サムスン電子、AR/VR市場向けに多様なコンテンツで存在感を見せつける
2月27日からスペイン バルセロナで開催された「MWC 2017」で、サムスン電子は開発中の多様なAR/VRコンテンツを初公開した。同社はAR/VR市場拡大に伴い、コンテンツ市場でも存在感を見せたい構えだ。
サムスン電子のCreative Lab (C-Lab) projectsからMWCの併設イベント「4 Years From Now (4YFN)」に同社のAR/VR製品を出展した。Creative Lab (C-Lab) projectsとは2012年12月にサムスン従業員による社内ベンチャーインキュベーションプログラムだ。また、4YFNとは今後4年後には世の中を騒がせそうなスタートアップを見つけようとのコンセプトで設置されたイベントだ。同社が今回展示した製品は、低視力および視覚障害の人たちが読書やTV視聴を容易に行うことを補助するための「ギアVR用視覚補助ソリューション‘リルミノ(Relúmĭno)’」と、スマートフォンとPCのコンテンツを遠隔で使うことができる「VR/ARソリューション’モニターレス(Monitorless)‘」、仮想現実で室内インテリアを体験できる「VRホームインテリア・サービス‘ビルドアス(VuildUs)’」、360度ビデオプラットフォームで仮想旅行を体験する「360度映像旅行サービス‘トラベラー(traVRer)’」の4つのプロジェクトを来場者に披露した。
‘リルミノ(Relúmĭno)’は屈折異常、白内障など視覚障害の症状を持つ人に対して、VR用アルゴリズムで視力を矯正してくれる効果が見られたとして同社は伝えた。今回のVRコンテンツはサムスン電子が製造するVRに採用を進めるが、今後はARにも適用させる検討を進めているとも語った。
’モニターレス(Monitorless)‘はリモートコントロールVR/ARソリューションで、モニターなしでスマートフォンとPCからストリーミング送信されたデータを特別なサングラスのレンズに映し出す。サングラスはは電気変色ガラス「Electro Chromic Glass」を採用しており、不透明に調節することもできる。普段はモニターレスでスマートフォンやPC用上での作業をARで行える。不透明にした場合はVR用として使えるという長所をもつ。眼鏡の縁にはHD解像度のmicroOLEDを採用し、スマートフォンやPCの画像を眼鏡のオプティカルレンズへへ反射させる原理で表示する。
‘ビルドアス(VuildUs)’はVRで室内インテリアを360度映像体験ができる。使用者が仮想空間に店に置いてある家具を配置するなど事前にイメージを掴め、製品の購入を促すきっかけとなる。現在、建築業界と家具業界での利用を増やすため共同開発を行っている。
‘トラベラー(traVRer)’は世界のランドマークや有名なスポットで撮影された360度映像データベースのプラットフォームとVRを利用して、世界各所の雰囲気、街の喧騒、歩きたい経路を歩くなど行ったことのないところへの仮想旅行を体験できるコンテンツである。
サムスン電子が今回公開したVR/ARコンテンツは開発段階であり、商用化は未定だが、VR/AR機器が使用者に便宜を提供できる分野に対して多様な観点から開発しているという点に大きな関心を集めた。AR/VRデバイスだけではなく、コンテンツ市場でもサムスン電子が台頭していることに業界は注目している。
<サムスン電子Creative Lab (C-Lab)展示館の全景、MWC 2017>
<サムスン電子の VR/ARコンテンツ、サムスン電子ブログより>