韓国のあるベンチャー企業が特許を独占しているOLED用青色ドーパント(Dopant)の開発に成功した。ドーパントは、OLEDの中で実際に発色するホスト(Host)と混ぜ合わせ、効率と寿命を改善する材料である。
今まで、多くの韓国材料メーカーがOLED用ホストを開発してきたが、大手企業からの支援を受けていないベンチャー企業が、独自にドーパントを実用化できる程度まで開発したのは、これまで前例のないということで、高く評価されている。
OLED用有機材料開発企業のMaterial Science(代表:イ・スンチャン)は、日本のI社による青色ドーパントの特許を代替できる技術を開発したと7日に明らかにした。2014年に設立されたMaterial Scienceは、韓国国内外にあるOLEDパネルメーカーに 正孔輸送層(Hole Transport Layer :HTL)、電子輸送層(Electron Transport Layer:ETL)などを供給している。全職員約50人のうち、半分が研究開発職である。昨年の売上高は66億ウォンで、今年の売上高は100億ウォンを突破すると予想される。
今回 Material Scienceにおける青色ドーパントの開発によって、OLEDパネルメーカーは日本の I社の他にも、青色ホスト及びドーパントの供給元を確保することができた。
日本のI社は、1995年から青色ドーパントを開発してきた。現在、全30件以上(日本出願基準)の青色関連特許を保有しており、その中で8件の主要特許の有効期限は2034年までとなる。
特に、アントラセン(Anthracene:三つのベンゼン環が一直線につながった化合物)構造の青色ホストとピレン(Pyrene)を含む青色ドーパントを組み合わせる方式に関する特許を独占している。そのため、I 社の青色ドーパントを用いるパネルメーカーは、必ずI社のホストを用いなければならない。I社の青色ドーパントに他メーカーからのアントラセン骨格を有するホストを組み合わせる場合、特許権の侵害となってしまう。
韓国のSamsung DisplayとLG Displayにおいても、I社による青色ホスト及びドーパントが用いられてきた。Material Scienceが開発した青色ドーパントは、I社における組み合わせの特許権を侵害しないように分子を設計した。従来にはOLEDの効率と寿命を改善し、濃い色の青色を作るために、強力なElectron Acceptorを分子に適用する方式を採用してきた。一方、Material Science は、Electron Donorを分子に適用することで、効率と寿命を改善しつつ、濃い青色を実現した。特に、このドーパントは、周囲の極性による発光波長が変更される溶媒和発色(Solvatochromism)現象を抑え、ホストの極性による発光波長の変更現象も大きく抑えられた。
Material Scienceのチョン・ジェホ研究員は「新しい構造及び組み合わせ方式を開発し、既存のドーパントとは異なる製品を作り上げた。パネルメーカーは様々な種類の青色ホストを活用できるようになる」と説明した。Material Scienceは、最近OLEDパネルメーカーが青色蛍光体の寿命を延ばすために導入を進めている熱活性化遅延蛍光(TADF)技術も開発している。
<IFA2017 OLED TV Display Trend Analysis>
UBI Researchによると、OLED有機材料市場は、2021年まで33億6,000万米ドル(約3兆8,000億ウォン)規模に成長する見込みだ。その中で、青色材料の売上高が占める割合は11.5%となりそうだ。