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超高解像度を実現できるFMM、国産化の動きは加速するのか

Fine Metal Mask(以下、FMM)は、画素とRGB有機物を蒸着する役割を担うため、OLEDの解像度と歩留まりを決定する要素となるが、現在のFMMは蒸着工程の際に熱膨張が起こったり、重さによるシャドー現象(Shadow Effect)が発生する限界にぶつかっている。

FMMは、日立金属製圧延インバーが大日本印刷(DNP)でエッチング工程を経て製造された完成品として、高い価格で全量輸入されている。

そのため、韓国国内外の関連業界はレーザー加工など、様々な方式でFMMの開発に総力を挙げているが、まだR&Dの段階に留まっている状況だ。

先日9日に韓国順天大学新素材工学科のパク・ヨンバン教授研究チームは、電鑄インバー製造技術の開発に成功したことを明らかにした。これは、電気メッキを施して陰極に付着した金属を剥離した後、FMMを製造する技術である。

<電鑄インバー製造技術による熱膨張曲線と微細組織、参考:順天大学>

この技術によって、インバーは板として製造することができ、また、パターン化された陰極の形状をそのまま複製することもできる。さらに、FMMの厚さを今の半分位の7 um程度まで抑えられ、超高画質を実現することができると研究チームは説明した。

パク教授は「電鑄インバーに対する日本の研究レベルは、私達の研究チームと同等レベルに追いつくところまできており、中国は大規模な資本を前面に出して開発に乗り出した」と言い、「韓国企業が国際競争力を先取りするためには、学界の積極的な支援が必要だ」と語った。

最後には「20年近く続けてきた研究で構築された全てのデータベースを論文に公開する決心がついた」ことも付け加えた。今まで全量を輸入に頼っていたFMMを国産化できるのかに注目が集まる。

超高画質解像度(UHD)のOLEDスマートフォン時代の幕は開くのか

最近スマートフォン機器によるVRコンテンツ体験が増える傾向にあり、高解像度スマートフォンが求められているが、2014年に初めてGalaxy Note4にQHD OLEDが採用されて以来3年間、OLEDスマートフォンの解像度は変わらずQHD程度に留まっている。
OLEDスマートフォンの解像度を決定する鍵は、発光層の蒸着工程である。現在、採用されている上向式蒸着方式は、基板とFMM(Fine Metal Mask)を水平にして蒸着装置の上部に配置した後、下部のリニア蒸発源に有機物を蒸発させてRGB発光層を形成する方式である。

 

UHD以上の高解像度OLEDを製造するためには、厚さ15um以下の薄いFMMが必要となるが、FMMが薄くなるほどパターニング、引張、溶接などの技術的な問題が生じ、量産に採用することは容易ではい。

 

このような問題を改善するために、垂直型蒸着、面蒸発源蒸着、様々なメタルマスクパターニング(Metal Mask Patterning)技術が開発されている。

 

基板とFMMを垂直に配置する垂直型蒸着装置は日本の日立が初めて開発し、キヤノントッキもFinetech Japan 2013で、第6世代垂直蒸着方式の装置を公開したことがあるが、現在量産には採用されていない。

<Finetech Japan 2013で公開したキヤノントッキの第6世代垂直型蒸着装置>

しかし、最近の電子新聞によると、米国Applied Materialsが第6世代フレキシブルOLED用垂直蒸着方式の蒸着装置を開発したことを明らかにし、日本のジャパンディスプレイでテストしている。

 

リニア蒸発源ではなく、面蒸発源を用いた蒸着方式も検討されている。面蒸発源蒸着方式は、まず有機物を金属面に蒸着した上で面蒸発源を製造し、それを再蒸発させて基板に有機物薄膜を形成する原理である。iMiD 2017でOLEDONのファン・チャンフン代表は、面蒸発源蒸着方式を採用することで、2250ppi高解像度のOLEDを実現できると述べた。

 

Metal Mask Patterning技術としては、主に電気鋳造 (Electro Forming)とレーザーパターニング技術が挙げられている。電気鋳造方式は韓国のWave ElectronicsとTGO Technology、日本のアテネなどのメーカーが開発中で、レーザーパターニング技術は韓国AP Systemsが開発している。

 

このように様々な観点から高解像度OLEDを実現するための開発が、現在の問題を改善し、OLEDスマートフォンのUHD解像度の実現に貢献できるかという点に大きな注目が集まっている。

<OLEDONが開発した面蒸発源蒸着技術の原理>