LG Electronics、プレミアムTV市場「価格競争力ではなく製品競争力に集中」

韓国LG Electronicsは、4月27日に行われた2017年第1四半期電話会議で、今後のプレミアムTV市場では、価格競争ではなく、製品競争力に集中することを明らかにした。この日、質疑応答時間で「OLED TVとプレミアムTVの販売戦略」に関する問い合わせに、LG Electronics HE(Home Entertainment)事業部のハ・ジンホ常務は「プレミアムTV市場で、OLEDの立地を促進していく。プレミアムTV市場で求められる競争力は、価格競争力ではなく製品競争力だ」と今後の戦略について語った。

 

LG Electronicsの第1四半期HE事業部の実績は、売上高約4,326億円(4兆3,261億ウォン)、営業利益約382億円(3,822億ウォン)で、売上高は季節的にシーズンオフ時期に入ったため、前四半期比約460億円(4,600億ウォン)減少したものの、前年同期と同様の水準となった。前年同期比アジア市場は、需要停滞の影響で、売上高も減少したが、プレミアムTV販売の増加によって、北米、韓国、中南米地域の売上高は増加した。

 

ハ・ジンホ常務は「営業利益を上げるために、プレミアム製品販売の拡大と共にコスト構造改善、パネル価格上昇による柔軟な管理を基に、前四半期より収益性を向上させた」と述べながら、第2四半期のTV市場展望については「TV市場全体の需要停滞は今後も続くとみられるが、LG Electronicsの中でも比較的に売上高が高い北米、中南米、アジア市場の需要は増加すると予想される」と語った。‘LG Signature OLED TV W’のように市場をリードする製品を全世界で発売することで、プレミアムとしての位置づけを固め、安定的な収益構造を構築すると明らかにした。

 

続いて行われた質疑応答時間では、今後のパネル価格の見通しとOLED TVラインナップについての質問に「パネルは2016年第4四半期から急上昇しており、最低価格となった去年の6月に比べ60%以上値上げされた。OLED TV市場の中で、プレミアム市場を攻略するためには、プレミアム、ベスト、ミドル、ローに構成されているフルラインナップを揃える」と述べた。

 

今後のTV市場戦略については「パネル価格が増加している今、ボリューム競争から抜け出し、収益性向上を中心に運営・管理をする方針だ。低価格帯TV市場での占有率は重要性が低いと判断されるため、販売価格が約22万5,000~28万1,600円(2000~2500米ドル)以上のプレミアムTVの市場占有率を確認しつつ、クオリティーを改善しながら対応する計画だ」と明らかにした。

 

LG Electronicsは、今回の会議で今後のTV市場戦略について、高い収益性を持つ高付加価値製品のプレミアムTVラインナップを開発し続け、パネル価格にこだわった価格競争ではなく、画質、技術等、製品の競争力でプレミアムTV市場での立地を固めると説明した。

米Consumer Reports、今年発売されたプレミアムTV評価で食い違い

米国消費者専門メディアであるConsumer Reportにより、韓国LG DisplayのOLED TVは、今直ぐ買わなければならない最高4K TV部門で1位となり、韓国Samsung ElectronicsのQLED TVは、10位となった。

<Consumer Reportsに選ばれた最高の4K TVであるLG OLED65C7P、参考:Consumer Reports>

同メディアは、先日の16日に「OLED TVは黒色の表現に最も優れているので、別次元の画質を提供することができる」と語り、今年発売されたLG ElectronicsのOLED TV OLED65C7Pを「今直ぐ買わなければならない最高の4K TV(Best 4K TVs to Buy Right Now)」に選定した。

 

また、OLED65C7Pモデルについて「高解像度や優れた画質とサウンド性能を持っている。今年にテストした製品の中で最高に優れたHDR性能を備えているので、これ以上に優秀なTVを見つけることはできない」と評価した。この製品には歴代最高点の88点が与えられた。去年の11月に最高得点だったOLED65G6Pモデルの86点を更新したのである。

 

また、2016年のOLED TVモデルであるOLED65G6Pは86点、OLED65E6Pは85点が与えられた。他には、OLED55E6PとOLED55B6Pが共に83点となった。

<Samsung ElectronicsのQN65Q8C、参考:Consumer Reports>

一方で、今年発売したSamsung ElectronicsのQLED TV QN65Q8Cは、79点をもらった。これに対し、Consumer Reportsは、解像度、画質、サウンドは優れているものの、バックライトがあるのにも関わらず販売価格が高く、バックライトによる黒表現力の限界、画面の黒影などが減点要因になったと説明した。また、業界関係者の話を引用し、真の自発光QLED TVが発売されるまでには3年以上かかると付け加えた。.

 

UBI Researchは『Solution Process OLED Annual Report』で、QLED蒸着材料は、現在実用化しているりん光OLED蒸着材料に比べ、短い寿命、効率問題、環境にやさしい素子開発、OLEDに比べインフラ不足など様々な争点があり、人員と開発費の充足を含む積極的な投資とインフラ確保を進まないと、実用化は更に遅れると見込んだ。

Samsung Electronics、OLEDがディスプレイ全体売上高の6割を占有

韓国Samsung Electronicsのイ・ミョンジンIR担当専務は、4月27日に行われた2017年第1四半期電話会議で「第1四半期の総売上高が約5兆500億円(50兆5,000億ウォン)となった」と発表した。また、「Samsung Electronicsにおける第1四半期総売上高のうち、ディスプレイ部門は約7,290億円(7兆2,900億ウォン)、営業利益は約1,300億円(1兆3,000億ウォン)だった。OLEDの売上高は、第1四半期ディスプレイ全体売上高の6割を上回った」と述べた。

 

Samsung Displayのイ・チャンフン常務は、ディスプレイ市場について「第2四半期は、セットメーカーによるOLEDパネルの採用が増加し続けると見込まれており、Samsung Electronicsは主要顧客にフレキシブル製品を供給し、外部顧客にも積極的に対応しながら実績を維持していく」と語った。また、2017年OLED市場については「フレキシブル製品の供給拡大により、前年比の売上高が増加すると予想される一方、中・低価格帯の市場でLTPS-LCDとの競争が激しくなり、リスクを受ける可能性がある」と見込んだ。

 

Samsung Electronics映像戦略マーケティングチームのイ・ユン常務は「TV市場の第1四半期実績は、年末シーズン以降には季節的にシーズンオフ時期に入り、市場需要は前四半期比減少し、ヨーロッパと中南米による需要減少の影響を受け、前年同期比マイナス成長がと予想される。第2四半期のTV市場実績は、各メーカーの積極的な新製品発売により、前四半期比小幅に成長すると予想されるが、ヨーロッパを中心とした消費減少の影響で、前年同期比マイナス成長する」と見込んだ。このような市場見通しの中で、量子ドット(Quantum Dot)QLED TV製品の販売と共に曲面TV(Curved TV)と超大型TVなど、高付加価値製品のラインアッププ拡大による収益性確保に注力すると付け加えた。

 

続いて行われた質疑応答時間では、Samsung Electronicsにおける今後OLED全体の生産ラインについての質問に「LCD7-1ラインは、2016年の末からOLED生産ラインに変更しており、OLED A3ラインも計画通りに進んでいる」と述べた。

 

OLED TVに関する質問には「QLED TVはOLED TVの欠点を解決し、デザイン、画質、消費者のライフスタイルに対応する別次元の製品だ。メタルが含まれている量子ドット材料を用いて、世界初で唯一の明るさによって色が変わらないカラーボリュームを100%実現し、画質問題を解決した」と語った。

 

最近、Galaxy S8とS8+の部品供給が遅れていることについては「各メーカーと事前に契約を締結しし、初期供給に問題がないように努力しており、現在も初期供給に支障が生じないように対応している。他の部品も受給問題が起きないように二元化して運営している」と述べた。

 

最後に、Samsung ElectronicsのOLED TV開発について「OLEDだけでなく、TVにも採用できる様々な技術を開発しており、量子ドットを含む次世代技術の開発に集中している。また、様々な新技術を取り入れ、独自の製品開発、超大型と高付加価値製品群で市場支配力の強化、収益性確保に注力する」と明らかにした。

LG Display、今年設備投資額の70%を大型OLEDとPOLEDに集中

韓国LG Displayは、4月26日に行われた2017年第1四半期電話会議で、キャペックス(CAPEX、未来の利益を創出するための投資額)の70%を大型OLEDとPOLEDに集中する予定で、特に大型OLEDよりもPOLEDの割合が高くなると明らかにした。

 

LG Display最高財務責任者(CFO)のキム・サンドン氏は「具体的な投資規模や時期はまだ内部で検討しているところだが、投資額の70%以上をOLEDに投資するということは変わらない。OLEDに対する投資額は高いので、取引先による採用や市場需要の確実性などを注意深く見極め、保守的な観点から投資を進める」と今後のLG Displayの投資方向性について語った。

 

LG Displayは、LTPS-LCDの競争力を確保し続けると述べた。キム・サンドン氏は「今年の下半期に韓国慶尚北道亀尾(Gumi)市にあるE5ラインをLTPS-LCDの代わりにPOLEDに変更する計画だが、LTPS-LCDに対する需要がまだあるので、高解像度のスマートフォン製造などのチャンスがあると考えている」と述べた。

 

LG DisplayのOLED照明事業とOLEDパネル出荷計画については「OLED照明は2017年下半期に約1万5,000枚規模で量産する予定で、POLEDは2017年第2四半期末にGumi E5で量産を開始する予定だ」と説明した。

 

OLED TVの生産拡大計画については「今年1月に開催されたCES 2017で公開したOLED Wall paper TVとCrystal Sound OLEDがTV市場で大好評を得ている。OLED TV出荷量は、第1四半期に30万台になり、下半期には四半期別に50万台程度と予想されている」と述べた。

 

2017年の超大型TV市場展望については「LG OLED TVは、60型以上の超大型OLED TV分野で、圧倒的に高い割合を占めており、超大型TV市場は今後も成長を続け、市場占有率30%以上を確保する」と予想した。

 

中国パネルメーカーによるLCD技術力とLG Displayの今後の対応策として「2020年までは、中国パネルメーカーのLCD技術力が高まり、第10世代への投資への恐れがあるが、LG DisplayならではのIPS技術力、安定した量産品質とサプライチェーンなどで乗り越えられる」と語った。

 

LG Displayにおける今年第1四半期の売上高を基準に、製品別販売実績の割合は、TV用パネルが43%、モバイルパネルが26%、ノートパソコンやタブレットパネルが16%、モニター用パネルが15%を占めた。また、パネル価格の上昇と共に、高解像度、ハイエンドのIT製品など、高い収益性を中心とする様々な製品を販売し、四半期別営業利益は約1,026億円(1兆269億ウォン)となり、過去最高記録を達成したと説明した。

Tianma、中国初の第6世代LTPS AMOLED生産ラインで製造したパネルを公開

中国Tianmaは2017年4月20日、中国湖北省武漢市にある中国初の第6世代LTPS AMOLED生産ラインで製造したAMOLEDパネルを点灯させることに成功した。Tianmaの第6世代ラインは、2016年1月から投資が行われた。

<Tianmaの第6世代LTPS AMOLED生産ラインで製造したAMOLEDパネル、参考:mp.weixin.qq.com>

Tianmaは、中国初の第4.5世代AMOLEDパイロットラインを構築し、上海市には第5.5世代AMOLED生産ラインを構築し、中小型AMOLEDディスプレイを量産している。MWC 2016では、スマートフォン用5.5型HDオン・セル(On-Cell)リジッドAMOLEDパネル、5.5型FHD AMOLEDリジッドパネル、5型FHD AMOLEDパネル、5.46型フレキシブルAMOLEDパネルを公開したことがある。

 

今回Tianmaの第6世代LTPS AMOLED生産ラインで製造されたリジッドOLED用とフレキシブルOLED用LTPS AMOLEDは、VR/AR関連機器、ウェアラブルデバイス、折り畳み式機器に採用される見込みになっている。Tianmaは、今回建設した第6世代LTPS AMOLED生産ラインによって、AMOLEDディスプレイ分野におけるリーディングカンパニーとして位置付けを高めると期待している。

<Tianmaの第6世代LTPS AMOLED生産ライン、参考:mp.weixin.qq.com>

UBI Researchが2017年2月に発刊した『2017 OLED Display Annual Report – Samsung Display’s Share in the Smartphone AMOLED Panel Market Will Reach 70% by 2020』では、2016年に、Tianmaは武漢市で第6世代フレキシブルAMOLEDパネルの量産ラインに導入する装置を30,000台発注し、2018年第2四半期には量産を開始すると予想された。

Merck、EU Horizon 2020プロジェクト「HyperOLED」に取り組む

ドイツMerckは、先日の12日にヨーロッパ連合のHorizon 2020研究及び革新プログラムから4百万ユーロの資金提供を受けるHyperOLEDプロジェクトに取り組んだと発表した。このプロジェクトのコーディネートを担当するMerckは、フランスMicrooled、ドイツFraunhofer-IOF、英国ダラム大学(Durham University)、ルクセンブルクIntelligentsia Consultantsなど、ヨーロッパ4か国によるコンソーシアムと緊密に連携いすることになる。

 

HyperOLEDプロジェクトは、今後3年間ディスプレイアプリケーションとダイオードを用いた照明(Solid State Lighting)に採用する高性能超蛍光有機発光ダイオード(OLED)向けの材料とデバイス・アーキテクチャを開発するという計画を持つ。

 

主な目標は、熱活性化遅延蛍光(TADF)分子ホストに新たに採用されたシールド蛍光エミッタを取り付け、革新的な高性能OLEDを開発することで、HyperOLEDプロジェクトは、高い成長可能性を有している新興技術の薄型有機大型エレクトロニクス(Thin, Organic and Large Area Electronics;TOLAE)の開発に貢献していくと期待されている。このプロジェクトは、機能向上や性能改善による寿命の延長で、信頼性を持つTOLAE支援装置開発に寄与するとみられている。

 

コンソーシアムによると、新しいOLEDは、現在の技術より比較的に生産が容易な白色OLEDスタック(Stack)構造を基にしているため、製造コストが削減できる。更にOLEDスタック層の数を減らすことで、有機材料の20∼40%程度を節約し、生産にかかる時間と製造装置の使用も減らせると予想される。

 

また、溶媒、誘導体、材料合成触媒、昇華精製及びOLED生産に関する省エネルギーを始めとし、バリューチェーン全体に大きな低減効果をもたらすと期待を集めている。他にもTADF分子ホストと新しいシールド蛍光エミッタの特殊な特性によって、OLEDの性能が向上し、イリジウムや白金のような希土類を使う必要がなくなり、環境にやさしくコストも低減できると見込まれている。

CITE 2017を彩ったOLEDディスプレイ

4月9日から11日まで中国広東省深圳市でCITE(China Information Technology Expo、中国電子技術情報博覧会)2017が開催された。今年で5回目を迎えるCITE 2017は、中国工業情報化部と深圳市政府が主催するアジア最大電子情報展示会で、毎年約1,600社が出展し、約16万名が来場する世界的なITイベントだ。

本イベントでは、韓国LG Displayと中国のBOE、CSOT、Tianmaは、OLEDパネルを展示し、Changhong、Hisense、Konka、SkyworthはOLEDの応用製品を披露した。他にも中国OLED産業連盟としてJilin OLEDを含む複数のメーカーが共同館を設置した。

<CITE 2017で展示されたメーカー別OLED製品>

大型OLEDパネルを唯一量産しているLG Displayは、厚さ3mm、重量7kgの超薄型・超軽量デザインの65型UHD壁紙OLEDとディスプレイ自ら音を発するCrystal Sound OLEDを展示した。LG Displayは壁紙TV用OLEDパネルで技術力を認められ、CITE 2017の技術革新金賞を受賞した。

<LG Displayの壁紙OLED(左)とCrystal Sound OLED(右)>

他にもLG Displayは、77型UHD OLEDパネル6枚で構成された柱型のOLED Pillarと77型UHD OLEDパネル2枚をくっ付けたDual-View Flatを展示するなど、OLEDを活用した様々な製品を披露した。また、12.3型車載用曲面(Curved)OLED、2種類のスマートフォン用OLED 、2種類のスマートウォッチ用OLED、プラスチックOLEDを展示した。

LG DisplayのOLED Pillar

中国OLEDパネルメーカーのBOEは、7.9型Foldable OLED、5.5型Edge Bended OLED、1.39型Rounded OLEDを披露し、技術力を見せつけた。

<BOEのFoldable OLED(左)、Edge Bended OLED(中)、Round OLED(右)>

他にもOLED TVを展示したセットメーカーは、Changhong、Hisense、Skyworthの全て中国企業で、プレミアムTVの主要サイズである65型OLED TVの展示に注力した。 Hisenseは、OLED TVの他にもスマートフォンの両面にOLEDパネルとE-inkパネルを同時に採用した製品を展示した。

Changhong(左)Hisense(中)、Skyworth(右)のOLED TV

OLEDの未来

UBI Researchが3月8日から9日の二日間開催した第3回OLED Korea ConferenceでUBI Research李・チュンフン代表は『The Future of OLED』をテーマに講演を行った。

 

李代表は、未来のOLEDは「100型 Rollable Wall TV」まで受け入れられるとした。李代表は「人間の目は視野角が広いので、ディスプレイが壁全面に掛けられていても不便ではない。ガラス基板のOLEDは運びにくいので、カーペットのように巻いて運搬できるRollable Displayが最適だ」と述べた。

 

「Rollable Displayを実現するには、プラスチック基板と値下げ可能なプリンティング方式を採用すると良い。ソリューションプロセスを導入したピクセル製造技術とTFT製造技術が未来の主要技術になると予想される」と説明した。Rollable Displayにスピーカーが内蔵され、画面に映る人物の動きと音が一致する完璧なディスプレイが出来上がると見通した。

 

李代表はOLEDが成功すると確信できる根拠は、モバイル市場にあると述べた。

第一に、今後TVに使用される4Kのコンテンツがスマートフォンにも使用され、スマートフォン自体にも4Kの解像度が適用されると言及した。

 

第二に、Appleが今年発売する予定のiPhoneにOLEDが採用が見込まれている。Samsung Displayは5.5型を基準にOLEDを2億個まで生産可能なApple専用のA3製造ラインを構築しており、今後OLEDの世界にApple効果が表れると説明した。

 

第三に、全世界スマートフォン市場の4割を占めている中国の電機メーカーもOLEDを採用したスマートフォンの発売に拍車をかけていると述べた。

 

第四に、フレキシブルOLEDが実現するフルスクリーン搭載のスマートフォンは、ホームボタンを無くし画面を広め、視覚的機能を向上するだけでなく、指紋とパターンを同時に認識するようアップグレードされた認証システムを採用できると説明した。

 

この4つの根拠に基づき未来のモバイル市場ではOLEDが鍵となると見通した。

 

一方、OLEDパネル市場については、2021年には出荷量は約17億となり、売上高は750億米ドル規模にまで成長すると見通した。2021年になると韓国ディスプレイメーカーは全体市場の8割を占め、中国は全体市場の1~1.5割を占めると述べた。また、ディスプレイパネルメーカーはフレキシブルOLEDを中心に投資を行い、2021年にはフレキシブルOLEDが全体OLED市場の7割を占めると付け加えた。

急成長するOLED材料および部品市場をつかめ

韓国Samsung Displayが製造し、Samsung ElectronicsのGalaxyに採用されることで徐々に成長を遂げてきたOLED市場に今年から米国Appleも参入を進める。この変化によってOLED製造に必要な材料および部品市場も急成長を迎えている。

 

OLED専門リサーチ機関であるUBI Research李・チュンフン代表(首席アナリスト)によると、スマートフォン用OLED製造に必要な各種材料および部品市場規模は、今年87億米ドルになり、2021年には4倍以上の380億米ドルにまで成長すると述べた。

<出所: 2017モバイル機器用AMOLED材料および部品市場レポート、UBI Research>

スマートフォン用OLED材料および部品市場が急成長する最大要因としては、安定的に成功を収めたSamsung ElectronicsのGaxalxy、Apple効果、中国セットメーカによる急激な需要増加と見られている。また、Samsung Displayに引き続き韓国LG Display、中国BOE、中国CSOT、中国Visionoxなど、有数のディスプレイメーカーは先を争って第6世代フレキシブルOLED製造ラインの導入を急いでいる。この状況が続くと2021年頃にはスマートフォン市場でLCDは消えるかも知れない。

<出所: 2017モバイル機器用AMOLED材料および部品市場レポート、UBI Research>

スマートフォン用OLED材料および部品市場を国家別に分類すると、韓国市場が圧倒的に大きいことが分かる。今年韓国の材料および市場は全体市場の95%を占め、2021年には72%を維持すると予想される。

 

OLED市場でSamusung Displayの影響力が強まっている中、韓国の材料及び部品メーカーも急成長すると期待されている。李代表はSamsung Displayが構築したエコシステムには、韓国中小企業や韓国に工場を持つ海外企業の割合が高く、OLEDの成長は即ち関連企業の成長に直結すると見通した。

【Finetech Japan 2017】ブイ・テクノロジー、738ppiのUHDを実現するFHMを公開

4月5日に東京ビッグサイトで開催されたFinetech Japan 2017で、ブイ・テクノロジー(ブイ・テクノロジー)は738ppiのUHDを実現できる‘FHM(Fine Hybrid Mask)’を公開した。

 

従来のFMM(Fine Metal Mask)は、架張と溶接で製造される。しかし、この製造方式は難しいだけではなく、パターン(穴)と自重によるたわみなど、マスクの構造的な限界で、高解像度の実現は中々できなかった。

 

昨年のFinetech Japan 2015で、ブイ・テクノロジーはこのような欠点を改善したFMMのコンセプトを発表したことがある。2年後、今回の2017では、コンセプトを具現化し、量産可能なプロトタイプのFHMを公開したのである。

<ブイ・テクノロジーが公開したNon-tension構造のFHM(Fine Hybrid Mask)>

ブイ・テクノロジーのFHMには、従来の製造方式とは異なり、Electroforming方式とNon-tension構造が採用された。関係者によると、この方式でFMMの重量を従来の1/10まで軽減し、自重によるマスクのたわみと影の影響に関する問題も解決できたと述べた。また、製造方式を変更することで、FMMの精密度を向上し、738ppiのUHDが実現できたと付け加えた。

 

ブイ・テクノロジーは、FHMとともにFHMを活用できる垂直型蒸着システム(Vertical Deposition System)のコンセプトを公開した。このシステムは、ガラス基板とFHMを垂直に搬送し、各々最大2枚まで同時蒸着することができる。

 

また、ブイ・テクノロジー関係者は「垂直型蒸着システムは、蒸発源とFHMとの距離を縮め、拡散光によるStep Coverage(段差被覆性)とUniformity(均一性)の低下に関する問題を改善した。蒸着装置が垂直型であるため、不純物がFHMやガラス基板に付着しにくくなり、歩留まり率を向上することができる」と語った。

<ブイ・テクノロジーの垂直型蒸着システム(Vertical Deposition System)コンセプト>

最近、高解像度に対する消費者のニーズを高まり、そのニーズを満足させるために関連業界の動きが活発化している中、ブイ・テクノロジーのFHMが一つの解決策になるか、今後の展開に注目が集まる。

【Euroluce 2017】OLED、照明市場の新たな道を切り開く

2017年4月4日からイタリアミラノで世界最大の照明展示会「Euroluce 2017」が開かれた。本展示会でOLEDを照明に採用した照明メーカーは、OLEDが照明市場の新たな道を切り開くと口を揃えて述べた。

 

イタリアのOLED用ドライバー専門会社Arditi Spaの関係者は「OLEDは非常に個性的であり、独特な光源で照明市場を開拓できる新しいチャンスを与えてくれた。OLEDは薄くて軽く、建築物や自動車などあらゆる箇所へ柔軟に採用できる特別な光源だ。特にスペース制限が無く、更にフレキシブルな特性は他の光源と区別できる特徴である。また、一部ではOLED照明の価格に注目しているが、結局最終的な判断は使用者にかかっていることで、現在のOLEDは十分な競争力を持っている」と述べた。

<Arditi SpaのOLED用ドライバー、出所:UBI Research>

イタリアの家具用OLED照明専門会社Manumeta関係者は「OLEDは低い棚にも自由に使える。発熱が少なく軽いのため、今後、より広い分野で導入されていくに違いない。まさにOLEDならではの可能性と競争力を見せつけているようだ」と述べた。

<Manumetaの家具用OLED照明、出所:UBI Research>

また、スロベニアAstel Lighting関係者は「OLED照明は潜在能力を持っている。OLEDはこれから照明市場での立地を徐々に固めていく」と述べた。

 

最後に、韓国LG Displayと共同開発により‘Medusa’と‘Pyrosome’という名の新しいOLED照明を披露した世界的産業デザイナーRoss Lovegrove氏は「OLED技術は従来の照明とは根本的に違う。他のどの光源も真似できない個性的なデザインが生み出せる」とOLEDならではのメリットを説明した。

<LG DisplayのフレキシブルOLED照明、出所:UBI Research>

【Euroluce 2017】LG Display、OLEDならではの斬新な照明を披露

韓国LG Displayは現地時間4月4日から9日までの間、イタリアミラノで開催された世界最大の照明展示会「Euroluce 2017」で『The Light of Inspiration』をテーマに、OLEDでしか実現できない斬新な照明を初披露し、大きな注目を集めた。

 

LG Displayは、世界的な権威を持つ産業デザイナRoss Lovegrove氏との共同開発で水中生物に似ている2種類の新しいOLEDを披露した。まず、最初に紹介された‘Medusa’はクラゲをモチーフにして作り上げたもので、真ん中にあるリングにつながっている八つの柔らかいOLEDパネルで構成されており、形を自由自在に変更できる。Ross Lovegrove氏は「重力の影響を受けてストリップが自然な形になるような“Natural Gravity”を表現したかった」と述べた。

<LG Displayの‘Medusa’、出所:UBI Research>

次に紹介された‘Pyrosome’は3Dプリンティングで製作したボディーと柔らかいOLEDパネルをつなげたもので、Ross Lovegrove氏は「この技術は線を形にした構造物と面を形にしたOLEDパネルがつながっているハイブリッドテクノロジーだ。非常に複雑な形と技術が組み合わされたものなので、誰にもまねることはできない」と自負した。

<LG Displayの‘Pyrosome’、出所:UBI Research>

他にもLG Displayはダイヤモンド型、丸型、シリンダ型、四角などの産業用照明と鏡一体型、透明棚型などの様々な家庭用照明を披露した。

<LG Displayの鏡型とダイヤモンド型照明、出所:UBI Research>

LG Displayは第5世代OLED Lighting Fab(1,100mm x 1,250mm)での量産を2017年第3四半期から第4四半期の開始に向けて京畿道坡州市に工場を建設しており、生産量は月産15,000枚を計画している。。LG Display関係者は「量産が始まって生産量が増えると製造コストとパネルの価格が下がり、自然に価格面でメリットが出る」と述べながら、照明市場においてOLED照明はデザインだけではなく価格面でも十分な競争力を持っていると付け加えた。

<LG Displayブースの中央に展示された‘Medusa’、出所:UBI Research>

【 新刊OLEDレポート紹介】モバイル機器用AMOLED材料および部品市場レポート

UBI Researchが4月にモバイル機器用AMOLED材料および部品市場レポートを発行した。本レポートはモバイル機器用リジッドAMOLEDとフレキシブルAMOLEDを製造するために必要である各種材料および部品のうち、主要な16種類を項目ごとで分類し、今後の市場を見通した。

本レポートによると、モバイルAMOLEDの製造に必要なガラスは基板用と封止用、フレキシブルAMOLEDの製造に必要なPolyimide(PI)基板を支えるキャリア用に分類し、2017年の市場は9,200万米ドルに、2021年には現在より2.6倍成長した2億3,600万米ドルにまで拡大すると予想される

また、本レポートでは、AMOLEDの一番外側に張り付けるカバーウィンドウ市場についても詳細な分析を行い、今後の市場を見通した。同市場は現在リジッドAMOLED用2DカバーウィンドウとフレキシブルAMOLED用3Dカバーウィンドウ市場、今後の折り畳み式スマートフォンに必須的なプラスチックカバーウィンドウ市場で構成される。

 

このカバーウィンドウ市場規模はフレキシブルAMOLED市場と共に急成長し、2021年には119億米ドルまで拡大すると予想される。