OLEDON、檀国大学と次世代超高解像度パターニング蒸着技術の共同開発に成功

先日のSID 2017で、韓国檀国大学ジン・ビョンドゥ教授と同大学兼任教授であり、韓国OLEDON代表ファン・チャンフン博士は、0.38umのShadow Distance(SD)を実現できる面蒸発源パターニング蒸着技術の共同開発に成功したと発表した。

 

ファン代表は、昨年開催された2016 IMIDビジネスフォーラムで、面蒸発源蒸着技術(Plane Source Evaporation)と厚さ100umのShadow Maskを用いて1.1umのShadow Distanceを実現できたと発表したことがある。当時、ファン代表は、「Step Heightを3umまで抑えると、理論上ではShadow Distanceを0.38umまで実現できるため、OLEDパネルの解像度を2250ppi以上に上げることができる」と説明した。

 

この発表は、実際に面蒸発源を採用し、SDを0.38umまで実現させた実質的な結果であるため、量産への採用可能性を一層高めることにつながり、今回SID 2017に来場した業界関係者から大きく注目を集めた。

 

現在、OLEDパネルの量産技術は、約3umのShadowを生成し、QHD(約600ppi以上)解像度を実現するには限界があった。3umのShadowは、UHD(約800ppi以上)AMOLEDパターニング工程を行う際に、隣接した微細パターンが重ね合され、微細パターンの密度が低下する。そのため、現在のOLEDパネルは、QHD解像度のみ生産している。

 

OLEDONが開発した面蒸発源パターニング蒸着技術が、量産に採用されると、Shadow Distanceを0.38~0.56umの範囲まで縮めることができるため、解像度は従来の約8倍まで上がる。また、規模を拡大するための開発を続け、大型OLEDパネル生産産業にも採用されたら、3300ppi以上の超高解像度を持つスーパーウルトラHD(SUHD)解像度のマイクロAMOLED素子が製造できるようになる。

<面蒸発源蒸着技術によって収集されたShadow Data>

ファン代表は「高真空環境で金属面に有機物を蒸発及び蒸着し、有機分子薄膜を形成した後、再び蒸発を行い、基板にコーティングのため蒸着するというアイディアから、有機分子ビームの蒸発角を最小限に抑えられる条件を発見した」と述べた。

<ファン代表がSID2017で発表した面蒸発源の原理>

最近、ディスプレイの解像度への関心が高まりつつあり、OLEDONによる研究結果は、関連業界に大きい変化をもたらすと見られている。

 

ファン代表は、蒸着装置専門メーカーを始め、25年間新しいコンセプトの蒸着技術開発に取り組んでおり、面蒸発源による蒸着技術関する特許(下向式熱的誘導蒸着による線状の有機素子量産装置:登録番号101206162000)を取得した。

仮想現実用HMD機器に必須となったOLED

次世代融・複合ゲームショウPlayX4の開幕式が、5月25日に韓国京畿道高陽市一山にあるキンテックス(KINTEX)第2展示場で行われた。イベント現場では、多くの企業が仮想現実コンテンツを披露した。特に、没入感を向上しながらVR酔いを軽減するために、Oculus Rift、HTC Vive、Gear VRなど、OLEDを採用したHMD(Head Mounted Display)機器を使用したのが特徴的だった。

 

仮想現実ゲーム専門開発者である韓国Realitymagiqは、マルチプレイ対応のゲームを展示した。ディスプレイと仮想現実の没入感ついて、Realitymagiq金・ソンギュン代表は「仮想現実の没入感を高めるためには、まず機器の性能が大事で、VR酔いを引き起こす主要原因となるLatencyを下げられるOLEDがあるだけで十分だ。ただ、解像度を今以上に向上させ、GPUの性能も改善すれば、没入感は一層高まる」と述べた。

他にも韓国Motionhouseは、実際にドライブする際に発生する車体の傾きやエンジンの振動などが体験できる‘MotionGear’を展示した。仮想現実用ヘッドセットには、OLEDを採用したOculus Riftが使用されており、企業関係者は「アトラクションに採用する時、VR酔いを最小限に抑えられる製品はOculus Riftだけだった」と語った。

Latencyとは、CPUがTrackerから届く情報を入力して、コンテンツを出力する間の所要時間を意味する言葉で、ディスプレイの応答速度とグラフィックカードの情報処理速度などに関わる。仮想現実で求められるディスプレイの応答速度は、3ms以下と知られており、韓国Samsung Displayは、自社ブログでOLEDとLCDの応答速度を比較し、OLEDが仮想現実用HMD機器に最適なディスプレイであることを強調した。

<LCDとOLEDの応答速度比較、参考:blog.samsungdisplay.com>

実際に、現場ではVRコンテンツを提供する多数の企業が、Oculus Rift、HTC Vive、Gear VRなど、OLEDが採用されたHMD機器を使用していた。それに対して、来場者は特にVR酔いを感じず、仮想現実コンテンツを楽しめたと語った。

 

Oculus RiftとHTC Vive以外にも、最近発売されたソニーの‘PS VR’とRoyoleの‘Royole Moon’などがある。多くのHMD製作会社が、LCDではなくOLEDが採用されたHMD機器を発売するなど、仮想現実機器へのOLED採用がどんどん広がっていくことが予想される。

【SID 2017】BOE、世界初の真のQLEDを展示

中国BOEは、25日(現地時間)米ロサンゼルスで開催されたSID 2017で、世界初のElectroluminescence Quantum Dot技術が採用された2種類のQLEDディスプレイ(5型、14型)を展示し、来場者の大きな関心を集めた。

 

BOEの5型QLEDディスプレイは、320×240(80ppi)の解像度を持ち、低温ポリシリコン(LTPS) TFTを採用しており、14型QLEDディスプレイは、960×540(80ppi)の解像度を持ち、 酸化物(Oxide)半導体TFTを採用している。

<BOEが展示した5型(左)、14型(右)QLEDディスプレイ>

今回展示されたBOEのQLEDディスプレイが特別な理由は、今まで韓国Samsung ElectronicsによるPhotoluminescence Quantum Dot技術が採用されたSUHD TVとは異なり、バックライトの無いElectroluminescence Quantum Dot技術が採用されたディスプレイだからである。

 

一般的に量子ドットを利用するディスプレイメカニズムは、Photoluminescence Quantum Dot技術とElectroluminescence Quantum Dot技術、二つに分類される。

 

Photoluminescence Quantum Dot技術は、外部から光による刺激を受ける物質が再び光を放出するメカニズムを持つ。Samsung Electronicsは、この技術をバックライトから発される青色光にQDシートを張り付けた状態で活用することで、LCD TVに採用している。

 

一方、Electroluminescence Quantum Dot技術は、電機をかけると自ら発光するメカニズムで、発光材料のみ無機物であり、構造はOLEDと同様である。

 

UBI Research李・チュンフン代表は、以前アナリストコラムで、「Photoluminescence Quantum Dot技術は、ディスプレイの色再現率を向上するために、現在のLCD TVに採用している。確かに優れた製品を完成したが、Electroluminescence Quantum Dot技術を採用したものこそ、真のQLEDディスプレイと言える」と述べたことがある。

 

BOE関係者は、QLEDディスプレイについて「従来のOLED構造に有機物の代わりに無機物を用いることで信頼性を確保し、色再現率もOLEDに比べ高いという特徴を持つ。100% インクジェット印刷方式で製造するQLEDは、蒸着方式で製造するOLEDに比べ、コスト削減と大型に有用である」と説明した。

 

業界では今からQLEDディスプレイ量産開始まで最低5年以上はかかると予想されていたため、BOEによる研究結果とElectroluminescence Quantum Dot技術を採用したQLEDの実用化がどのぐらい早まるか、またディスプレイ産業にどのような影響をもたらすかなどに注目が集まる。

2017年第1四半期、AMOLED実績分析

UBI Researchは、2017年第1四半期AMOLED売上高について、43億1,000万米で前年同期(2016年第1四半期)比15%増加し、出荷量については、9,910万台で前年同期比9%増加したと発表した。

 

AMOLED売上高の市場占有率は、スマートフォンが88%、TVが7%を占めた。特に、TVの売上高占有率は、前年同期比5%増加となり、OLED TV市場が大きく成長していることが分かる。

 

韓国Samsung ElectronicsによるGalaxy S8とS8+の発売、Apple向けAMOLEDパネル量産開始、ソニー・東芝・パナソニックなど、日本メーカーによるOLED TV市場参入で第2四半期以降もAMOLED市場は、成長し続けると予想される。モバイル用AMOLEDは、四半期ごとに1億台以上出荷予定、TV用AMOLEDは、四半期ごとに30万台以上出荷予定になっている。

 

UBI Researchは、AMOLED全体市場の規模について、2020年まで年平均成長率33%で約593億米ドルになると見通した。

<AMOLED全体市場の売上高展望>

JOLED、世界初の印刷方式で21.6型OLED生産開始

JOLEDは、RGB印刷方式では世界発となる21.6型4K OLEDパネルを開発し、4月よりサンプル出荷を介したと17日発表した。

 

JOLEDがRGB印刷方式で開発したパネルの厚みは1.3mm、重量は500g、ピーク輝度は350cd/m2、コントラスト比は1,000,000:1である。JOLEDによると、このパネルは医療用モニターに採用された。

<JOLEDが開発した21.6型OLEDと詳細仕様、参考:JOLED>

JOLEDは「印刷方式は発光材料を印刷に塗布・形成する技術で、生産工程がシンプルであることから、様々な画面サイズに拡大しやすいため、実用化を進めた。OLEDパネルの光取り出し効果(Top Emission)、広視野角、式再現性を向上する予定だ」と説明した。

 

また「中型OLED市場において印刷方式の導入分野(ゲーム用モニター、自動車搭載用途など)と供給先を継続的に拡大していく」と今後の計画を明らかにした。

 

JOLEDは、日本官民合同ファンドである産業革新機構(INCJ)、ジャパンディスプレイ、ソニー、パナソニックの4社が共同出資え設立した会社で、印刷方式によるOLEDの開発に積極的に取り組んでおり、パネルメーカーの中で唯一2016年印刷方式で開発した製品を公開したのである。

<JOLEDが2016年に公開した55型4KフレキシブルAMOLEDパネル>

UBI Researchの『ソリューションプロセスOLED市場への参入可能性分析レポート』によると、印刷方式はソリューションプロセス工程の一つで、インクジェットヘッド(Ink-jet Head)を用いて各ピクセルにインクを落とす方式である。主要パネルメーカーでは、このような工程方式でソリューションプロセスを開発しており、JOLEDの今後の動きに注目が集まる。

 

ソリューションプロセスは、第8世代以上のマザーガラスでRGBピクセル構造の大型OLEDパネルが製造可能で、材料使用の効率が高く、単純な構造で開発可能のため、量産に成功したらコスト削減につながるという利点がある。

 

UBI Researchイ・チュンフン代表は、「大型OLED市場はWRGB方式を採用し、プレミアム市場攻略に向けて戦略を実行しているが、今後LCDをOLEDに置き換えていくには、低コスト・高生産性を重ね揃えた技術が鍵となるため、ソリューションプロセスがOLEDの主な技術になる」と述べたことがある。

[SID 2017] プレミアムTV市場、LCD vs. OLED競争再点火

2017年のプレミアムTV市場は、韓国LG ElectronicsによるOLED TVの販売量増加とソニーによるOLED TV市場への参入で、最初はOLEDが機先を制するように見えた。しかし、代表的なLCD製造会社である台湾AUOから、プレミアムTV市場においてLCDがOLEDより有利という発表があり、再びOLED TVとLCD TVの間に市場占有をめぐる競争が激しくなることが予想される。

 

5月22日から米ロサンゼルスで開催されているSID 2017のキーノートセッションで、AUOのCEOであるPaul Peng氏は、『The warring states era of display technologies』をテーマに、今後プレミアムTV市場でLCDがOLEDより優位に立つという内容を発表した。

 

Paul Peng氏によると、LCDがもっと優れていると主張した理由は大きく三つある。第一に、性能について、LCDが最大サイズ(Maximum Size)、ピーク輝度(Peak Brightness)、室外環境でのコントラスト比(Ambient Contrast Ratio)、色域(Color Gamut)、画面の焼き付き(Image Sticking)、寿命(Lifetime)、全てOLEDより優位に立っていると述べた。第二に、コストについて、2016年の米ブラックフライデー(Black Friday)で、65型HDR 4Kを基準に狭ベゼル(Narrow Bezel)のLCD TVは1,099米ドルで販売されたが、OLED TVは2倍高い2,800米ドルで販売されたことを挙げた。第三に、エコーフレンドリについて、製造工程で用いられる工業用水はLCDよりOLEDに多く使用されており、OLEDの消費電力はLCDの約2倍程高く、交換周期も2~4年のOLEDに比べLCDは5~8年で、2倍程長く維持できるためLCDがOLEDより環境にやさしい製品だと強調した。

 

OLED TVが発売された以来、LCDとOLEDの間には熾烈な競争があったが、プレミアムモバイル市場ではOLEDの占有率が継続的に向上し、プレミアムTV市場でもOLEDがLCDより先に進む様子だった。しかし、世界最大ディスプレイ学会であるSID 2017のキーノートで、AUOの発表により、ディスプレい業界におけるOLEDとLCDの競争は、一層激しくなると予想される。

 

Samsung Display、世界初の9.1型ストレッチャブルAMOLEDを公開

韓国Samsung Displayが世界初のタッチ機能付き9.1型ストレッチャブル(Stretchable)AMOLEDをSID 2017で公開し、世界最高のAMOLED技術力を見せつけた。

 

Samsung Displayは、SID 2017のシンポジウムで『9.1-inch stretchable AMOLED display based on LTPS technology』というタイトルの論文発表とともにSamsung Displayブースの未来型ディスプレイ(Future Display)ゾーンにて実物を展示し、来場者の大きな関心を集めた。

 

今回展示された9.1型ストレッチャブルAMOLEDは、収縮することができるフィルム基板の上にPIを形成した後、伸縮可能な領域をパターニング(Patterning)したものである。また、パターニングしたPIの上にTFTとOLEDを形成する構造で製造し、マルチタッチセンサー(Multi-touch Sensor)を同時に実現した。

<Samsung Displayによる9.1型ストレッチャブルAMOLEDの構造>

また、ストレッチャブルAMOLEDは、凸型(Convex)と凹型(Concave)を全て実現可能で、凹型では最大12mmまで伸びる。

 

ストレッチャブルディスプレイは、フレキシブルディスプレイの最終的な技術で、形状に制限がないため、衣類や人間の肌など、様々な分野に採用できることから新たな領域のアプリケーションを創出すると期待されている。

 

今回の展示は、フレキシブルAMOLEDでモバイル機器用AMOLED市場をリードしているSamsung Displayと後発メーカーの技術格差が再び拡大するきっかけになると見込まれており、早いスピードでAMOLED技術を追う後発メーカーにどのような刺激を与えるか期待される。

<Samsung Displayの9.1型ストレッチャブルAMOLEDが展示されているブースの様子>

<Samsung Displayの9.1型ストレッチャブルAMOLEDのスペック>

Samsung Displayが展示した9.1型ストレッチャブルAMOLED、参考:Samsung Display

LG Display、「SID 2017」で次世代ディスプレイを多く公開

韓国LG Displayは5月23日から26日まで米ロサンゼルスコンベンションセンター(Los Angeles Convention Center)で開催される「SID 2017」展示会に参加し、未来のディスプレイ製品を多く公開する。『Our Technology, Your Innovation』をテーマにブースを設置し、OLED TV、IT & Mobile、Automotiveなど、三つのゾーンでLG Displayならではの独創的な製品を展示する。

 

まず、紙のような薄さと革新的なデザインの77型‘UHD Wallpaper TV’を公開する。OLED技術で高画質を実現しながら、薄くて軽い特性を生かし壁に完全密着できるため、デザイン効果も最大化された。

 

合わせて公開される65型‘UHD Wallpaper TV’パネルは、今回SIDで最高の技術力を持つ製品として認められ、「今年のディスプレイ賞」を受賞した。

<LG Displayの65型UHD解像度のCSO(Crystal Sound OLED)、参考:LG Display>

また、パネルから音が発生することによって、ディスプレイの新機能を提紹介した65型UHD CSO(Crystal Sound OLED)と自然で透明な画面を実現する55型FHD透明ディスプレイも公開し、LG Displayが開発している未来型ディスプレイを一目で分かることができる。

 

LG Displayはパネルにタッチセンサーが内蔵される‘in-TOUCH技術’を24型級モニターまで採用を拡大し、大型及び高解像度製品でIT市場に独自の価値を提供する。in-TOUCH技術は、タッチカバーガラス(Touch Cover Glass)が必要ないため、薄くて軽量であり、優れたタッチ性能を持つ上で、更にパネルとベゼルの厚みを削減することで、より洗練されたデザインを完成することができる。

 

没入感を向上した世界最大の37.5型21:9曲面モニターとリアル感を与える高画質を実現する31.5型8Kモニターなど、最先端のIT製品も公開する。

<LG Displayの12.3型車載用全面(下)、透明(上)、参考:LG Display>

LG Displayは急成長を迎えている車載用ディスプレイ分野でも洗練されたデザインと高画質のOLEDで、自動車の未来を提案する。多層構造で12.3型全面ディスプレイと透明ディスプレイを実現し、従来のアナログメーター(Cluster)のような立体感を持たせるディスプレイを披露する。また、75%を超える高反射率で、ルームミラー(Room Mirror)を代替するミラーディスプレイなど、様々なディスプレイをリアルに体験できる展示スペースも設置した。

 

LG Display CTO(最高技術責任者)カン・インビョン専務は、「LG Displayは、IPS、OLED TVなど、世界で初めてディスプレイの歴史に新たな一歩を踏み出してきた。今後も引き続き技術開発を進め、次世代ディスプレイ市場の先頭に立つ」と述べた。

Samsung Display、「SID 2017」で画面を自由に伸縮できるディスプレイなど、最先端の製品を公開

韓国Samsung Displayが世界的権威を持つディスプレイ専門学会SID(The Society for Information Display)が主催する「SID 2017」展示会に参加し、最先端の未来型ディスプレイ製品を公開する。

Samsung Displayは、5月23日(現地時間)米ロサンゼルスコンベンションセンターで開幕する今回の展示会で、画面を自由に伸縮できる(Stretchable)ディスプレイをはじめ、眼鏡不要の3D OLEDなど今まで公開したことのない最先端の未来型ディスプレイ製品を展示する。

今回のSID 2017でSamsung Displayは、最先端製品の公開や優秀な論文の発表を通じて独創的なディスプレイ技術のリーダーシップと自信を見せつける戦略だ。

今回公開した9.1型ストレッチャブル(Stretchable)ディスプレイは、画面が弾力的に伸び縮みする次世代ディスプレイ技術で、ウェアラブル、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、車載用ディスプレイに最も適合した未来技術に挙げられる。

<参考:Samsung Display>

従来のフレキシブルOLEDは、画面を曲げたり折り曲げたり、巻物のように巻くなど、一方向にだけ変形が可能だったが、ストレッチャブルOLEDは二方向以上への変形させることができる特徴を持つ。実現の難易度がものすごく高い技術で、業界ではフレキシブルディスプレイ技術の終着点と呼ばれている。

今回、展示された製品は、画面を上から押し下げるとゴム風船を押したように画面がくぼみ、再び本来の平たい形に戻る。逆に、下から押し上げると画面が上に膨らむように大きくなって回復する伸縮性を持っている。

Samsung Displayは、継続的に研究開発を進めた結果、ディスプレイを押し下げた際に最大12㎜の深さまで画面が伸び縮みしながらも、従来の画質を維持する高いレベルのストレッチャブル技術を世界で最初に実現した。また、立体映像に関する未来の技術である‘眼鏡不要の3D OLED’製品を展示する。5.09型の大きさは、見る人の位置(視点)によって違うように見える実物の姿をディスプレイで実現し、もっとリアルな3次元映像を表現する。特に、OLEDの無限大に近いコントラスト比を特徴に、LCD製品より自然な立体映像を提供する。この技術は今後3Dパップアップブック、3Dゲーム、VRなど、3次元映像技術を必要とする様々な分野で活用できると期待される。

今回の展示会でSamsung Displayは、最新OLED技術を体験できるブースを設置する。3.5型の大きさに858ppiで、VR機器に最適化された製品をはじめ、滑らかな画質を実現するために120Hzで駆動する製品、ウェアラブル、タブレット用OLED製品が展示される。また、OLEDの高画質、HDR(High Dynamic Range)、低消費電力技術なども確認できる。 Samsung Displayは、独自のフレキシブルOLED技術によるスマートフォンディスプレイデザインの発展について紹介する‘デザイン革新’コーナーも設置する。

2013年、世界で最初にフレキシブルOLED量産に成功した以来、初めて スマートフォンに搭載した曲面OLEDをはじめ、最近世界的な画質評価機関である米ディスプレイメート(DisplayMate)から最高画レベルの‘Excellent A+’を獲得したフルスクリーンOLEDまで、今までSamsung Displayが築いてきたフレキシブルOLEDの技術力が一目で分かるようになる。

また、超低反射POL(偏光板)を採用し、画面の反射を最小限に抑え、色表現力を100%(DCI-P3基準)達成した高画質の65型フレームレス曲面LCD TV、情報伝達効率を最大化したアスペクト比21:9の34型QHD+(3440X1440)曲面LCDモニター、144Hzの高速駆動が可能な27型FHD(1920X1080)曲面LCDモニターも革新技術を実現した製品として展示される。

今回の学会では、Samsung Displayホン・ジョンホ研究員の「画面を伸縮できるストレッチャブルOLEDディスプレイ」論文がSID 2017優秀論文(Distinguished Paper)に採択された。

TADFの創出者となる安達千波矢先生を訪問

2010年、NatureにTADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)関連論文が初めて掲載された九州大学の安達研究室を訪ねた。安達先生は教授というより大学院生のような素朴な第一印象だった。

安達先生がTADF材料に対して情熱を持っている理由は、OLEDパネルの製造にかかるコストを下げられる最適な材料だと確信しているからだ。現在、使われている発光材料には、蛍光材料である第1世代材料とりん光材料である第2世代材料がある。第1世代の蛍光材料は価格が安いものの効率は悪く、第2世代のりん光材料は効率は高いものの価格が高いという欠点がある。その理由は希土類のイリジウムを使うからだ。安達先生がリードしている第3世代の発光材料であるTADFには、第1世代材料の構造に第2世代材料の効率が出せるという利点がある。

 

理論的にはTADF材料は内部効率を100%達成し、分子設計の自由度が高いという特徴を持つ。即ち棒状の分子設計が可能で、配向性のある材料を製造することができるため、外部への光取り出し効率を40%まで向上することができる。

 

安達先生はTADF材料の実用化について、Galaxy用OLED材料としてはまだ特性が完成していないが、比較的に低スペック向けには来年から採用できると述べた。特に緑色ドーパントや赤色のドーパントが導入できると予想した。しかし、ディスプレイに採用できるTADFに完成するためには、必ずT1とS1のバンドギャップを縮め、電子移動速度を上げるべきだと強調した。電子移動速度について、現在は1μsec程度だが、10-1~10-2μsecまで速まると分子劣化が少なくなり、寿命を確保することができると説明した。また、TADFドーパントの効率を十分に発揮する専用のホスト材料がないということはTADF材料の開発に支障をきたすことになるため、発光材料メーカーによる積極的な参加が求められていると付け加えた。

安達先生は最近、ドイツジャーナルであるAngewandte Chemieに色度図が(0.148, 0.098)で、外部への光取り出し効率が19.2%以上になる‘Deep-Blue TADF’論文を発表した。

BOEとTianmaなど、Samsungを追撃する中国パネルメーカーの中小型AMOLED生産開始

中国BOEは5月5日、中国成都にある第6世代フレキシブルAMOLED生産ラインB7について、量産稼働を開始したと公式に発表した。中国での第6世代フレキシブルAMOLED生産は、今回初めてで、中国政府の大々的な支援による歩留まりロスの影響が少ない特殊な量産状況から、韓国Samsungが独占していた中小型AMOLED市場に大きい変化をもたらすと見られている。

 

約465人民元の投資により2015年5月に着工したB7は、第6世代を基準に月48,000枚の生産能力を持っており、中国内ハイエンドレベルのモバイルディスプレイ生産に注力すると期待されている。また2016年12月には、綿陽にある第6世代フレキシブルAMOLED生産ラインB11で、月45,000枚の生産に向けた投資が決定され、量産開始は2019年になると見込まれている。

<CIDC 2016で公開した5.5型FHD折り畳み式AMOLED>

中国Tianmaは、4月20日に中国で初めて武漢にある第6世代LTPS AMOLED生産ラインで製造したリジッドAMOLEDパネルの点灯に成功しただけではなく、中国初の第4.5世代AMOLEDパイロットラインを構築した。また、上海に第5.5世代AMOLED生産ラインを構築し、中小型AMOLEDディスプレイを量産している。

 

他にも中国CSOTは、武漢にあるT4工場で第6世代リジッドとフレキシブルAMOLED生産ラインへの投資を進め、2018年第4四半期の量産開始を目指している。中国Visionoxは、崑山にある第5.5世代ライン(V1、現在月産4,000枚)のフェーズ1で月産11,000枚の生産設備を増設し、フェーズ2では月産15,000枚の生産に向けた投資を行った。中国Royoleも第5.5世代フレキシブルAMOLED量産ラインへの投資を進め、1月には韓国SFAの蒸着装置発注に向けたLOI(Letter of Intent)を締結した。生産能力は月産15,000枚になると予想される。

 

このように韓国メーカーがリードしているAMOLED市場の中で、中国パネルメーカーは中国政府の支援と巨大な内需市場で急成長し、全体の市場占有率を拡大すると予想される。AMOLED市場調査機関であるUBI Research李・チュンフン代表(首席アナリスト)は、2018年から本格的に中国AMOLEDパネルメーカーによる出荷量が増加し、2021年には全体市場の約16%を占めるまで拡大し、韓国の次にAMOLEDパネルの出荷量が多くなると見通した。

<国家別AMOLEDパネル出荷量展望>

SamsungとLG Display、OLEDで「今年のディスプレイ賞」を受賞

韓国Samsung Displayと韓国LG Displayは、世界最大ディスプレイ学界である情報ディスプレイ学界(SID)で、OLED技術力を認められたと18日に発表した。

 

SIDが授与する「今年のディスプレイ産業賞(DIA、Display Industry Awards)」には、Samsung DisplayのQuad-EdgeフレキシブルOLEDが、「今年のディスプレイ(Display of the Year)」にはLG Displayの65型UHD壁紙OLED TVパネルが選ばれた。

 

SIDは、前年に発売された製品の中から、グローバルディスプレイ産業の未来を輝かせると期待される革新的なディスプレイ製品、部品、応用製品を選定し、賞を授与する。

<Samsung DisplayのQuad-EdgeフレキシブルOLED、参考:Samsung Display>

SIDによると、Galaxy S7 Edgeに搭載されたSamsung DisplayのQuad-EdgeフレキシブルOLEDは、業界では初めてディスプレイの上下左右全ての面に曲面の形を取り入れ、優れた技術力を示し、今年のディスプレイ産業賞を受賞した。.

 

この製品は、BM(Black Matrix)領域を最小化する設計技術を生かし、以前の製品よりベゼルの厚さを0.2mm削減、上下の端(曲率半径25R)を微細に変化することで、緩やかな曲線の形を完成した。また、審美性と握り心地の良さを実現するために、パネルの左右端に4段階の曲率(曲率半径35R→9.4R→5.4R→3.8R)を採用した。

 

今回の受賞について、Samsung Displayチョン・ソクジンマーケティングチーム長(常務)は、「Samsung Displayは、フレキシブルOLED製造に向けた最先端技術を基に、市場で独自の製品を提供してきた。 Quad-EdgeフレキシブルOLEDの開発で、引き続きディスプレイ市場をリードすることができて嬉しい」と述べた。

<LG Displayの65型UHD壁紙OLEDパネル、参考:LG Display>

今年のディスプレイに選ばれたLG Displayの65型UHD壁紙OLEDパネルは、OLED技術を生かし、優れた高画質を実現した上で、更に応用範囲とデザイン面でもディスプレイの新しい可能性を開いた革新的な製品として高く評価された。

 

このパネルを採用したOLED TVは、CES 2017以外にも米Engadget、英CNETなど、世界的に有名なメディアからも、既に数多くの賞を受賞しており、先日の16日には米国消費者専門メディアであるConsumer Reportsから、歴代最高点の89点(TV評価)を記録したことがある。

 

65型UHD壁紙OLED TVに採用したOLEDパネルの厚さは1 mm にもならず、TV用セットとして製造した場合にも厚さ3.55mm、重量7.4kgしかならないため、額縁のように壁に密着できる。また、デザインの効果を最大化し、TV視聴時の没入感を高める。

 

LG Display研究所長ユン・スヨン常務は「LG Displayは、自社ならではの特徴的な製品、技術、主要力量を強化しながら、消費者の方々に新しい価値を提供してきた。今後も世界ディスプレイ産業を代表する企業として、次世代技術の発展に最善を尽くして貢献する」と語った。

2017年、OLED TV元年になるのか?

5月16日、LG Signature TV Wは、米消費者専門メディアであるConsumer Reportsから、TV部門評価で89点を獲得した。この評価は、歴代最高点として、同年4月に「今直ぐ買わなければならない最高の4K TV(Best 4K TVs to Buy Right Now)」部門で88点を獲得し、1位となったLG OLED TV(OLED65C7P)の記録を追い越したのだ。

 

LG Signature TV Wは、OLEDパネルだけではなく、特殊なデザインの仕上げ素材を採用し、厚みを最小化(壁掛けTVの据え置きスタンド含み4mm)し、画面以外の不要な部分を無くし、没入感を極大化した製品である。 また、先日のCES 2017では「最高賞(Best of the Best)」と「最高TV賞(Best TV Product)」を受賞し、米Engadgetより「芸術作品に近い美しいTV」と評価されたこともある。

LG Signature TV W、参考:mybroadband

また、2位に選ばれたのは、LG Ultra OLED TVとソニーOLED TVだった。Consumer Reportsにより1位から10位まで選ばれた11モデルの中で、OLEDパネルが採用されたTVは10モデルで、LCDが採用されたTVソニーのBRAVIA、1モデルだけだった。

 

このようにOLED TVは、優れた画質などの特徴を持ち、消費者から大きな関心を集めている。3月にUBI Researchが主催した第3回OLED Korea Conferenceで、LG Displayユン・スヨン常務は「米Best Buyの売り場で、OLED TVの配置が端から中央に変更された」と語り、OLED TVがプレミアムTV市場の主流になりつつあることを示した。また、多くの後発メーカーも相次いでOLED TV市場に参入し、製品発売の計画を明らかにしている。

 

東芝は、3月に55型と65型OLED TV Regzaを発売し、ドイツのハイエンドブランドLoeweも5月1日に55型と65型の4K解像度OLED TV新製品Bild 9シリーズ’を発売し、プレミアムTV市場でOLED TVが本格的に販売され始めた。

 

また、CES 2017でOLED TVを初公開し、大きな話題を呼んだソニーは、5月8日に4K BRAVIA AMOLED TV A1Eシリーズの中で、55型と65型を6月から日本で販売すると公式に発表した。パナソニックも5月14日に、4K OLED TVでありVIERA2シリーズの中で、EZ900、950、1000を6月から日本で先行販売すると発表した。

<Sonyの4K BRAVIA AMOLED TV A1E、参考:Sony blog>

UBI Research李・チュンフン代表(首席アナリスト)は、4月トピックセミナーで、2017年にソニーのOLED TVが約40万台販売されると見込ながら、OLED TV市場全体の占有率は、2017年に約27%になり、2021年には約38%まで拡大すると予想した。

International TADF Workshop開催

<参考:2nd International TADF Workshop>

第1世代の蛍光材料技術と第2世代のりん光材料技術に引き続く第3世代の発光材料技術であるTADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)技術に関するInternational Workshopが2017年7月19日から21日まで九州大学で開催される。

 

ブラウン管の代わりに現在ディスプレイ市場の主力製品として位置付けているLCDを市場から完全に撤退させるためには、中・低価格帯製品にも導入できる高効率で低コストのOLEDが必要となる。高効率と低コストを同時に解決するためのソリューションがこのTADF材料の実用化にかかっているのだ。

 

現在製造されている発光材料は、赤色ホスト材料、緑色ホスト材料、青色ホスト材料と各色のドーパント材料で分類される。なお、この材料の中で赤色と緑色は内部効率を100%達成するりん光材料を使用している反面、青色材料は内部効率が25%にしか至らない蛍光材料をまだ使用している。青色材料における効率の限界から、TV用大型OLEDパネルは青色層が2階積層された構造となっており、高い材料費が発生する。

 

現在のOLED発光材料が持つ限界を克服するために開発されている材料がこのTADFである。

 

TADF技術を世界で初めて開発に成功した九州大学の安達千波矢教授が会長と務めているInternational TADF Workshopには全世界から第3世代OLED発光材料の開発専門家が集まる。安達教授は九州大学で2012年に初めてTADF論文を発表してから3年後の2015年に全世界に約120編を発表し、2016年には200編以上の論文を次々と発表してきた。この事実はまさにTADFは全世界から熱い視線を注がれていることを示している。

 

安達教授は、今回TADF Workshopの開催に向けて、TADFの現状と今後の開発方向性と進め方について、各国の専門家と議論を行うためだと趣旨を述べた。

Merck、SID 2017でディスプレイのための未来志向型素材を公開

ドイツMerckは、5月21日に開催されるSID Display Week 2017で、新しいディスプレイ技術と今後のプロジェクトを公開すると明らかにした。

 

Merckは『The Perfect Pixel – Advanced materials for display and beyond』をテーマに、幅広い製品及びサービスポートフォリオを展示する予定である。

 

Merckのディスプレイ材料事業部総括責任者であるMichael Heckmeier氏は「我々は、顧客との緊密な関係を通じて、ディスプレイ技術だけでなく、品質、信頼性、サービスを徐々に向上している」と述べた。

 

また、Michael Heckmeier氏は「継続的に開発を進めながら、先導企業としての位置を強固にするつもりだ。更に環境にやさしく、効率的な生産プロセスを開発することで、最終消費者に一層良質な経験を提供する」と今後の計画を明らかにした。

 

このためにMerckは「デザインに制限が無いディスプレイ、柔らかいディスプレイ、色再現性・コントラスト比・エネルギーの効率が高いディスプレイの他にも液晶ウィンドウ(Liquid Crystal Window:LCW)モジュールのような革新的製品に焦点を合わせられる」と付け加えた。

<OLED Display、参考:Merck>

Merckは、SIDカンファレンスで、インクジェットプリンティング用溶液材料の開発現況について、発表する予定である。

 

Merckによると、インクジェット印刷方式で形成した赤色層と緑色層の効率は、真空蒸着技術によるものとほぼ等しいらしい。インクジェット印刷方式は、第8世代以上のマザーガラスでRGBピクセル構造の大型OLEDパネルが製造可能で、材料使用の効率が高く、単純な構造で開発できる。そのため、量産に成功したらコスト削減につながるという利点があり、今後の動きに注目が集まる。

 

また、Merckは先日のOLED Korea Conferenceで、溶液材料について「赤色は16.4%の発光効率とLT95 2,000hの寿命、緑色は18.7%の発光効率とLT95 8,000hの寿命、青色は7.5%の発光効率とLT95 500hの寿命(1,000cd/m2基準)を持っている。11%以上の発光効率を持つ蛍光青色ドーパントと輝度が20cd/A程度に向上したりん光深赤色(Deep Red)ドーパント、輝度が80cd/A程度まで向上したロールオフ特性を持つりん光緑色ドーパントを開発することが目標だ」と語ったことがある。

AMOLED用発光材料市場、1,000億円(1兆ウォン)時代へ

OLEDを採用したGalaxy Sシリーズの成功。米国AppleもiPhoneにフレキシブルOLEDの採用決定。中国スマートフォンメーカーのOLED需要が急増と、OLED市場が活況だ。

 

MWC 2017において13社がOLEDを採用したスマートフォンを出品した。世界最大のスマートフォン市場である中国で市場拡大している中国Huawei、中国Oppo、中国Vivo, 中国Xiaomi、中国ZTEなどのメーカーもOLEDスマートフォンの採用に積極的に取り組んでいる。

<MWCに参加したOLEDスマートフォンメーカーの数>

このような市場状況からOLED用発光材料市場は今年約1,000億円(1兆ウォン)水準に達成すると予想されている。UBI Researchチャン・ヒョンジュン先任研究員は、毎年5~10%の発光材料価格の下落および発光材料のリサイクル率を5~30%と仮定した場合、発光材料市場規模は2017年に約1,075億2000万円(9億6,000万米ドル)となり、2021年には約3,763億2000万円(33億6,000万米ドル)まで拡大すると見込んだ。

<発光材料市場見通し>

チャン先任研究員によると、2021年全体OLED発光材料市場規模と予想される約3,763億2000万円(33億6,000万米ドル)のうち、Apple向けOLED発光材料の市場占有率は約627億2000万円(5億6,000万米ドル)を占める。韓国はOLEDパネル市場をリードしていると共に発光材料市場でも占有率70%まで拡大し、約2,665億6000万円(23億8,000万米ドル)になると見通した。

ソニー、AMOLED TVを6月10日から本格的に販売開始

ソニーは、1月にCES 2017で公開した4K BRAVIA AMOLED TV A1Eシリーズの中で、55型と65型の2モデルを6月10日から日本で販売を開始すると8日に明らかにした。今回ソニーが発売するBRAVIA AMOLED TVには、韓国LG DisplayのWRGB AMOLED、4K高画質プロセッサーX1 Extreme、画面が振動しながら発音するAcoustic Surface技術が採用された。予想販売価格は、55型が50万円、65型が80万円で設定されている。また、77型の発売も計画中で、今年秋に発売する予定だ。

 

ソニービジュアルプロダクツIchiro Takagi社長は「AMOLEDパネルとX1 Extremeを採用したプレミアムモデルを通じて、最高の画質と音響、新しい没入感を提供する」とAMOLED TVの戦略について語った。

 

ソニーAMOLED TVの発売は、現在韓国のSamsung ElectonicsとLG ElectonicsがリードしているプレミアムTV市場に大きな影響を与えると予想される。

 

ソニーと直接競合するLG Electonicsは、今年発売したAMOLED TVの新製品の販売価格を昨年より低く設定するなど、戦略を実施していおり、ソニーによるAMOLED TVの発売がAMOLED TVの一般化とディスプレイ産業にどのような影響を与えるかに注目が集まる。

 

4月21日に韓国ソウル市汝矣島にある全経連会館カンファレンスセンターで開催された4月のトピックセミナーで、UBI Research李・チュンフン代表(首席アナリスト)は、2017年にソニーのOLED TVは約40万台販売され、OLED TV市場全体の約27%を占めることになり、2021年には約340万台販売され、約38%を占めると予想した。

<AMOLED TV市場展望>

発光材料メーカーの競争力

UBI Researchは、主要発光材料メーカー9社による2016年実績と韓国内で出願又は登録された特許件数、ディスプレイメーカーの量産製品に供給を行っている材料数、2017年営業力予測に基づき、競争力を分析した。(出所:2017 AMOLED発光材料市場レポート、UBI Research)

<主要発光材料メーカーの競争力を分析したグラフ>

結果、2017年最も高い競争力を有すると予想されるメーカーはDoosanと分析された。Doonsanの競争力強化要因は、営業力向上と量産製品品数増加、一位の韓国LG Chemicalの次に活発な特許出願活動を行っているからだ。Doonsanは2016年に分析された順位より7段階上昇した。

 

2位に競争力が高いと評価されるメーカーは韓国Samsung SDI、3位には米国UDCが続いた。韓国Duksan NeoluxはGalaxy S8用フレキシブルOLEDに赤色燐光ホストを採用し、2016年より3段階上昇した4位となった。

Fraunhofer FEP、OLEDマイクロディスプレイを採用し、高精密光学指紋センサーの開発に成功

ドイツFraunhofer FEPは、先日の5月4日に、プレスリリースてOLEDマイクロディスプレイを採用し、高精密光学指紋センサーの開発に成功したと明らかにした。Fraunhofer FEPは、OLED-on-Silicon技術を基に、様々な用途に採用できるOLEDマイクロディスプレイを開発してきた企業で、OLED-on-Silicon技術は、マイクロチップにOLEDを光源とする高精度な設計が可能であり、フォトダイオードのような追加センサーと統合することができる。

 

今回Fraunhofer FEPが開発した指紋センサーは、光の放出や探知の両方できる両方向機能(Bidirectional Functionality)を導入することによって、指を照らし、反射される光を感知しながら分析する方法である。

 

Fraunhofer FEPのOLEDマイクロディスプレイとセンサー部署の次長Bernd Richter氏は「この指紋センサーチップには、とても薄い封止膜を採用した。指とイメージセンサー間の距離が最小となり、指紋が綺麗にキャプチャーできるため、この応用分野では追加的なImaging Opticは必要ない」と述べた。

 

最初のプロトタイプは、FBIで一般的に求められる解像度の3倍優れた1600dpiの解像度を持っている。高い空間分解能は、非常に小さい汗穴まで識別できるため、セキュリティ強化に使用できると期待を集めている。

 

この指紋センサーは、一般的に使用されている静電容量式指紋センサーに比べ、高解像度で明確に識別できるため、いわゆる「Spoofing」と呼ばれる偽の指紋に対処することから、モバイル装置でユーザー認証に使用されると見られている。また、ブランディング、ロゴ、お知らせを表示するディスプレイにも使用される見込みだ。

 

Fraunhofer FEPが開発したこの指紋センサーは、今回、米ロサンゼルスで開催されるSID Display Week 2017にて公開する予定である。

<高解像度のOLED-on-Silicon指紋センサー、参考:Fraunhofer FEP>