International TADF Workshop開催
<参考:2nd International TADF Workshop>
第1世代の蛍光材料技術と第2世代のりん光材料技術に引き続く第3世代の発光材料技術であるTADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)技術に関するInternational Workshopが2017年7月19日から21日まで九州大学で開催される。
ブラウン管の代わりに現在ディスプレイ市場の主力製品として位置付けているLCDを市場から完全に撤退させるためには、中・低価格帯製品にも導入できる高効率で低コストのOLEDが必要となる。高効率と低コストを同時に解決するためのソリューションがこのTADF材料の実用化にかかっているのだ。
現在製造されている発光材料は、赤色ホスト材料、緑色ホスト材料、青色ホスト材料と各色のドーパント材料で分類される。なお、この材料の中で赤色と緑色は内部効率を100%達成するりん光材料を使用している反面、青色材料は内部効率が25%にしか至らない蛍光材料をまだ使用している。青色材料における効率の限界から、TV用大型OLEDパネルは青色層が2階積層された構造となっており、高い材料費が発生する。
現在のOLED発光材料が持つ限界を克服するために開発されている材料がこのTADFである。
TADF技術を世界で初めて開発に成功した九州大学の安達千波矢教授が会長と務めているInternational TADF Workshopには全世界から第3世代OLED発光材料の開発専門家が集まる。安達教授は九州大学で2012年に初めてTADF論文を発表してから3年後の2015年に全世界に約120編を発表し、2016年には200編以上の論文を次々と発表してきた。この事実はまさにTADFは全世界から熱い視線を注がれていることを示している。
安達教授は、今回TADF Workshopの開催に向けて、TADFの現状と今後の開発方向性と進め方について、各国の専門家と議論を行うためだと趣旨を述べた。