サムソンディスプレイ、A3ラインをY-OCTA製造が可能なラインに交換

モバイルに装着されるtouch panel技術はuser interface機能を遂行するために重要な技術である。 Flexible OLEDディスプレイのtouch技術は、外付け方式(Add-on type)から内蔵型方式(on cell type)へと変化している。

薄膜袋(TFE、thin film encapsulation)の上にtouch sensorが形成される内蔵型方式は、 各パネルメーカー別にY-OCTA(YOUM on-cell touch AMOLED)、ToE(touch on encapsulation)またはFMLOC(flexible multi-layer on cell touch)などの多様な名称で呼ばれる。 内蔵型方式は外装型方式と違って、別途のベースフィルムがなく封止層の上部に直接にtouch sensorが形成される。 このため内装型は外装型より工程難易度が高いが、OLEDパネルの厚さを薄く製作するのが有利で、工程コストも削減される効果がある。

最近、OLEDを利用したモバイルにこのような内蔵型方式のtouch技術を適用するため、各ディスプレイメーカーはライン改造の作業が段階的に進められている。 内蔵型方式のtouch 技術を適用するためには、4つのmask stepが追加されることになる。 工程stepの増加に対応する方法としては、増加される工程分の新規装備を追加で設置して対応する案、既存設備で共用で対応する案の2つがある。

サムソンディスプレイは既存のA3ライン(湯井)で内蔵型方式のtouch技術を使うため、既存の露光器を活用することを決め105K capacityのTFT生産ラインの改造作業を段階的に進めている。 既存工程のflow上では1500×1800mm2のmother glassでback plane工程が行われ、このglassをhalf-cuttingした1500x900m m2のglassをOLED工程で行うことになるが、half cuttingされたglassを再びback plane装備で工程するためにはcuttingされた2枚を連結して処理するjig製作方式を適用することになる。 改造後はA3 lineの生産capacityの減少が発生するだろう。 現在改造対象のA3 lineの105KはLTPS工程からLTPO工程に変更され、Y-OCTA工程と兼ねるようになる。 この場合LTPSからLTPOに変更して3つのmask stepが増え、Y-OCTAのために追加4つのmask stepが増加する。 Total 7つのmask stepが増加した結果で、A3 lineは改造後、従来の105K 生産capacityが概ね75K水準に減少すると 見られる。

中国のBOEも、B7とB11で内蔵型のtouch工程を追加構成中だ。 BOEは内蔵型方式のtouch工程を追加する案で、露光装備などを追加購入して処理する方式で進められている。 この場合生産capaの大きな変動はないものと見られる。

<Production capacity comparing with before/after modifying at SDC A3 line>

重水素置換の青色、次世代青色材料の代表走者か

現在、量産中の中小型OLEDと大面積OLEDの発光材料の中で、青色だけが唯一に蛍光材料が使用されている。

次世代の青色材料と呼ばれる燐光とTADF、hyperfluorescence材料の開発も 進められているが、最近は重水素置換技術が適用された蛍光青色材料が三星電子のGalaxy S20に適用され、大きな関心を集めている。

重水素交換技術は 水素と結合された化合物から水素を重水素で置換する技術であり、メーカーごとに化合物を合成前にまたは合成後に置換したり、部分または全体を置き換えることに違いがある。 重水素置換の代表的な開発会社はIdemitsu KosanとDuPont、SFC、JNCなどがある。

重水素置換に関する特許の明細書によると、重水素の原子質量が水素より2倍に大きな重水素で置換された化合物は、水素と結合された化合物よりもっと低いゼロ点エネルギーとより低い振動エネルギーのせいで基底状態のエネルギーが低く、分子間相互作用が弱くなって薄膜をアモルファス状態にすることができ、耐熱性がより向上されてOLEDの寿命の向上に効果的だ。

重水素で置換された化合物が適用されいるOLED素子は既存に比べて20%以上寿命を向上させることができると期待を集めている。

 

プレミアムテレビ市場で競争するためのwhite OLEDテレビの今後の変化は?

現在、プレミアムテレビ市場を主導しているOLEDテレビはLGディスプレーのwhite OLEDで製作される。 プレミアムテレビ市場を二分しているQLEDテレビだけではなく、未来のライバル製品として言及されているQD-OLEDテレビとQNEDテレビとの競争のためwhite OLEDの変化が観測されている。

一番目の可能性が高い変化は、現在発光層に使われている「yellow-green発光材料」の代わりに「green発光材料」の使用だ。 Yellow-green発光層は寿命は良いが、色再現率の拡大のためにはgreen発光層への代替が必要となる。

当初、 LGディスプレーは広州工場でgreen発光層が適用されたwhite OLEDを量産する計画だったが、工程問題によって既存のyellow-green発光層を使う計画だ。 現在、 LGディスプレーはGreen発光層が適用されたwhite OLEDを持続的に開発中であり、年内あるいは近いうちにテレビ市場で発売する計画を立てている。

<向後大面積white OLED構造の予想、Source: 2020 OLED発光材料レポート>

現在のbottom-emission方式からtop-emission方式への変化も予想される。 有機発光層で発生した光が基板TFT と基板方向に出るbottom-emission方式はTFT素子が光を遮り、輝度の損害が発生する。これまでの大面積OLEDは、TFTが光を一部遮ってもピクセル自体の発光面積が広いため大きな問題ではなかったが、次第に解像度が上がり, top-emission構造の必要性が持ち上がっている。

また、今後 top-emission方式のQD-OLEDや輝度に優れたLEDで製作されるQNEDが開発され、テレビ市場に出ることになると輝度等のスペック競争は必至となるため、 top-emission構造の開発は不可欠である。

top-emission構造を開発するためには有機発光層のmicro-cavityの設計、透明封止再開発、カラーフィルターの工程変更など材料・工程において様々な変化が必要であるが、前述のQD-OLEDやQNEDが完全に商用化されるまで、 top-emission構造の開発は十分に可能と予想される。

今後、色再現率や輝度などの性能が改善される未来のOLEDテレビへの帰趨が注目される。