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パノラマHUDのコンテスト会場となったCES 2025

UBI Researchが2025年2月に発表した「2025年車載ディスプレイ技術および業界動向分析レポート」の内容をシリーズで紹介します。第1弾として、レポートに含まれるPanoramic-HUD (P-HUD)を紹介します。

一般的に、車載用ヘッドアップディスプレイは、車のフロントガラスであるフロントガラスに投影され、運転者は数メートル離れたところに生成された仮想画像を見ることができます。Panoramic HUDは、一般的なHUDとは異なり、ディスプレイから投影された画像をフロントガラスの下面に塗布された黒色 偏光フィルムに直接反射しますが、運転者が運転中にヘッドアップビューを維持できるため、HUDに分類されます。

Panoramic HUDは、直接画像方式で実装されるため、設計がシンプルでシステムコストが低く、製造コストを抑えながらプレミアム車両のデジタル体験を可能にします。また、P-HUDはp偏光を反射するため、眩しさを防ぐ偏光サングラスを使用できるという利点があります。そのため、AR-HUDが普及する前に、パノラマHUDが市場に投入されると予想されます。今年のCESでは、P-HUD競争の舞台を彷彿とさせるパノラマHUDが数社から発表されました。BMWは、パノラマHUDを「Panoramic Vision」と名付け、2025年以降に発売されるNeue Klassモデルに搭載すると発表しました。TFT-LCDを採用し、輝度は約5,000nitsですが、屋外での視認性を向上させるには、より高い輝度が必要であり、そのために黒色フィルムを製造する台湾のe-LEAD社と緊密に連携しています。

(出典:BMW)

(出典:BMW)

BOEは44.8インチの酸化物TFT-LCDパネルと2,850ゾーンのローカルディミングを適用し、明るさ5,000nits(通常)/ 7,000nits(10%ピーク)のP-HUDを発表し、P偏光反射率が25%であるため、偏光サングラスの使用が可能です。

TCL-CSOTは11.98インチのTFT-LCDパネル3枚と384ゾーンのローカルディミングを適用し、明るさ11,000nitのP-HUDを発表しました。

Innoluxが2019年に設立した子会社CarUXは48インチのP-HUDを発表し、マイクロLEDパネルを使用して14,000nitの高輝度を誇りました。

現代モービスは、ドイツ・ツァイス(Zeiss )社のホログラフィック技術を導入し、透過率95%の透明P-HUDを発表、2027年に量産する予定です。コンチネンタルも、3枚のTFT-LCDパネルとローカルディミングを備えたパノラマHUD「Scenic View HUD」を2023年に発表、2026年に発売する予定です。

P-HUDは通気口に位置するため、暖房、換気、空調ハードウェアの再配置や放熱問題の解決など、ディスプレイ以外にも解決すべき課題が多く、時間がかかりましたが、2025年はP-HUD発売元年になると予想されています。

本レポートでは、HUDを含む車両ディスプレイ技術の全体的な動向、完成車、電装メーカー、パネルメーカーによるディスプレイ開発と車両適用状況を取り上げます。自動車業界やディスプレイ業界に携わる方にとって、今は市場動向を分析し、今後の戦略を練る重要な時期です。本レポートを通じて一歩先の洞察力を得て、車載ディスプレイ市場の今後の動向を事前に把握し、業界の変化に積極的に対応していただければ幸いです。

UBI Research Chang Wook HAN Analyst(cwhan@ubiresearch.com)

フォルダブルフォン用OLED市場、サムスンディスプレイ独走を続ける

Foldable OLED shipment forecast

Foldable OLED shipment forecast

UBIリサーチが最新発刊した「2024年小型OLED Display年間報告書」によると、フォルダブルフォン用OLED出荷量は2024年2,740万台から2028年5,270万台まで増加すると展望された。

本報告書によると、2023年のサムスンディスプレイのフォルダブルフォン用OLED出荷量は1,340万台で、2022年の1,260万台に比べて6.3%増加した。 また、中国のパネル企業の中でも特にBOEは2022年190万台対比3倍を超える620万台のフォルダブルフォン用OLEDを出荷しており、TCL CSOTとVisionoxはそれぞれ110万台のフォルダブルフォン用OLEDを出荷した。

中国企業の厳しい追撃があるものの、フォルダブルフォン市場では依然としてサムスンディスプレイが主導権を握ると予想される。 サムスンディスプレイがパネルを供給するサムスン電子では、今年発売予定のGalaxy Foldシリーズのモデルを拡大する見通しであり、今後発売されるAppleのフォルダブルiPhoneにもサムスンディスプレイのフォルダブルフォン用パネルが先に適用されるものと予想される。 このような技術力と競争力を基盤に、当分の間、サムスンディスプレイのフォルダブルフォン市場の独走は続くものと分析される。

▶ 2024年小型OLED Display 年次報告書のサンプルページ

サムソンディスプレイのフォルダブルOLED、2027年には出荷台数5,000万台を超えると予想される

Foldable OLED shipment ratio forecast

Foldable OLED shipment ratio forecast

UBIリサーチが最新発刊した「2023 小型有機ELディスプレイ年間報告書」によると、サムスンディスプレイのフォルダブルフォン用OLED出荷量は、2023年の1,890万台から年平均28.1%の成長率で2027年には5,090万台に達する見込み。

レポートによると、2022年サムスンディスプレイのフォルダブルOLED出荷量は1,260万台で、2022年の全世界におけるフォルダブルOLED出荷量の85.1%を占めたと分析された。 BOEとTCL CSOT、VisionoxがフォルダブルOLEDを一部量産したが、フォルダブルOLED市場を主導した業者はサムスンディスプレイだった。

今後もサムスンディスプレイのフォルダブルOLED市場の独走は続くものと予想される。 TCL CSOTとVisionoxは2027年までに年間100万台以上の出荷量を記録することは難しいと見られ、LGディスプレイも顧客会社が確保されない以上、フォルダブルフォン用パネルの量産時期は不透明だ。

最後に、レポートでは2027年全世界フォルダブルフォン用OLEDの出荷量を6,140万台と展望し、サムスンディスプレイが5,090万台で82.9%の占有率を、BOEが960万台で15.7%の占有率を占めると予想した。

▶ 2023 小型有機ELディスプレイ年間報告書 のサンプルページ

CES2023 に出展された 有機ELテレビ

内容
・CES2023
・LG電子 AOLED
・サムスンディスプレイ QD-OLED
・TCL CSOT インクジェット

解説 :占部哲夫( UBI Research )
聞き手:服部 寿( 分析工房 )
分析工房のホームページ:https://www.bunsekik.com/ubiリサーチ

[CES 2023] TCL CSOT 65インチ8K IJP-OLEDディスプレー

#Inkjetprinting #TCLCSOT #CES2023

▶2023 OLED KOREA
https://oledkoreaconference.com

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塗布型 OLED 開発に力を入れる中国メーカー

内容
・Full color OLED の製造プロセス
・大型 OLED の製造プロセス
・塗布型 OLED の商品化
・中国での 塗布型 OLED 開発
・Juhua
・TCL CSOT の最近の開発成果
・塗布型 OLED の更なる進化
・QD LED への展開

解説 :占部哲夫( UBI Research )
聞き手:服部 寿( 分析工房 )
分析工房のホームページ:
https://www.bunsekik.com/

中国第6世代flexible OLEDライン再編するか

UBIリサーチが最新発刊した「2022小型OLEDディスプレイ半期レポート」によると、中国内の第6世代flexible OLEDラインが再編されると展望した。

中国でスマートフォン用flexible OLEDを生産する代表的な業者はBOEとTCL CSOT、Tianma、Visionoxがある。 EDOもflexible OLEDラインを一部保有中だが、rigid OLED中心にパネルを量産している。

このうち、TCL CSOTとVisionoxが最近経営難が続き、中国内のflexible OLEDラインが再編される可能性が提起されている 。

TCL CSOTはXiaomiに主にパネルを供給したが、最近はパネル性能イシューとTianmaのプロモーションによって月45K規模のT4ラインの第3四半期稼動率が10%水準に止まっていることが調査された。 特に、ph-3はph-1,2の低調な稼働率により稼動が無期限に延期されている状況である。 また、AppleにiPhoneシリーズ用パネル供給のためのプロモーションを試みたが、良い結果は得られなかったものと見られる。

2022年8月までに調査されたTCL CSOT T4ラインの稼働率, Source : 2022小型OLEDディスプレイ半期レポート

2022年8月までに調査されたTCL CSOT T4ラインの稼働率, Source : 2022小型OLEDディスプレイ半期レポート

Honorにflexible OLEDを主に供給しているVisionoxは最近月30K規模でV3ラインを稼動しているが、パネル価格が30ドル以下に策定され売上高に大きな影響を受けている。 確実な顧客会社を確保し稼動率が保障される反面、収益が保障されない状況であるのだ。

このような理由から、TCL CSOTのT4ラインとVisionoxのV3ラインはBOEで買収するのではないかという可能性が提起されている。 UBIリサーチのDae Jeong YOONアナリストは”T4ラインの場合、今後BOEがB20 LTPSラインにOLED設備が投入されればTCL CSOTのT4ラインを買収し、これを活用する可能性とVisionoxでV3ラインを売却した後、T4ラインの一部を買収する可能性がある。 V3ラインの場合、Hefei政府がBOEに買収を提案したという話も聞こえる”と明らかにした。

直ちに中国の第6世代flexible OLEDラインが急激に変化する可能性は低いが、市場沈滞と以前から持続的に過剰投資と評価されている状況の中で、中国パネル業者が今後のライン運用をどのように持続するのか帰趨が注目される。

▶2022小型OLEDディスプレイ半期レポート

今年のカバーウィンドウ向けUTG市場、2億ドル規模の予測

OLED産業の調査企業であるUBIリサーチ(www.ubiresearch.com)が最近発刊した「2022 OLED部品素材レポート」によると、スマートフォン向けのカバーウィンドウ材料市場は2022年43.5億ドルから年平均8%成長し、2026年には59億ドル規模の市場を形成すると展望した。 カバーウィンドウ用材料としては、2D glassと3D glass、Colorless PI、UTGがある。

カバーウィンドウの材料別市場展望

<カバーウィンドウの材料別市場展望>

2026年までにカバーウィンドウ材料市場の中で、2D glassと3D glass材料が全体の中89%で最も多い割合を占めるものと見られ、UTGが10%、Colorless PIが1%の割合を占めるものと予想される。

Colorless PI市場は2022年に3700万ドル、2026年に5600万ドル規模であると予測され、年平均成長率は11%となる。

カバーウィンドウ用UTG市場は2022年に2億ドル、2026年には9.3億ドル規模になると予想され、年平均成長率は47%である。 これは今後、サムスンディスプレイが量産するフォルダブル用OLEDのカバーウィンドウで、UTGが主に採用されることが反映された結果である。

サムスンディスプレイが今後もUTGだけを採用したフォルダブルOLEDを量産する計画であり、BOEやTCLCSOT、VisionoxもUTGが適用されたフォルダブルOLEDを開発している。

<フォルダブル用のカバーウィンドウ市場のシェア展望>

<フォルダブル用のカバーウィンドウ市場のシェア展望>

フォルダブルOLED用のColorless PIは2022年15.9%のシェアを占め、2026年には5.7%のシェアを占めるものと予想される。

フォルダブルOLED用のカバーウィンドウ市場はUTGが主導しており、Colorless PIが一部使われているが、今後も需要は多くないと見みられる。

サムスンディスプレイは今後もUTGでフォルダブルOLEDを開発する予測であり、スライダブルOLEDにColorless PIが使われることもあるが、SID 2022でサムスンディスプレイは量産をするならばUTGを使用すると明らかにした経緯がある。

中国パネルメーカ等がColorless PIでフォルダブルOLEDを少量量産しているが、全体市場での比率は低く、中国パネルメーカ等もUTGが適用されたフォルダブルOLEDを開発しているため、フォルダブルフォン用のColorless PI市場占有率は低いものと予想される。

フォルダブルIT機器用にColorless PIが使われることもありうるが、数量と適用時期が未知数であり、量産されても全体フォルダブルOLED市場で大きな占有率を占めることはできないものと予想される。

関連レポート:2022 OLED部品素材レポート