスマートフォン市場では、さらに拡大した90%のディスプレイ領域が主になると見込まれており、その目標に近づいているSamsung Electronicsの動向が注目される。

 

Galaxy S8とGalaxy S8+は人工知能AIアシスタントBixbyを搭載し、世界最初の10nmプロセッサを採用している。また、4GB RAM、生体認証、マルチウィンドウ機能も備えた。バッテリー容量はS8が3000mAh、S8+が3500mAhである。

Samsung ElectronicsのGalaxy S8とGalaxy S8+のスペック、出所:Samsung Electronics

モバイル機器用OLED材料および部品市場、急成長を迎える

OLED製造に必要な材料および部品には、基板、TFT、OLED、封止、タッチスクリーン、カバーウィンドウ、Drive ICなどがある。韓国Samsung ElectronicsのスマートフォンGalaxyがリードしていたモバイル機器用OLED市場に米国Appleと中国メーカーが参入することで、Samsung Displayを始めとする中国ディスプレイメーカーによる第6世代装置への投資が急増している。

 

同時にOLED製造に必須な材料および部品の市場も急成長を迎えている。UBI Researchによると、モバイル機器用OLED材料および部品の市場規模は、2017年に87億2,000万米ドルとなり、2021年には382億米ドルまで拡大すると予想される。

 

国家別市場では、韓国の同市場は2017年に82億7,000万米ドルとなり、市場占有率94.9%を占めているが、2021年には中国の市場が22.3%まで増加し、韓国の市場は72.2%まで減少すると予想される。

UDC、OLED発光材料の寿命や効率が低下しない有機蒸気ジェット印刷技術を紹介

UDC副社長のMike Hackは、UBIリサーチ開催した第3回OLED KOREA CONFERENCEの「COLOR IS UNIVERSAL」セッションでソリューションプロセスの有機蒸気ジェット印刷(Organic Vapor Jet Printing)技術を紹介した。

 

Mike Hackは、「有機蒸気ジェット印刷技術(OVJP)は、既存のインクジェット方式のソリューションプロセスと異なり、蒸着工程で使用されるOLED材料をそのまま使用可能なので、ファイン・メタル・マスク(FMM)と溶媒が必要ない」と強調した。また、他にUDCで開発したNovel BY Display Architectureも紹介した。

発表によると、この構造は一度に2ピクセルを蒸着するために、マスクの開口サイズを増加した。また、Novel BY Display Architectureは、既存のRGB方式の代わりに青色と黄色のサブピクセル(blue・yellow sub pixels)を交互に蒸着し、黄色のサブピクセルの半分には赤色と緑色のカラーフィルター(CF)を上下対称になるように配列するのが特徴だ。

Mike Hackは、「この構造で、青色と黄色のサブピクセルの曲線因子(fill factor)を最大に増加し、OLEDパネルの色再現率増加や効率、寿命を極大化できた」と述べた。他にもピクセル当たり3data未満のラインを利用し、EML蒸着(FMM利用)も2段階に構成されており、製造コスト削減が可能な利点があると説明した。

最後にUDCは、燐光の発光材料(PH emitter)とホスト材料を開発し、常用化を目指していると付け加えて発表を終えた。

一方、UBIリサーチが発刊した『ソリューションプロセスのOLED市場参入可能性分析報告書』によると、インクジェット溶液プロセスに適用される発光材料は、蒸着工程で使用される発光材料を様々な溶媒に混ぜてインク化する方式だ。こうすると、材料の純度が下がり、発光効率と寿命も低下されてしまう。しかし、ソリューションプロセスなら、カラーフィルターを使用せず、発光材料の使用効率を向上することができる。さらに、第8世代以上のパネル製造装備で分割せずにRGBピクセル構造で大型OLEDパネルを製造できるという利点がある。主要パネルメーカーは、先を争ってソリューションプロセスの開発と常用化に取り組んでいる。

OLED蒸着装置市場でキヤノントッキを代替可能な候補は?

OLEDを採用したスマートフォンが増えている。米国Appleは2017年下半期にOLEDを採用したiPhoneを発売する予定で、韓国Samsung Electronicsは全てのスマートフォンにOLEDを採用すると見込まれている。中国の電機メーカーもハイエンドスマートフォンにOLEDを採用しており、韓国Samsung Displayの中国向けOLED生産量も増加している様子だ。

 

スマートフォン向けOLEDに対する需要が高まり、Samsung Display、韓国LG Display、ジャパンディスプレイ、中国BOE、中国CSOTなど、主要ディスプレイメーカーは第6世代規模のフレキシブルAMOLED量産ラインへ投資を進めるなど計画している。

 

2017年から2018年の2年間、パネルメーカーの投資が予想される第6世代フレキシブルAMOLED量産ラインの規模は、15,000個を基準に約20個のラインで、OLED量産ライン稼働に必須である蒸着装置を確保することが重要な課題となっている。

 

現在、韓国でフレキシブルAMOLEDを量産しているSamsung DisplayとLG Displayは、キヤノントッキが製造した蒸着装置を導入して量産を行っている。韓国SFAと韓国SNU、アルバックも中国パネルメーカーに量産用の蒸着装置を納品しているが、第4世代から第5世代向けの装置である。2016年、韓国Sunic SystemはLG Displayに第6世代用蒸着装置を納品したものの、まだ量産にはつながっていない。即ち、第6世代用蒸着装置の量産を実現したメーカーはキヤノントッキのみとなっている。。

 

パネルメーカーはキヤノントッキ製蒸着装置の購入を希望しているが、、残念ながらキヤノントッキは蒸着装置製造ラインはフルキャパで、全てのパネルメーカーからのラブコールに対応できない状況だ。そのような中で、SFAはSUNを買収し、装着装置に対する競争力を備え、中国GVOと中国Royalから第5.5世代の量産ライン用蒸着装置を受注することに成功した。Sunic Systemも2016年下半期に第6世代用蒸着装置を追加受注し、米国Applied Materialsも同装置をパネルメーカーに納品するよう開発に取り組んでいる。

 

このようにキヤノントッキが絶対的な存在感を持っている蒸着装置市場では、一歩出遅れた後発蒸着装置メーカーの挑戦が相次いでいる。キヤノントッキも徐々に蒸着装置量産の生産能力を拡大していくと見られている中、後発蒸着装置メーカーが製造した蒸着装置の導入が第6世代フレキシブルAMOLEDの量産成功につながるかどうかによって今後の蒸着装置市場が大きく影響を受けると見込まれる。

<OLED量産(予定)パネルメーカー(左)とOLED蒸着装置メーカー(右)>

ベゼルレスからフルスクリーンへ、フルスクリーンスマートフォン時代到来

スマートフォンのディスプレイ領域が広がっている。
ディスプレイ領域(Display area:D.A)は、スマートフォンサイズに’対するディスプレイサイズを表すものである。IMID 2016ビジネスフォーラムで韓国Samsung Display朴・ウォンサン首席は「D.Aはスマートフォンの携帯性を向上するためにサイズの限界を超えられる鍵になる。これからはD.Aを90%以上に拡大するフルスクリーンスマートフォンが発売され、スマートフォン市場の主役になる」と述べた。

<参考:Samsung Displayが発表したイメージファイル>

従来スマートフォンのD.Aは約60~70%程度だった。

しかし、2016年に韓国Samsung ElectronicsはフレキシブルAMOLEDを採用したGalaxy S7 EdgeとNote 7を発売し、D.Aを75%以上まで拡大した。中国では、ZTEがD.Aを75.2%にしたNubia Z11を、XiaomiがD.Aを83.6%にしたMi Mixを発売するなどD.Aの拡大に取り組み始めた。

 

2017年に韓国LG ElectronicsはLG G6に18:9割合の‘Full Vision 5.7型 QHD+ Display’を 採用し、 D.Aを80.4%まで拡大した。前モデルであるG5に比べディスプレイのサイズは0.4inch向上したが、ベゼルは左右1mmずつ縮まった。D.Aは約10%拡大となった。

また、2017年4月に発売したGalaxy S8と発売予定のiPhone S8(仮称)は、ホームボタンを無くし、左右・上下ベゼルを大きく減らすことができるためD.Aは91%以上に拡大すると見込まれている。

 

このようにD.Aを最大化したフルスクリーンスマートフォンは、ハイ

<ディスプレイタイプ別スマートフォン市場占有率、 出所:UBI Research>

エンドスマートフォン市場のトレンドになると見られており、フルスクリーンスマートフォン市場をリードするのはフレキシブルAMOLEDと予想される。

 

フレキシブルAMOLEDはプラスチック基板を使用し、柔軟性を高めると同時に多くのモジュールを効率的にスマートフォンに取り付けることができるためフルスクリーンの実現に適している。

 

 

UBI Researchは、昨年10年に発刊した『Key issue and Market Analysis for Foldable OLED』で、左右ベゼルと上下ベゼルを減らした形のフルスクリーンAMOLEDタイプスマートフォンは、2017年に市場占有率約17%となり、2020年には約60%まで拡大、ベゼルレスタイプOLEDパネルの市場占有率を越えると見通した。

ドイツのサイノラ(CYNORA)、今後の研究開発目標は?

第3回OLED KOREA CONFERENCEで、サイノラ最高マーケティング責任者のアンドレアス・ハルディ博士(Dr. Andreas Haldi)は、「Efficient blue TADF emitter: material in high demand」をテーマに、今まで研究してきた結果と今後の開発の方向について発表を実施した。

アンドレアス・ハルディ博士によると、ディップブルーTADFエミッタ(deep-blue TADF emitter)は分類によるスペクトラムの特性開発とホスト(host)やゲスト(guest)の相互作用に関する徹底した分析で、ディップブルーTADFエミッタのEQE(1000nits基準)は15%から24%、寿命(500nits基準)は300hから1000hまで向上したそうだ。

しかし、ディップブルーTADFエミッタをOLEDに採用した場合、材料のクエンチング(quenching)によって、効率や寿命が低下する現象が発生したと説明した。サイノラはこのような問題を解決するために、パネルメーカーと共同開発を進めており、モバイルやテレビ用ディップブルーTADFエミッタの量産を目指している2017年12月までに、CIEyは0.2未満、EQE(1000nits)は15%以上、LT97(700nits)は100h以上に達する計画と付け加えた。

改善されたディップブルーTADFエミッタを使用すると、製造コストと消費電力が減少するとともに、解像度の向上されたOLEDディスプレイが製造できるようになるため、主要なパネルメーカー大規模な真空プロセスラインに導入できると期待していると述べた。

また、ライトブルーTADFエミッタ(light-blue TADF emitter)については、材料精製技術と注入層、輸送層、ブロック層を適正なデバイス構造に適用することができるホストとスタック(stack)を開発したと説明した。

今後の青色発光材料(ブルーエミッタ)の開発方向については、ELピークを最大に引き上げ、60nmのFWHMと460nmの波長域を持つディップブルーTADFエミッタを目指して開発する予定だと言い、発表を終えた。

サイノラはOLED用の熱活性化遅延蛍光(TADF)技術リーダー企業として数年にわたって研究してきた。OLEDディスプレイの性能改善の最大テーマである青色発光材料の開発に注力している。

「Samsung・LG・ソニー」2017年プレミアムTV市場で予想される巴戦

今年初めに開催されたCES2017でソニーが公開した‘XBR-A1E OLED TV series’の予約販売が開始され、プレミアムTV市場でソニーとLG Electronics、Samsung Electronicsの本格的な戦いが始まった。これまでに発売した製品とは異なる価格戦略による競合他社との価格競争が消費者の興味を引き付けている。

 

今回ソニーが公開した‘XBR-A1E OLED TV series’には55型と65型、77型の3種類がラインナップされた。米国市場での販売価格は3月16日Amazonを基準に、55型は4,999.99米ドル、65型は6,499.99米ドル、77型は未定だ。LCDが搭載された前モデル「XBR-55X850D」「XBR-65X850D」の発売価格より約2倍となっている。この高価格戦略は、画質の向上やOLEDパネルから直接音が出力されるアコースティックサーフェスの搭載など、OLEDパネルを採用したプレミアムTVならではの独自のイメージを構築する。。また、この販売価格は2月に公開されたLG ElectronicsのSignature OLED TV‘OLED65G7P’の価格より500米ドル、‘OLED65W7P’の価格より1,500米ドル程度低く設定されている。LG Electronicsの発売が開始されているため、価格面で優位に立つという意図が窺われれる。

 

LG Electronicsは2月にプレミアムTV市場を先占するためのプレミアム OLED TVを発売している。また、今年中にUltra OLED TVの5つのシリーズで10種類のモデル(77/65W7, 77/65G7, 65/55E7, 65/55C7, 65/55B7)を発売する予定だ。その中で‘OLED65C7’の米国での販売価格はAmazonを基準に4,499.00米ドルで、前モデルのOLED65C6に比べ25%程度低く設定され、Samsung Electronicsの65Q7Cと同価格帯だ。しかし、Signature OLED TV‘OLED65G7P’とWall Paper OLED TV‘OLED65W7’は、Samsung Electronicsの65型QLED TVの中で最も高価なQN65Q9Fより各々1,000米ドルと2,000米ドル以上高く設定された。プレミアムTV市場でもエントリーモデルとハイエンドモデルに分類し、エントリーモデルでSamsung ElectronicsのQLED TVと競い合い、高価のハイエンドモデルで新しいプレミアムTV市場を開拓していくという意味と捉えられる。

 

LG Electronics、ソニーとは異なり、QLED TVに注力しているSamsung Electronicsは3月14日、フランスパリにあるルーブル展示場で超プレミアム製品(Q7,Q8,Q9)を公開した。超プレミアム製品は、4つのシリーズで11種類のモデル(88/75/65Q9F、75/65/55Q8C、75/65/55Q7F、65/55Q7C)でFは「Flat」、Cは「Curved」を表す。この中で‘Q9’はQ7とQ8より高級型で、4月に発売される予定だ。米国での販売価格は3月14日Best Buyを基準に、65Q8Cは4,799.99米ドル、65Q9Fは5,999.99米ドルで設定された。2016年に発売されたプレミアムTVのラインナップ‘SUHD TV’に比べ、販売価格が2割以上高く、ソニーと同様に高い価格設定と100%カラーボリューム認証を受けた向上した画質を特徴にプレミアムTVならではの高級感をアピールする方針とみられる。

 

このように2017年プレミアムTV市場は、Samsung Electronics、LG Electronics、ソニーの激しい巴戦になると予想されている。OLED TVでプレミアムTV市場をリードしているLG Electronicsとそれに立ち向かうソニーのOLED TV市場への参入、Samsung Electronicsのマーケティングが2017年プレミアムTV市場に及ぼす影響に、消費者と業界関係者の注目が集まっている。

<Samsung Electronics、LG Electronics、ソニーの2017年プレミアムTV販売価格、参考:Amazon、Best Buy、2017年3月23日基準>

OLED TVの発売はブランドイメージの向上と利益の最大化をもたらす

UBIリサーチは3月8日から2日間、第3回OLED Korea Conferenceを開催した。LGディスプレイのユン・スヨン常務は「Future TV is here, It’s OLED」というテーマで講演を行った。
ユン常務は「OLED TVはプレミアムLCD TVに比べ、色の再現性と明暗比、応答速度など画質力を備えている。特に、HDRは明暗を一層鮮明に表示する重要なディスプレイ技術で、OLEDはLCDよりHDRの色の表現範囲を20%以上拡大できる」と述べ、OLED TVの特徴を紹介した。
また、CES 2017で公開したクリスタルサウンド(Crystal Sound)OLEDについては、「OLEDパネルにサウンドシステムを導入し自ら音を発するクリスタルサウンドOLEDは、まるで登場人物が話しているような感覚を受け、没入感を高めることができる。OLED TVを発売すると、ブランドイメージの向上はもちろん、利益も増加する。CES 2017の受賞とベストバイ(Best Buy)での販売実績がその証拠だ」と語った。
実際にCES 2017でLGのOLED TVは他メーカーより約3倍位多い54部門で受賞する快挙を成し遂げた。LGの投資家やアナリストなどに向けて展示したTVの中で、「最も印象深い製品は何か」を問うアンケートで68%がウォールペーパ(Wallpaper)と答えるほどOLED TVは大きな反響を呼んでいる。ベストバイで販売を始めたころのOLED TVは、売り場の端っこに置かれたが、今は真中に変わったと言い、写真を見せた。ベストバイでの利益は去年の第3四半期(7∼10月)に比べ今年の同期には1.4%の小幅増加したものの、営業利益は35%の増加となった。おそらくOLED TVの販売率が大きく作用したのだと語った。
一方、ユン常務はプレミアムTV市場でベスト3に入るソニーも今年中にOLED TV事業を展開し、大型OLEDパネルの出荷量は1.7~1.9万台になると見込んだ。また、世界プレミアムTV市場でOLED TVの割合が増加していることに注目し、現在は生産量が少ないためプレミアム TVに集中しているが、今後徐々に生産量を拡大しながらパネル価格を値下げ、ミドルレンジ帯に入る予測した。

LG OLED、第2ロッテワールドタワー展望台に向かう道で来客を迎える

LG電子画質やデザインに優れたOLEDサイネージ(Signage)で韓国最高の摩天楼を彩る。

LG電子は、第2ロッテワールドタワー展望台に向かう専用エレベーター「スカイシャトル(Sky Shuttle)」の内部に55インチOLEDサイネージを設置した。同一の昇降路に上下2組のかごを設けるダブルデッキエレベーター(double deck elevator)を導入した2台のスカイシャトルに採用されたサイネージは60枚にもなる。スカイシャトルは3月末より運行を開始する。

LG電子のサイネージはエレベーターのドア以外3面の壁と天井に設置された。来客はエレベーターの内部全体を囲むOLEDサイネージを見ながら、まるで仮想現実(VR)空間に入っているような臨場感を味わうことができる。

エレベーターが地下2階から地上118階の展望台を登る約1分間、空から高速移動しながら望むソウルの観光名所を撮影した映像が流れる。景福宮(キョンボックン)・国会議事堂・蚕室総合運動場(オリンピック主競技場)を通って第2ロッテワールドタワーに至る。秒速約10メートルの高速で上に登るスカイシャトルの高さに合わせてカメラの視点もソウルを眺めるように切り替え、リアリティを加える。

LG電子はOLEDならではの特徴を活かし、エレベーターに最適なサイネージウォールを作り上げた。OLEDサイネージは自ら発光するため視野角が広く、どの角度からも鮮明な色彩を表現する。来客で込み合う空間に最適だろう。また、完璧な黒が表現できるため、高画質の生き生きとした映像を表示する。

OLEDサイネージはバックライトがないので非常に薄く、設置スペースは広くなくても良い。重さも同サイズのLCDサイネージの半分程度だ。より多くの来客がエレベーターを利用できるということだ。また、LG電子はサイネージウォール全面に強化ガラスで仕上げ、安全性を高めた。

第2ロッテワールドタワーは地上123階、海抜555メートルにある高台だ。韓国で最も高い建物であり、世界では5番目である。

LG電子イ・サンユン韓国B2Bグループ長は、「韓国最高の摩天楼でOLEDの優秀性を知らせることができた。OLEDの高画質や優れたデザインで新しい価値を提供するつもりだ」と強い口調で述べた。

【MWC 2017】サンスン電子、LG電子、HUAWAI、TCLらOLEDスマートウォッチで対決

MWC 2017では多彩なスマートウォッチを見ることが出来た。今後の市場変化をもたらすきっかけとなるだろう。
昨年のIFA2016で韓国サムスン電子は「Gear S3」を公開し、スマートウォッチの市場から大きな関心を受けた。そして、2月27日から3月2日に行われたMWC 2017ではサムスン電子のGear S3に対抗する製品が多くの競合から発表され来場者らが注目をした。
韓国LG電子は1.38型P-OLEDを適用した「G-Watch 2 Sports」と1.2型P-OLEDを適用した「G-Watch Style」を、中国HUAWAIは1.2型AMOLEDパネルを適用した「HUAWAI Watch 2」と「HUAWAI Watch 2 Classic」を、中国TCLは1.39型AMOLEDパネルを適用した「MOVETIME」を展示した。
LG電子とHUAWAI、TCLが公開したスマートウォッチは、従来の時計のデザインを生かすために丸形のフレキシブルAMOLED(P-OLED)を適用し、LG電子のG-Watch 2とHUAWAIのHUAWAI Watch 2はSIMが挿入できるため、スマートフォンと独立した機器として使用することができる。
LG電子のG-Watch 2 Sportsは1.38型丸形AMOLEDパネルを採用、Google Android Wear 2.0、768MB RAM、4GB内蔵メモリ、430mAhバッテリーを搭載、IP68等級の防水/防塵機能と無線充電機能を有する。G-Watch 2 Styleは1.3型丸形AMOLEDパネルを採用、Google Android Wear 2.0、4GB内蔵メモリ、240mAhバッテリーを搭載、IP67等級の防水/防塵機能を有する。
HUAWAI Watch 2は1.2型丸形AMOLEDパネルを採用、Qualcomm® Snapdragon™ Wear 2100、1.1GHz quad-core (CPU)、Google Android Wear 2.0、4GB内蔵メモリ、768MB RAM、420mAhバッテリーを搭載、IP68等級の防水/防塵機能を有する。また、フェイスデザインも多くそろえる。SIMカードも差し込め、4GLTEに対応。
LG電子とHUAWAIはMWC 2017の自社ブースにおいて、展示エリアの多くをスマートウォッチのために割き、力を入れた。サムスン電子と米アップルが主導権を握るスマートウォッチ市場に一石を投じる動きだ。

<LG電子のG-Watch 2 Sports>

<HUAWEIのHUAWEI Watch 2>