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OLEDの未来

UBI Researchが3月8日から9日の二日間開催した第3回OLED Korea ConferenceでUBI Research李・チュンフン代表は『The Future of OLED』をテーマに講演を行った。

 

李代表は、未来のOLEDは「100型 Rollable Wall TV」まで受け入れられるとした。李代表は「人間の目は視野角が広いので、ディスプレイが壁全面に掛けられていても不便ではない。ガラス基板のOLEDは運びにくいので、カーペットのように巻いて運搬できるRollable Displayが最適だ」と述べた。

 

「Rollable Displayを実現するには、プラスチック基板と値下げ可能なプリンティング方式を採用すると良い。ソリューションプロセスを導入したピクセル製造技術とTFT製造技術が未来の主要技術になると予想される」と説明した。Rollable Displayにスピーカーが内蔵され、画面に映る人物の動きと音が一致する完璧なディスプレイが出来上がると見通した。

 

李代表はOLEDが成功すると確信できる根拠は、モバイル市場にあると述べた。

第一に、今後TVに使用される4Kのコンテンツがスマートフォンにも使用され、スマートフォン自体にも4Kの解像度が適用されると言及した。

 

第二に、Appleが今年発売する予定のiPhoneにOLEDが採用が見込まれている。Samsung Displayは5.5型を基準にOLEDを2億個まで生産可能なApple専用のA3製造ラインを構築しており、今後OLEDの世界にApple効果が表れると説明した。

 

第三に、全世界スマートフォン市場の4割を占めている中国の電機メーカーもOLEDを採用したスマートフォンの発売に拍車をかけていると述べた。

 

第四に、フレキシブルOLEDが実現するフルスクリーン搭載のスマートフォンは、ホームボタンを無くし画面を広め、視覚的機能を向上するだけでなく、指紋とパターンを同時に認識するようアップグレードされた認証システムを採用できると説明した。

 

この4つの根拠に基づき未来のモバイル市場ではOLEDが鍵となると見通した。

 

一方、OLEDパネル市場については、2021年には出荷量は約17億となり、売上高は750億米ドル規模にまで成長すると見通した。2021年になると韓国ディスプレイメーカーは全体市場の8割を占め、中国は全体市場の1~1.5割を占めると述べた。また、ディスプレイパネルメーカーはフレキシブルOLEDを中心に投資を行い、2021年にはフレキシブルOLEDが全体OLED市場の7割を占めると付け加えた。

UDC、OLED発光材料の寿命や効率が低下しない有機蒸気ジェット印刷技術を紹介

UDC副社長のMike Hackは、UBIリサーチ開催した第3回OLED KOREA CONFERENCEの「COLOR IS UNIVERSAL」セッションでソリューションプロセスの有機蒸気ジェット印刷(Organic Vapor Jet Printing)技術を紹介した。

 

Mike Hackは、「有機蒸気ジェット印刷技術(OVJP)は、既存のインクジェット方式のソリューションプロセスと異なり、蒸着工程で使用されるOLED材料をそのまま使用可能なので、ファイン・メタル・マスク(FMM)と溶媒が必要ない」と強調した。また、他にUDCで開発したNovel BY Display Architectureも紹介した。

発表によると、この構造は一度に2ピクセルを蒸着するために、マスクの開口サイズを増加した。また、Novel BY Display Architectureは、既存のRGB方式の代わりに青色と黄色のサブピクセル(blue・yellow sub pixels)を交互に蒸着し、黄色のサブピクセルの半分には赤色と緑色のカラーフィルター(CF)を上下対称になるように配列するのが特徴だ。

Mike Hackは、「この構造で、青色と黄色のサブピクセルの曲線因子(fill factor)を最大に増加し、OLEDパネルの色再現率増加や効率、寿命を極大化できた」と述べた。他にもピクセル当たり3data未満のラインを利用し、EML蒸着(FMM利用)も2段階に構成されており、製造コスト削減が可能な利点があると説明した。

最後にUDCは、燐光の発光材料(PH emitter)とホスト材料を開発し、常用化を目指していると付け加えて発表を終えた。

一方、UBIリサーチが発刊した『ソリューションプロセスのOLED市場参入可能性分析報告書』によると、インクジェット溶液プロセスに適用される発光材料は、蒸着工程で使用される発光材料を様々な溶媒に混ぜてインク化する方式だ。こうすると、材料の純度が下がり、発光効率と寿命も低下されてしまう。しかし、ソリューションプロセスなら、カラーフィルターを使用せず、発光材料の使用効率を向上することができる。さらに、第8世代以上のパネル製造装備で分割せずにRGBピクセル構造で大型OLEDパネルを製造できるという利点がある。主要パネルメーカーは、先を争ってソリューションプロセスの開発と常用化に取り組んでいる。

ドイツのサイノラ(CYNORA)、今後の研究開発目標は?

第3回OLED KOREA CONFERENCEで、サイノラ最高マーケティング責任者のアンドレアス・ハルディ博士(Dr. Andreas Haldi)は、「Efficient blue TADF emitter: material in high demand」をテーマに、今まで研究してきた結果と今後の開発の方向について発表を実施した。

アンドレアス・ハルディ博士によると、ディップブルーTADFエミッタ(deep-blue TADF emitter)は分類によるスペクトラムの特性開発とホスト(host)やゲスト(guest)の相互作用に関する徹底した分析で、ディップブルーTADFエミッタのEQE(1000nits基準)は15%から24%、寿命(500nits基準)は300hから1000hまで向上したそうだ。

しかし、ディップブルーTADFエミッタをOLEDに採用した場合、材料のクエンチング(quenching)によって、効率や寿命が低下する現象が発生したと説明した。サイノラはこのような問題を解決するために、パネルメーカーと共同開発を進めており、モバイルやテレビ用ディップブルーTADFエミッタの量産を目指している2017年12月までに、CIEyは0.2未満、EQE(1000nits)は15%以上、LT97(700nits)は100h以上に達する計画と付け加えた。

改善されたディップブルーTADFエミッタを使用すると、製造コストと消費電力が減少するとともに、解像度の向上されたOLEDディスプレイが製造できるようになるため、主要なパネルメーカー大規模な真空プロセスラインに導入できると期待していると述べた。

また、ライトブルーTADFエミッタ(light-blue TADF emitter)については、材料精製技術と注入層、輸送層、ブロック層を適正なデバイス構造に適用することができるホストとスタック(stack)を開発したと説明した。

今後の青色発光材料(ブルーエミッタ)の開発方向については、ELピークを最大に引き上げ、60nmのFWHMと460nmの波長域を持つディップブルーTADFエミッタを目指して開発する予定だと言い、発表を終えた。

サイノラはOLED用の熱活性化遅延蛍光(TADF)技術リーダー企業として数年にわたって研究してきた。OLEDディスプレイの性能改善の最大テーマである青色発光材料の開発に注力している。

中国Visionox、フレキシブルディスプレイはOLEDならではの革新的な技術

3月8日から9月の二日間、UBIリサーチが開催した第3回OLED Korea Conferenceで、中国Visionox Li Lin首席研究員は『Development of Foldable AMOLED Display』をテーマに講演を行った。

 

Li Lin首席研究員は、フレキシブルディスプレイの開発トレンドを説明し、「初期のCRTはオシロスコープ(Oscilloscope)用として開発されたが、フルカラー技術の開発により日常でも使われ始めた。

LCDは当初セグメント方式で開発されたが、半導体技術の発展で、TFT Black PlaneをLCDに適用することにより、スマートフォンから大型テレビまで幅広いサイズで採用されるようになった。

このような新規電子技術と材料技術の統合は、ディスプレイの革新をもたらした。フレキシブルディスプレイ技術は、既存のディスプレイとは異なり、OLEDならではの革新的な技術のひとつである。現在、Visionox内において集中開発している分野だ」と述べた。

また、Visionoxのフレキシブルディスプレイ開発の歴史を紹介しながら、2016年11月に開発されたタッチセンサー(Touch Sensor)を適用した7型折りたたみ式AMOLEDディスプレイのモジュールを見せた。

このモジュールは、180度Out-Folding可能で、40,000回の折りたたみテストに合格したと付け加えた。

<タッチセンサーが適用された180度折りたたみ式フレキシブルAMOLEDディスプレイ、出所: Visionox.com>

折りたたみ式ディスプレイを開発するためには、TFTの信頼性向上、高強度のOCA、引っ掻きに強く耐久性の良いカバーウィンドウフィルム (Cover Window Film)、厚さを薄くした円偏光板(Circular Polarizer Layer)、タッチパネルを一体化した形など、耐久性に優れているモジュールの厚みを減らすことが重要な課題だと説明した。

一方、Li Lin首席研究員は、フレキシブルOLEDパネルの大量生産問題につき、「結局のところ、歩留まり率の向上にかかっている。しかし、今はまだ、大量生産できる技術と経験が足りない」と述べながら、「他のレイヤーと結合させる形を検討している」と答えた。

最後にタッチパネルの開発に関する質問には、「様々な技術があると思うが、オン・セル(On-Cell)技術を検討している。材料としては、メタルメッシュ(Metal Mesh)が適切な対策になると思われるが、まだ具体的な計画はない」と述べた。

次世代フレキシブルOLEDの常用化を成功させる鍵となるのは?

第3回OLED KOREA CONFERENCEでサムスンディブプレイのキム・テウン首席研究員は『Flexible Display: Application & Technical issue』をテーマに発表を行った。

キム首席研究員は「Technical Breakthrough(技術革新)・New Application(新しいアプリケーション)・Strategic Partnership(戦略的パートナーシップ)」三つの要素がフレキシブルOLEDの常用化を成功に導く鍵となるものだと強く述べた。

 

キム首席研究員は、第一の鍵となる「Technical Breakthrough(技術革新)」には、ウィンドウズの耐久性向上と有機/有機材料の表面コーティング、低抵抗にフレキシブルな電極材料を使用したタッチパネル、レイヤー数の減少及びフレキシビリティのカプセル化(encapsulation)、フレキシブルで頑丈なTFT材料が求められている低ストレス構造のバックプレーンといった4つの重要なポイントがあると述べた。

 

第二の鍵となる「New Application(新しいアプリケーション)」は、生活や健康(Life&Health)・交通(transportation)・壁面ディスプレイ(wall display)・モノのインターネット(IoT)・サイネージやパブリックディスプレイ(signage& PID)・教育(education)など、様々な分野に拡大していくべきだと説明した。フレキシブルAMOLEDの特徴は、自由なデザインで靴、時計、眼鏡などの様々な分野に取り入れられ、Rollable(丸められる)は小型でポータブルの便利性を持ちながらも広い画面に表示できる最適なディスプレイと語った。また、オートモーティブも過酷な環境で寿命の問題など、まだ遠い話ではあるが、AMOLEDを活用すれば様々なアプリケーションを作り出すことができると強調した。

 

最後にキム首席研究員は第三の鍵として、パネルや材料、装備、産学研との連携、つまりコミュニケーション・コラボレーション・コンフィデンスなどを通じて双方にとって有益な戦略が必要だと述べながら発表を終えた。

 

UBIリサーチが発刊した『フォルダブル(Foldable)を実現するための重要なポイントと市場分析報告書』によると、サムスン電子はフレキシブルOLEDを活用、優れたデザインの採用で、スマートフォン市場に成功的に参入した。それにより他メーカーもプレミアムスマートフォン市場で競争力を高めるために、フレキシブルOLEDを積極的に取り入れようとすると予測される。2020年、フレキシブルAMOLEDパネル(スマートウォッチ用含む)は約10億台規模まで成長すると見込まれる。