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【IMID 2018】青色TADFとHyperfluorescence、効率と寿命の二兎を得られるのか

8月29日に韓国釜山のBEXCOで開催されたIMID 2018で、Kyuluxの安達淳治CEO(最高経営責任者)は、既存の蛍光材料ホストとドーパントにTADFドーパントを添加するHyperfluorescenceの性能を公開した。

安達淳治氏が公開した黄色Hyperfluorescenceの色度図は(0.49, 0.50)、半値幅は76 nm、1,000 nitを基準にするEQEは15.7%、1000 nitを基準にするLT50は62,000時間で、緑色Hyperfluorescenceの色度図は(0.28, 0.65)、半値幅は31 nm、1000 nitを基準にするEQEは20.6%、1,000 nitを基準にするLT50は48,000時間である。

さらに現在、安達淳治氏は開発中の青色Hyperfluorescenceの性能も公開したが、最大発光波長は470 nm、1000 nitを基準にするEQEは22%、750 nitを基準にするLT50は100時間であることを明かした。特に、2018年上半期から青色Hyperfluorescenceの性能が急速に高まっていると述べ、今後さらに向上すると期待を示した。

続いて行われた発表で、CYNORAのDr. Georgios Liaptsis氏は、現在開発中の深青色(Deep blue)を説明し、波長は460 nm、CIEyは0.15以内でなければならないと強調した。淡青色(Sky blue)に近づくと寿命が長くなる特徴があるが、CYNORAは深青色でも淡青色の寿命を確保できるように研究を進めていると説明しながら、性能を公開した。

現在、全てのOLEDアプリケーションの青色には、蛍光青色が用いられている。青色TADFや青色Hyperfluorescenceが実用化され、既存の蛍光青色よりさらに改善した効率と寿命を確保できるか注目が集まる。

次世代発光材料の開発はどこまで来ているのか

第4回OLED KOREA CONFERENCEで、次世代発光材料開発の先導企業であるKyuluxとCYNORAが研究結果と今後の開発方向についてを発表した。

Kyuluxの最高経営責任者(CEO)安達淳治氏は「従来の蛍光材料ホストとドーパントにTADFドーパントを添加するHyperfluorescenceを開発している」と説明した。Hyperfluorescenceの発光半値幅はTADFの約35%レベル、輝度は約2倍以上で、この材料がTADFの欠点(広い半値幅と低い輝度など)を同時に解決できると強調した。

 

安達惇治氏が公開した最新Hyperfluorescenceの効率は、赤色28 cd/A、黄色43 cd/A、緑色81 cd/Aで、寿命はLT50(1000nit)を基準に10,000時間、62,000時間、48,000時間である。色度図は赤(0.64, 0.36)、黄色(0.46, 0.52)、緑(0.28, 0.65)である。

一方、CYNORAの最高マーケティング責任者(CMO)Andreas Haldi氏は、現在CYNORAが開発した青色TADFエミッタの色図表は0.16、EQEは24%、寿命(LT97@700nit)は10時間だと明らかにした。このような性能は現在OLEDに使用されている青色材料より2倍高い効率で、色図表(0.10)は同様のレベルであるものの、寿命は短いと説明した。青色TADFエミッタの開発は2018年で終了し、2019年には量産への採用が開始されると付け加えた。

 

また、従来の低効率材料の代わりに高効率の青色TADFエミッタを使用すると、製造コストの削減のみならず消費電力も抑えられ、バッテリーの消耗を最小限に軽減できると語った。同時にOLEDの解像度を向上できるため、主要パネルメーカーの大規模真空工程ラインへ採用できると期待を示した。

 

CYNORAは青色TADFエミッタの開発終了後(2018年目途)、緑色TADFエミッタ、赤色TADFエミッタの順に開発を進め、2020年までRGB TADFエミッタの開発を全て終了する予定だ。

第4世代発光材料「Hyperfluorescence」

蛍光材料としてもりん光材料としても、不十分と言えるOLED発光材料の特性を改善するために、現在開発しているTADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)の実用化まで、少し時間がかかっている。TADF技術で最も先進的な企業と高く評価されているKyuluxが、まだディスプレイに適合するTADFドーパントの実用化に至っていないからだ。

 

Kyulux最高技術責任者(CTO)のAdachi氏によると、TADF専用のホスト材料がまだ用意されていないことが、TADF実用化を遅らせている要因となるという。そのため、発光ピークの半値幅が広く、ディスプレイに適合していないのだ。Kyuluxがこの問題を解決し、TADF材料の実用化を急ぐために開発している材料が、第4世代発光材用である「Hyperfluorescence」だ。

 

<Kyulux CTOのAdachi氏>

 

Hyperfluorescence材料は、既存の蛍光材料ホストとドーパントにTADFドーパントを添加し、蛍光材料としてりん光材料の効果を発揮することを目指している。

 

<Hyperfluorescnce効果>

Adachi氏は、Hyperfluorescnce効果とは、TADFの広い半値幅と蛍光材料の低い輝度を同時に解決できる構造であると強調した(上図)。

 

<Hyperfluorescenceと一般的なFluorescenceの特性比較>

 

Kyuluxが一般的な緑色の蛍光材料を用いて製造したOLEDと、同じ材料にTADFを添加することでHyperfluorescnce構造に仕上げたOLEDを、一つの基板に作り合わせてみると、発光強度に顕著な違いが確認された(写真)。

 

Kyuluxは、2017年内にHyperfluorescnce材料の実用化を予定している。初めて適用する対象となるのは、PMOLEDである。