4K時代を迎えたLCDスマートフォン、OLEDスマートフォンはどうなるのか?

先日のMWC 2017で、Sonyが世界初となる4K LCD搭載のスマートフォンを公開したことに続き、来る7月には実際に4K LCD搭載の‘Xperia XZ2 Premium’を発売する予定で、スマートフォンにも4K解像度の市場が本格開花すると期待されている。

<Sonyの‘Xperia XZ2 Premium’、参考:theverge.com>

既にTV市場は4Kを越えて8K市場へ移り変わっている。Samsung ElectronicsとSharpは上半期に8K TVの新製品を公開、Sonyも下半期に8K TVを発売する予定である。LG DisplayはCES 2018で、88型の8K OLED TVを展示した。このように、8K TVがプレミアムTV市場に参入することで、スマートフォンもTVの高解像度化と相まって、4K解像度に対応する製品を増やすと予想される。

しかし、LCDでは4Kスマートフォンを実現したものの、OLEDはもう4年もQHD解像度にとどまっている。

<Samsung ElectronicsのGalaxyシリーズの解像度変化、参考:UBI Research DB>

これは、OLED製造に採用されているFMM(Fine Metal Mask)技術に制約が多いためである。現在、量産に使用されているFMMの厚さは約20~30um程度で、4Kを実現するためには、厚さを10umに抑えなければならない。しかし、従来のFMM製造方式では、実現が難しい状況である。

それによって、高解像度の実現に向けたFMMの代替技術が開発されている。代表的な技術として、レーザーでパターニングするレーザーFMMと電鋳方式で製造するElectroforming、フィルムに電鋳でフレームを形成し、レーザーでフィルムをパターニングするFine hybrid mask、蒸着入射角を垂直にして高解像度を実現する面蒸発源などが開発中だ。

様々な展示会と学会で、高解像度を実現するための蒸着技術が公開されており、量産性を確保できれば、今後4K OLEDスマートフォン、ひいてはRGB方式の高解像度AR・VR機器も見ることができると考えられる。

Samsung ElectronicsがプレミアムTV市場のシェアを確保するためには?

先日28日にUBI Researchが開催した「上半期セミナー」で、イ・チュンフン代表は2018プレミアムTV市場における重要事項と展望について発表を行った。

イ代表は、60型以上のTVに対する需要について、「2016年の1,200万台から2021年には3,300万台まで拡大することになる」と言い、「第10.5世代への投資が増え、パネルの価格が下がるからだ」と付け加えた。

2018年にはパネルの価格が下落するに伴い、TVの価格も下がる見込みだ。Samsung Electronicsの場合、2018年第1四半期のTV出荷量は970万台で、前年同期比4%の減少となり、Samsung ElectronicsのVisual Display(VD)事業部の営業利益は4%台に留まった。LG ElectronicsのHome Entertainment(HE)事業部の営業利益と比較しても10%低い。

イ代表は「Samsung Electronicsは売上高の減少にも関わらず、営業利益の拡大を優先するために、65型以上の超大型製品のプロモーションに集中すると考えられる」と語った。

現在、Samsung Electronicsは、プレミアムTV市場におけるシェアを高めるために、QD-OLEDをTVパネルとして利用する計画を持っている。QD-OLEDは、青色OLEDを発光材料に用いて、その光が量子ドットカラーフィルタ(Quantum Dot Color Filter、QDCF)を通り抜け、赤色と緑色を実現する技術である。

イ代表はQD-OLEDの成功要因に、65型以上の8K OLEDパネルの生産などを挙げる一方で、LG Displayの第10.5世代OLEDへの早期投資によるプレミアムTV市場飽和が脅威になると説明した。

UBI Researchが発行した『2018 OLED発光材料産業レポート』によると、QD-OLEDは前面発光方式であるため、TFTの方向に光が放出される背面発光方式と比べ、開口率が約70%増加し、既存のWRGB OLEDより8K解像度と高輝度を実現することが容易である。また、色再現率の高いQD材料をカラーフィルターとして採用することで、UHDの色域規格BT.2020に近づけると予想される。

<既存のWRGB OLED(左)とQD-OLED(右)構造、参考:UBI Research>

UBI ResearchはOLED TVの売上高について、年平均約30%で増加し、2022年には約57億米ドル規模まで拡大すると予測した。

JOLED、2020年に中型印刷方式有機ELディスプレイの量産を開始

JOLEDが2020年に車載やモニターに採用できる中型サイズの印刷方式有機ELディスプレイの量産を開始すると伝えた。

先日6月26日にJapan Displayの子会社、JOLEDは7月1日から石川県能美市に「JOLED能美事業所」を開設し、2020年の稼働開始を目指すことを明らかにした。

JOLED能美事業所は、Japan Displayの能美工場に設立し、既存設備を最大限活用するほか、印刷方式有機ELディスプレイの量産に向けた追加設備や新しい製造棟などを導入する計画だ。施設規模は地上5階建て、敷地面積約10万㎡となり、基板サイズG5.5(1300×1500mm)、ガラス基板を基準に月産約2万枚の生産能力を備える予定である。

<JOLED能美事業所、参考:j-oled.com>

注力製品は、車載向けやハイエンドモニター向け中型サイズ(10~32型)の印刷方式有機ELディスプレイになるとみられる。先日3月にUBI Researchが開催した「2018 OLED Korea conference」で、JOLEDチーフテクノロジスト荒井俊明氏は、印刷方式有機ELディスプレイで中型OLED市場を攻略するという意思を示したことがある。

<2018 OLED Korea conferenceで発表したJOLEDの開発ロードマップ>

OLED材料メーカー、中国市場に注目する理由は

最近OLED材料メーカーが中国にR&Dセンターを設立することを検討している。関連業界によると、LG Chemは中国成都にOLED材料テックセンター(Tech Center)を設立することが知られている。先日20日には、Merckも上海にOLED Technology Center Chinaを設立すると発表した。

Merck関係者は「OLED Technology Center Chinaの設立で、中国メーカーと緊密に協力することができ、製品の発売時期が早まると期待している」と明らかにした。また「このセンターは上海にあるため、中国メーカーと理想的なソリューションを作り出せる共同作業スペースとして活用される」と述べた。

このようなOLED材料メーカーの動きは、拡大が続く中国市場を攻略するためだと考えられる。中国に拠点を置くと、中国市場に特化した戦略の展開や供給メーカーの確保が有利になる。UBI Researchは、中国のOLED市場は売上高を基準に年平均75%で成長しているという。これは現在最大規模の韓国市場と比較して4倍以上早い。

また、6月に発行した『2018 OLED発光材料産業レポート』では、「韓国のOLED発光材料市場が、年平均21%で成長していることに対し、中国のOLED発光材料市場は年平均69%で成長し、2022年には16億1,000万米ドルに達する見込みだ」と説明した。この規模はOLED発光材料市場全体の約38%程度である。

国別発光材料市場の展望、参考:UBI Research

フルスクリーンの実現に向かう変化、どこまで進んでいるのか

2017年Appleがさらに広いフルスクリーンを実現するために、ノッチ(切り欠き)デザインのOLEDを採用したiPhoneXを発売して以来、HuaweiとVivo、Oppoなど、多くのスマートフォンメーカーが同じデザインのスマートフォンを次々と発売した。

 

2017年から今まで公開されたノッチデザインのOLEDスマートフォンは、全36種でOLEDスマートフォン全体の10%を占めているとみられる。

スマートフォンメーカーがノッチデザインのディスプレイを採用したのは、サイズの制限があるにも関わらず、消費者に大画面を提供するためだと考えられる。

しかし、カメラと前面スピーカーがあるため、ノッチデザインはスマートフォン全体に占めるディスプレイの割合を示すDA(Display Area)を拡大することに制約があり、スマートフォンメーカーは、カメラをポップアップ型に搭載する方式を採用している。

先日12日、VivoはDAが91.2%のスマートフォン‘NEX’を公開した。Vivo NEXはポップアップカメラを内蔵、ディスプレイ自体がスピーカーと指紋認証センサーとなり、ベゼルを最小化することでフルスクリーンを実現した。

Oppoは19日(現地時間)、フランス・パリで、‘Find X’を公開した。フルスクリーンを実現するために、Oppo Find XにもVivo NEXと同様に前面カメラをポップアップ型に採用し、3D顔認証センサーを備えた。Oppo Find XのDAは93.8%で、Vivoと比べて約2.7%大きい。これは、2017年にDAが最も大きかったSamsung ElectronicsのGalaxy S8+より約10%、次のiPhone Xより11%程大きくなったと言える。

<Vivo NEXとOppo Find X、参考:netmag.pk、GSMArena>

ノッチデザインのスマートフォンが発売された、2017年第4四半期から2018年第2四半期までのデザインや形別に平均DAを分析してみると、従来のスマートフォン(ノッチデザインを除く)に比べてノッチデザインのDAは約9%、ポップアップ型カメラのDAは17%で、大きくなったことが分かる。前面カメラをポップアップ型に転換することで、90%以上のDAを実現することができたのである。

このように、スマートフォンメーカーは、フルスクリーンの実現に向けて様々な変化に取り組んでいる。どのような方法で、ベゼルを最小化し、DAを拡大したスマートフォンを発売することができるかに注目が集まる。

間もなく発売されるOLEDスマートフォンのディスプレイサイズ、さらなる拡大へ

最近のスマートフォン市場には、ホームボタンを無くし、大型のフルスクリーンOLEDを採用したスマートフォンが多く発売されている。

関連業界によると、今年の8月に発売予定のSamsung ElectronicsのGalaxy Note 9には、6.4型級のOLEDが採用される見込みだ。Galaxy Noteシリーズ初のホームボタンを無くしたモデルとなるGalaxy Note 8に比べ、0.1型大きい。

また、Appleも下半期に発売するiPhoneシリーズに、6.5型級のOLEDを採用したスマートフォンを発売すると見込まれる。2015年にiPhone 6+を発売してから、ディスプレイサイズを拡大し続けてきたAppleは、今年の下半期にiPhone Plusモデルに6.5型級のOLEDを採用するという。

他にも、Huaweiが下半期に発売予定のMate 20に、6.9型OLEDを採用するそうだ。中国市場での主導権を確保するために、ディスプレイサイズが大きいスマートフォンを好む中国消費者を狙った戦略だという分析が多い。

OLEDスマートフォンの平均ディスプレイサイズは、2016年に5.45型、2017年に5.58型で、5.5型程度に留まっているが、2018年には5.8型以上のOLEDスマートフォン多く発売され、平均サイズは5.98型に拡大した。

先に記したOLEDスマートフォン以外にも、Samsung ElectronicsのGalaxy A6 Star、XiaomiのMi 8 Explorer、AsusのAsus ROG Phoneなど、6型以上のOLED搭載スマートフォンが間もなく多く発売される予定だ。

最近、スマートフォンでコンテンツを利用する人が増え、スマートフォン市場が拡大する中、ディスプレイサイズで差別化を図るセットメーカーの戦略によって、OLEDスマートフォンの平均サイズは、6.0型以上に拡大すると予想される。

Vivo、DA(Display Area)90%以上のOLEDスマートフォン発売

現地時間で6月12日、中国スマートフォンメーカーのVivoは、前面がディスプレイで覆われているフルスクリーンOLEDスマートフォン‘NEX’をフラッグシップモデルとして新たに発売する予定だと明らかにした。

NEXは今年2月のMWC 2018でVivoが披露した‘APEX’の量産モデルで、Vivoはカメラをスマートフォンの上部に隠し、ディスプレイに指紋認証機能を内蔵することで、スマートフォン前面において、ディスプレイが占める割合を示すDA(Display Area)を91.2%まで実現した。

カメラはアプリケーションとの連携で、写真を撮影する場合にだけ、ポップアップ型で提供される。スピーカーはOLEDディスプレイに内蔵されており、ディスプレイが音響を届けることになる。

<Vivoの新フラッグシップモデル「NEX」、参考:netmag.pk>

一方、DAが90%を越えるOLEDスマートフォンはNEXが初めてだ。ホームボタンが消えた最初のフルスクリーンOLEDスマートフォンGalaxy S8のDAは83.6%で、それまでDAが最も大きかったスマートフォンVivo X20 Plus UDのDAは85.8%である。.

GSMARENAによると、NEXのハイエンドモデルとなるNEX Sには、6.59型FHD OLEDにSnapdragon 845のプロセッサー、8GBのメモリー、128/256GBのストレージ容量、4000mAhのバッテリーが、また低価格モデルのNEX Aには、同じディスプレイにSnapdragon 710、6GBのメモリー、128GBのストレージ容量が用意されている。

車載用OLED、車載用ディスプレイ市場をリードする

Audiは先日5月に電気自動車SUV「E-Tron Quattro(E-トロン クワトロ)」のサイドミラーをカメラ化し、内部にOLEDディスプレイを搭載することで、空気抵抗係数を0.28 cdまで引き下げることができたと発表した。これによって、燃料効率を向上させるたけでなく、死角を無くして安全に運転することもできるようになる。

<2015年に公開されたAudi E-tronのインテリアコンセプト写真、参考:insideevs.com>

さらに、インテリアディスプレイには全てOLEDが採用された。OLEDはLCDに比べ、高いコントラスト比と速い反応速度、広い視野角を持ち、高い視認性を実現することができることから、車載用ディスプレイに適合するという評価を受けている。

自動車部品サプライヤー(部品製造業者)のContinental corporationも自社ホームページで、2枚のOLEDを搭載したミラーレス自動車の様々な利点を紹介し、暗い状況や雨天時にも快適な視野を提供することができると明らかにしたことがある。

一方、Samsung DisplayやLG Displayのみならず、中国のパネルメーカーも市場攻略に向け、多彩なOLED製品を披露している。

Samsung Displayは先日5月に開催されたSID 2018で、OLEDを活用して画面を様々なサイズに調整できるRollable CID(Center Information Display)と12.4型サイズのCurved CIDを展示した。

<OLEDを採用したSamsung Displayの12.4型Curved CID>

6.22型サイズのUnbreakable steering wheel OLEDと4.94型サイズのTransparent OLEDを採用したHUD(Head Up Display)など、OLEDを活用した様々な自動車用製品を紹介した。

BOEもSID 2018で12.3型車載用フレキシブルOLEDを、またTianmaとTrulyは2018年1月に開催されたLighting Japan 2018で車載用リジッドOLEDを展示した。

<BOEの12.3型フレキシブル車載用OLED>

車載用ディスプレイはモバイル機器やTVと比較し、より多くのカスタマイズが必要なため、高付加価値の創造が期待される産業として注目を集めている。

Samsung Electronicsは、6月初にシンガポールで開いた投資家フォーラムで、車載用OLEDパネル事業を未来事業として強調し、「今年10万枚だった車載電装用OLEDパネルは、2020年に100万枚、2022年に300万枚にまで増える」と展望を示したことがある。

プレミアムTV市場、OLEDの割合拡大

Bang&OlufsenとSONYに続いて、先日11日にPhilipsも韓国でOLED TVを発売した。

LG DisplayのOLEDパネルを採用したPhilipsのOLED TVは、55型と65型の2モデルで、クアッドコアCPUとHDR 10、Dolby Vision、DTSサラウンドなどの機能を備えている。

<PhilipsのOLED TV、参考:Philips>

今年9月にはドイツのLoeweもLG Displayのパネル採用した65型OLED TV 3種(bild5・bild7・bild7 edition)を韓国で発売し、Hisense(海信)も早ければ今月からOLED TVの発売を開始するとみられる。

 

特に、中国TV市場の先頭に立っているHisenseがOLED TVを発売する場合、中国内にOLED TVの認知度が向上するだけでなく、プレミアムTV市場でOLEDの割合を拡大する要素にもなると考えられる。

 

4月にLG Displayのキム・サンドン最高財務責任者(CFO)は、カンファレンスコールで従来のOLED陣営は13社から、2社増えて15社に拡大したと説明し、タクトタイムの短縮による生産性向上と中国でのファブ建設、必要に応じてLCDファブをOLEDファブに転換するなど、市場の需要増加に積極的に対応していく計画だと明らかにした。

UBI Researchが開催した「OLED/ディスプレイセミナー」で、Shinhan Investment Corp.のソ・ヒョンチョル理事は、Sonyが12年ぶりにプレミアムTV市場で1位を記録したことを述べ、Sonyの株価が2013年比445%上昇した原動力の一つがOLED TVだったと説明した。

昨年、LG ElectronicsのHE(ホームエンターテインメント)事業本部の営業利益率は8.1%で過去最高値を達成した。主要なセットメーカーは、OLEDが企業の売上高増加とプレミアムTV市場におけるシェアを高める要素だと判断しているように見える。それによって、今後のプレミアムTV市場で、OLEDの割合はさらに拡大すると予想される。

一方、UBI Researchは今年2月に発行した『2018 OLED Panel Industry Report』で、OLED TVの売上高は年平均約30%で増加し、2022年には約57億米ドル規模まで拡大すると予測した。

Samsung Display、第1四半期の出荷実績減少、 第2四半期には回復見込み

UBI Researchが発行した第1四半期のディスプレイ「Market Track」によると、Samsung Displayのスマートフォン用OLED出荷量は、前四半期比26.0%、前年比4.7%減少した8,800万個と集計された。

一方、売上高は前四半期比32.4%減少、前年比30.4%増加した53億7,000万米ドルになるという。

<Samsung Displayにおける第1四半期のスマートフォン用OLED実績>

リジッドOLEDは、Samsung Electronicsによる低価格モデルへの継続的なLCD採用と中国セットメーカーによる需要減少で、第1四半期に量産ラインの稼働率が低下した。同様に、フレキシブルOLEDもAppleの需要減少とGalaxy Sシリーズの実績不振で稼働率が低下した。

UBI Researchは「第1四半期にはセットメーカーによる需要減少で実績が下がったが、4月からフルスクリーンリジッドOLEDの需要が増加し、リジッドOLED量産ラインの稼働率も次第に高まり始めた。6月からは前年と同レベルまで回復するとみられる。また、フレキシブルOLEDの量産ラインも、Samsung Electronicsによる次期モデルの早期量産とAppleによる新モデルの量産開始で、再びフル稼働に戻ると期待される」と明らかにした。

OLED全体市場規模は、2018年第1四半期に61億2,000万米ドルと集計され、このうちスマートフォン用OLED市場は91.1%、大面積OLED市場は5.7%を占めた。

2018年のスマートフォン用OLED出荷量は4億4,000万個になる見込みで、Samsung Displayが占める割合は93.4%になると予想される。

<2018年OLED市場展望>